日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
生活習慣病とその予防

歯周病

どんな病気?

 歯周病は、歯垢中の細菌による炎症の結果、歯を支える骨(歯槽骨)や歯肉が破壊されていく病気です。歯垢は細菌とその排泄物の塊で、食べかすではありません(もちろん食べかすもお口の中の汚れです)。たとえ口から物を食べなかったとしても口の中の細菌は増えていきます。したがって、歯と歯肉の境界、もしくは歯と歯肉のすきま(歯周ポケット)の歯垢が放置されると、食事をしなかったとしても細菌が増え、炎症が起こり、歯の支えが破壊されていくのです。

 歯周病では、痛みなどの自覚症状はあまりありません。そのため、歯がグラグラしてきた、体調を崩したら急に歯肉が腫れたといった症状を感じてきたときには、実はかなり重症な歯周病である場合も珍しくありません。これまでむし歯もなく、歯医者さんに行く必要を全く感じていなかった方が、抜歯をせざる得ないこともあります。

 しかし、歯がぐらつき始めてからの歯周病治療は大掛かりになりますし、他の歯への負担を考えて、抜歯するしかないこともあります。歯の本当の大切さを、失ってからしみじみ実感するようなことにならないよう、歯周病をしっかり治療していきましょう。

 歯周病は、歯を失うばかりではなく、糖尿病や動脈硬化などの病気にも関連することが分かってきています。お口のみならず体全体の健康のためにも歯周病をしっかり管理していくことは大切です。

●発見・診断の検査
 検査項目解説
スクリーニングプラークの付着、歯周ポケットの深さなど歯肉からの出血の有無、歯周プローブでポケットの深さを調べます。また歯の動揺度をみます。
詳しい検査エックス線検査歯槽骨の状態を調べます。

検査はかかりつけ歯科で行われます。

数字で見る歯周病

  • 歯肉炎及び歯周疾患の患者数は、398万3,000人 詳しく見る ▶
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    25〜34歳で32.4%、45〜54歳 で49.5%、
    65〜74歳で 57.5%詳しく見る ▶
  • 歯科診療の医療費は、2兆8,574億円 詳しく見る ▶

歯周病の予防と治療

 歯周病の原因は、口の中の細菌です。ならば口の中に細菌がいなくなればと良いのですが、残念なことに口の中の細菌をゼロにすることはできません。できることは細菌が増えないように清掃することです。そして、お口の中の清掃の代表的なものが歯磨きです。

 おそらく、歯磨きをしていないという方はいらっしゃらないと思います。しかし、きちんと清掃が行われているかといったら、多くの方の歯磨きは不十分でしょう。歯の噛む面は磨いていても、歯と歯肉の境目が磨けていないことが多くみられます。また、奥歯や歯の裏側にうまく歯ブラシが当たっていないことも珍しくありません。一方、力づくでのブラッシングのため、歯垢は除去されているが歯の根元が大きく削れてしまっている方もみられます。実は、適切に歯磨きを行うことは意外と困難なのです。

 適切にお口の中の清掃を行うためには、歯ブラシだけは困難なため、特に歯と歯の間の清掃には、デンタルフロス(糸ようじ)、歯間ブラシなどを併せて使用する必要があります。歯並びの状態、歯と歯の隙間の大きさなどを考え、適切な清掃を行うためには、器具の選択、使用法の指導を是非、歯科医院で受けて、正しい清掃方法を身につけてください。

 歯の表面についてしまった歯石は、患者さん自身で除去することはできません。特に歯周病で問題となる歯石は、歯周ポケット内にあるので、患者さん自身では、見ることもできません。歯石の除去は、歯科医院にて行ってもらう必要があります。したがって、歯科医院での定期的な歯周病の状態のチェック、清掃状態のチェックおよび指導、さらに必要に応じて専門家による清掃や歯石の除去は、歯周病の予防、早期発見、早期治療には有効です。

 歯周病が重症な場合には、歯肉に切開を加える手術(特別な事情がなければ入院は必要ありません)、場合によっては抜歯を余儀なくされることもあります。

 喫煙は、歯周病の進行を早め、治療の効果が出にくくなります。喫煙習慣のある方は、ぜひ禁煙をしてください。歯周病の治療は、歯科医院での専門的な治療も患者さん自身の日々の適切なお口の清掃が土台になります。ぜひ、適切なお口の清掃を習慣化してください。

関連する生活習慣病

の数が多いほど関連が強いことを意味します。

★★☆
糖尿病は歯周病の危険因子であり、かつ、歯周病があると血糖値が高くなりやすくなります
★☆☆
骨粗鬆症あるいは骨密度の減少は、歯周病の進行、歯槽骨の喪失と相関します。
★☆☆
歯周病を予防すること(規則正しい食事、よく噛む、余分な間食は避けるなど)は、肥満症/メタボリックシンドロ―ムの予防になります。
★☆☆
近年、歯周病が動脈硬化の危険因子の一つであるとする研究発表が増えています。

さらに詳しく

2018年12月 公開
2019年11月 更新

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