脂肪肝/NAFLD/NASH
どんな病気?
肝臓の病気というと、古くはアルコールの飲み過ぎによる脂肪肝/肝炎か、B型肝炎やC型肝炎などの「ウイルス性肝炎」が大半を占めると考えられていました。しかし近年、アルコールをそれほど飲まず、肝炎ウイルスにも感染していない人の中にも、脂肪肝/肝炎が少なくないことがわかりました。その多くは、糖尿病や脂質異常症、肥満/メタボリックシンドロームに伴うものです。
このような、アルコール多飲やウイルス感染によるものではない脂肪肝や、それによって起こる肝臓の病気のことを「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」といいます。'アルコール多飲によるものではない'ことの具体的な目安は、お酒に含まれる成分のエタノール量が1日あたり男性で30g未満、女性では20g未満であることです。30gとはビールならば750mL(大瓶1本強)、日本酒なら1合半、ワインはグラス2杯半、ウイスキーではダブルで1杯半に相当します。これよりも1日の飲酒量が少ない人(女性ではその2/3よりも少ない人)にみられる脂肪肝がNAFLDということになります。
NAFLDの中でも、肝臓の障害がより進行していている場合は「非アルコール性脂肪性肝炎(nonalcoholic steato-hepatitis:NASH」と呼ばれます。
2024年8月、NAFLDやNASHの名称が変更になりました。非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は「代謝異常関連脂肪性肝疾患(MASLD、マッスルディー)」、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は、「代謝異常関連脂肪肝炎(MASH、マッシュ」となりました。代謝異常とは、糖尿病や脂質異常症、肥満/メタボリックシンドロームなどを示しています。
ただし、新しい名称はまだ一般には普及していませんので、本解説では従来の呼称を使用しています。
NAFLDも、あるいはNASHでさえも、自覚症状はほとんどありません。しかし、肝炎の状態が長く続くほど肝硬変になりやすく、肝硬変に進行すると肝不全や肝臓がんの危険性が高まり、命に関係してきます。
●発見・診断の検査検査項目 | 解説 | |
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スクリーニング | 超音波検査 | 腹部超音波検査で肝臓に脂肪が蓄積しているかを調べます。 |
詳しい検査 | 血小板や肝線維化マーカー(血液検査) | 脂肪肝炎が進行していくと肝臓の線維化が生じます。 |
腹部超音波検査は人間ドックやかかりつけ医の中で一部の医療機関で行われます。精密検査は消化器内科で行われます。
数字で見る脂肪肝/NAFLD/NASH
- 健康診断を受ける成人の2〜3割がNAFLD1)
- NAFLDのうち約1〜2割がNASH1)
- NASHの5〜20%が5〜10年で肝硬変に至る1) 1) 「NASH・NAFLDの診療ガイド2010」(日本肝臓学会)
脂肪肝/NAFLD/NASHの予防と治療
NAFLDやNASHは、肥満やメタボリックシンドロームの影響が肝臓にとくに強く現れて起こる病気と言えます。糖尿病や脂質異常症があると、そのような状態にさらに拍車がかかります。ですから、その予防・治療には、まず、肥満/メタボリックシンドロームに該当する場合はそれを解消することです。そして糖尿病や脂質異常症があるのなら、それらをしっかり治療することです。
また、NASHから肝硬変に進行している場合には、肝臓がんになる可能性があります。ですから、それを早期発見できるように、こまめに画像検査を受けるようにしましょう。
関連する生活習慣病
★の数が多いほど関連が強いことを意味します。
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★★★
- 肥満症/メタボリックシンドロームは脂肪肝/NAFLD/NASHの主要な原因です。
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★★☆
- これらの病気は脂肪肝/NAFLD/NASHを起こしやすくします。
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2015年12月 公開
2024年09月 更新