50.読者からの質問に答えて
生活習慣病予防を考えてきたこのコーナーも最終回。最後に読者からの質問をまとめて、日本生活習慣病予防協会の池田義雄理事長に答えていただきました。肥満と動脈硬化が多くの生活習慣病に関係しているのはなぜですか
「肥満は生活習慣病やさまざまな病気の根源です。中でも、おなかの中に脂肪が蓄積してくる、おなかポッコリの“内臓脂肪型肥満”が問題です。内臓脂肪型肥満は糖尿病、高脂血症、高血圧を起こしやすく、動脈硬化の進展に強く関連します。動脈硬化は自覚症状が乏しく、ある日突然に心筋梗塞や脳卒中に見舞われる恐れがあります。このため、肥満、特に内臓脂肪型肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧は『死の四重奏』と呼ばれているので、まずはBMI体格指数=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)が22±2の範囲を維持するように心掛けてください」
生活習慣病対策は、いつごろから始めたらよいのでしょうか
「子供のころからの生活習慣が大切です。特に食生活は親の影響が強いので、親の不適切な食生活が子供にも引き継がれてしまいます。しかもその悪習慣は成人しても続くので、早く断ち切る必要があります。そして、過食、喫煙、大量飲酒、運動不足に心当たりのある人は、いくつになっても遅すぎることはないので改善してください」
予防のための食生活のポイントは何ですか
「主食の穀類は分つき米、はい芽米、全粒粉など色のついたものがよいでしょう。肉、魚、大豆製品をバランスよくとり、脂肪と塩分のとり過ぎに気をつけてください。野菜、海藻、きのこ類はたっぷりとり、果物と乳製品を欠かさないように。好きな物ばかりに偏らずに種類を多く食べることも大切。でも、食べ過ぎには注意しましょう」
最後に、健康を守る秘訣はありますか
「21世紀は“セルフメディケーション”の時代。つまり、自分の健康は、自分でチェックし、自分で守っていこうということです。そのためには毎日のセルフチェックが大切。体重、体脂肪、内臓脂肪、血糖・尿糖、血圧、歩数計による運動量などを測定しましょう。また、何をどれだけ食べたか、という食事記録をつけることもよいですね。これらを実践することで、日頃の生活習慣を見直し、生活習慣病の予防と健康の維持、増進を図ってください」
2004年03月 公開
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