動脈硬化
どんな病気?
動脈とは、心臓から送り出した血液をからだの隅々へと運ぶ血管です。
健康な動脈には、からだの隅々(例えば内臓や足など)が必要としている血液を送り届けるために必要な十分な太さがあります。また動脈は血流に合わせて拡張と収縮を繰り返しているしなやかな血管で、それによって血液が滞りなく、かつ適度なスピードで、より先(からだの末梢)へと流れていきます。このように本来全身に血液を供給する血管が、何かしらの原因で狭くなったり、硬く変化してしまう病気が動脈硬化です。
動脈硬化が進行すると、内臓や足などが必要としている血液が十分に届かなくなります。動脈硬化はある程度まで進行するまでは悪影響が表れにくく、自覚症状に現れません。しかし、動脈硬化がある程度まで進行すると、動脈壁の病変である蓄積物(プラーク)が突然破裂して血栓という血液を塊が生じて,一気に血液の流れが途絶えてしまうという現象が起きることがあります。しかもその現象の多くは、ほんの瞬間的に起こります。
この現象が、心臓の筋肉に血液を送っている動脈(冠動脈)で起こると心筋梗塞、脳の動脈で起こると脳梗塞の発作です。どちらも命につながりかねない危険な病気です。そのような病気を発症するまで、動脈硬化は自覚症状に現れずに進行します。
●発見・診断の検査検査項目 | 解説 | |
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スクリーニング | 頸動脈エコー、脈波検査(PWV、CAVI)、足関節上腕血圧比(ABI)、血管内皮機能(FMD)、眼底検査など | 動脈硬化によって生じる動脈の硬さや脂質等の蓄積(プラーク)状態あるいは血管機能などを調べます。 |
詳しい検査 | 血管造影検査、CT検査、MR検査など | 病変が生じている血管部位に適した検査方法が行われます。 |
検査は循環器内科を中心とした関連する内科あるいは心臓・血管外科などで行われます。
数字で見る動脈硬化
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日本人のおよそ5人に1人は
動脈硬化による心臓や脳の病気で亡くなる1)
1) 急性心筋梗塞、その他の虚血性心疾患、脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血などの動脈硬化性疾患による死亡数(「平成29年(2017)人口動態統計(確定数)の概況(厚生労働省)より」
動脈硬化の予防と治療
動脈硬化が進む最大の原因は、加齢・老化ですが、それ以外に、男性であること(女性の場合は閉経後)、喫煙、肥満、メタボリックシンドローム、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病、高血圧などが該当し、これらを危険因子と呼んでいます。加齢・老化や性差(男性)などの危険因子は仕方ないことですが、それら以外は取り除ける危険因子です。
例えば、喫煙しているのであれば禁煙、肥満やメタボリックシンドロームに該当する場合は食事や運動に気を付けて減量することです。また、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病、高血圧症などがある場合にも、それらの病気を適切に治療し続けていれば、動脈硬化の進行を遅らせることが可能です。
なお、動脈硬化の進行の程度を判定する方法として、首の動脈に超音波を当てて血管が細くなっていないかを調べる方法や、手足の血圧の比や血流速度から動脈の状態を推測する方法などがあります。
関連する生活習慣病
★の数が多いほど関連が強いことを意味します。
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★★★
- 心筋梗塞は動脈硬化によって起こる病気です。
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★★★
- 動脈硬化はこれらの病気の重大な危険因子です。
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★★☆
- これらの病気は動脈硬化を引き起こす危険因子です。
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★☆☆
- CKDは動脈硬化の進行と関連する因子の一つです。
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2015年12月 公開
2019年11月 更新