大腸がん
どんな病気?
大腸がんとは、小腸末端につながる盲腸から結腸、直腸までの大腸粘膜上皮から発生するがんで、生じた部位によって結腸がん、直腸がんとも呼ばれます。大腸がんの発生は良性ポリープが非常に長い時間をかけてがん化するのがメインルートと考えられています。
近年、わが国では大腸がんが急速に増加し、今や罹患率がトップになりました。 その原因には、高脂肪、低繊維食の欧米型食生活が影響していることが指摘されています。脂肪の多い食物は腸内で胆汁酸や腸内細菌が作用しあって発がん物質ができ、それが大腸の粘膜と長期にわたって接触するうちにがんが発生します。また緑黄色野菜の不足、飲酒、運動不足、ストレスも関係があると考えられてしています。
症状としては、下血(肛門からの出血、血液が便に付着)、排便習慣の変化(これまでの排便習慣が変化して、便秘または下痢ぎみになったり、あるいは両方みられる)、腹痛、体重減少を伴った全身倦怠感などがあります。
診断は、大腸の内視鏡検査で大腸の中を直接観察、がんの存在と病理組織検査で行われます。
治療の基本は外科的に行う切除術で、早期の場合は内視鏡を入れて同時に切除します。進行している場合は開腹により患部の切除術が行われます。
●発見・診断の検査検査項目 | 解説 | |
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スクリーニング | 便潜血検査 | 便を採取して血液が混じっていないかを調べます。 |
詳しい検査 | 大腸内視鏡検査 | 肛門から内視鏡を入れて、大腸の病変の有無を調べます。 |
市区町村の大腸がん検診、人間ドック、かかりつけの内科医で行われます。
数字で見る大腸がん
- 大腸がんで治療を受けている総患者数は、48万8,000人
- 大腸がんの医療費は、5,872億円
- 大腸がんによる年間死亡者数は、5万3,088人
-
がんの部位別罹患率では、男女とも
第2位が大腸がん、第3位は肺がん -
大腸がんの5年相対生存率は、
結腸がん 71.2%(男性72.8%、女性69.4%)
直腸がん 71.8%(男性71.7%、女性71.9%)
大腸がんの予防と治療
日常生活でからだを動かす運動習慣が、がんの危険性を減らす可能性を示した報告が多くあります。なかでも大腸がんは、運動習慣により発がんリスクが低下するとの研究報告が充実しており、科学的に明らかな関連があるとされています。ですから予防という点では、日頃から積極的な運動を心掛けるようにしましょう。
次に、早期発見という点では、便潜血検査が役立ちます。いわゆる検便です。この検査で便の中で血液が混ざっていることがわかったら、必ず精密検査を受けてください。精密検査は内視鏡を使って行うことが一般的です。恥ずかしがってこの検査を受けずにいる人もいますが、せっかくがんを早期に発見できるチャンスを無駄にしないでください。
なお、大腸がんは、他のがんに比べると進行スピードが遅いことが多いので、早期に発見できれば完全な治癒を期待できます。
*喫煙習慣・飲酒習慣・運動習慣・BMIから今後10年の「大腸がん罹患リスク」を判断(国立がん研究センター 社会と健康研究センター)
★の数が多いほど関連が強いことを意味します。
2015年12月 公開関連する生活習慣病
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2019年11月 更新