日本生活習慣病予防協会 JPALD
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29.一過性脳虚血発作

 「脳卒中」の最終回は、予防の最後のチャンス「一過性脳虚血発作(TIA)」について、日本脳卒中協会の山口武典会長に聞きました。
TIA とは?
 「簡単に言うと一時的な脳卒中で、脳梗塞の前触れともいわれます。急に片方の手足が動かない、ろれつが回らなくなる、片目だけ見えにくくなるなど、症状は脳梗塞と同じですが、多くは10〜15分、長くても24時間以内に完全に治まります。原因も脳梗塞と同じで、頸部の動脈などに動脈硬化があり、そこの血栓がはがれて脳の動脈に引っ掛かって起きます。TIA は血栓が小さく、詰まってもすぐに溶けるため、短い時間内に症状がとれるのです」
すぐに治るなら、心配はいりませんね
 「TIA が起こるということは、脳動脈が狭くなっていたり、次には大きい血栓がはがれる可能性もあり、放っておくと数年以内に本格的な脳梗塞が起こりやすくなります。TIA を経験して脳梗塞になった人を振り返ってみると、約2割は1カ月以内に、半数は1年以内に脳梗塞が起こっています。TIA でも安心せず、できるだけ早くストロークユニット(脳卒中専門集中治療室)のある専門病院に行ってください。専門の医療スタッフの下で治療すると、死亡率も寝たきりになる確率も、明らかに低くなります」
脳梗塞の最新の治療について、教えてください
 「言葉が出なかったり、片麻痺が起きているような脳梗塞でも、ごく早い時期に詰まった箇所まで動脈カテーテルを通し、血栓を溶かす『ウロキナーゼ』などの薬を直接投与すれば、血管が通って、治る可能性が高くなります。また、点滴を静脈注射すればよい「t−PA」という血栓溶解薬も近い将来使えるようになります。発症3時間以内にこれを使えば、非常によく回復する人が約5割も増えるので、少しでも早く受診することを覚えておいてください」
症状が出る前に、脳梗塞かどうか調べられますか
 「脳専門検査の『脳ドック』があります。MRA(磁気共鳴血管撮影)では、動脈硬化や小さな梗塞を発見できます。超音波検査では、頚動脈が動脈硬化で狭くなっているか分かり、70%以上狭くなっていれば血栓内膜切除術で予防できます。特に、高血圧、高脂血症、糖尿病の危険因子をもつ人は、一つでも減らし、検査をして、脳卒中を予防してください」

2003年11月 公開

※記事内容、肩書、所属等は公開当時のものです。ご留意ください。

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