日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
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生活習慣病

アルコール性肝疾患

どんな病気?

 アルコールは、ヒトのからだにとって異物です。ほかの食べ物や飲み物と異なり栄養にはならず、単にからだら不要なものとして肝臓で処理されます。ですからアルコール摂取が長期間続いていると、その間、肝臓に負担がかかり続けます。

 このような場合、多くはまず「アルコール性脂肪肝」になり、さらにアルコール摂取を続けていると「アルコール性肝炎」となって、肝臓の細胞の破壊が進行していきます。人によっては右上腹部の痛みや疲れやすさなどを自覚する場合もありますが、基本的には症状に現れません。

 アルコール性肝炎による肝臓の細胞の破壊が続くと、やがて肝臓の機能が失われていき肝硬変に至り、肝臓がんや肝不全の危険性が高くなります。また、その段階では、アルコール依存症になってしまっている患者さんが少なくありません。

●純アルコール量の計算式

お酒の量(ml) ×(度数または %) / 100 × 0.8(比重) = 純アルコール量(g) 例:ビール500ml(5%)の場合 
500(ml) ×(5÷100) × 0.8 = 20(g)

●発見・診断の検査
 検査項目解説
スクリーニング AST、ALT、GGTなど血液検査で肝臓障害の有無を調べます。
詳しい検査 HBsAg、HCVAb など血液検査、超音波検査など肝臓障害の原因が肝炎ウイルスでないことを確認します。また超音波検査で肝硬変に至っていないか、肝臓がんがないかなどを調べます。

検査は健康診断(職域,特定健診)、人間ドック、かかりつけ医で行われます。

数字で見るアルコール性肝疾患

  • 1日の飲酒量がアルコール換算で60g
    (日本酒なら3合、ビールなら350mL缶3本
    以上は、「多量飲酒者」
    1)
  • アルコールが関連した死亡者数は
    毎年3万5,000人2)
  • 1) 健康日本21(厚生労働省)、2) 尾崎米厚ほか:アルコールの社会的コストの推計.厚生労働科学研究費補助金 わが国における飲酒の実態ならびに飲酒に関連する生活習慣病、公衆衛生上の諸問題とその対策に関する総合的研究班平成21 年度研究報告書

アルコール性肝疾患の予防と治療

 アルコール性肝疾患の予防と治療は、なによりもアルコール摂取を控えることです。「アルコール性脂肪肝」の段階なら、節酒によって肝臓は元の状態に改善します。しかし「アルコール性肝炎」に進行している場合、肝臓を守る薬が必要となります。入院治療が行われることがあります。

 「肝硬変」に進行している場合は、すでに肝臓の細胞が多く破壊され、肝臓の機能が低下することでさまざまな影響が現れてきますので、それに対して対症的に治療します。この段階では、禁酒(節酒ではなく断酒)は基本中の基本です。

 アルコール性肝疾患であるのに節酒・断酒ができない場合や、アルコール依存症ではないかと思われる場合には、精神科などで専門的な診断・治療を受けましょう。

関連する生活習慣病

の数が多いほど関連が強いことを意味します。

★★☆
アルコールの多飲は脂質異常症や高尿酸血症や2型糖尿病を引き起こす原因でもあるため、アルコール性肝疾患の患者さんは、これらの疾患にかかるリスクが高くなります。過度な飲酒を続けると、これらの症状がさらに悪化する危険性もあります。
★☆☆
アルコール性肝疾患の患者さんは、肥満症/メタボリックシンドロームに該当することがあり、両者を併発していると肝臓により強い負担がかかります。

さらに詳しく

2015年12月 公開
2019年11月 更新

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