日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
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生活習慣病

骨粗鬆症

どんな病気?

 骨粗鬆症は、骨がもろくて骨折しやすい状態になる病気です。

 骨の丈夫さを表す指標である「骨量(骨塩量)」は20歳頃に最大骨量に達します。その後比較的安定に推移した後、加齢に伴い減少します。そのため高齢になるほど骨粗鬆症になりやすく、とくに女性に多い病気です。

 女性に多い理由の一つは、ピーク時の骨量が男性よりも少ないことです。若いころに過剰なダイエットをしていると、ピーク時の骨量がより少なくなるので、歳をとってから骨粗鬆症になりやすくなると考えられます。もう一つは、女性の場合は閉経に伴い、骨吸収を抑制したり、骨形成を進める作用のある女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が激減するため、骨量が著しく減少します。

 骨粗鬆症の患者さんの骨折は、若い人のスポーツなどによる骨折と異なり、治るのに長い時間がかかります。とくに足の付け根の部分を骨折が問題で、これが起きると治るまで歩行できないために、足の筋肉が弱くなって、そのまま寝たきりになってしまう患者さんが少なくありません。

●発見・診断の検査
 検査項目解説
スクリーニング 骨密度検査(超音波、DXA、X線など)骨密度を測定し、減少していないかを診断します。
詳しい検査骨代謝マーカー(血液・尿検査) 骨代謝マーカーという検査により、骨の新陳代謝の速さを知ることができます。

検診の場合は、女性では40歳以降、男性は60歳以降に勧められます。 一部の自治体、人間ドックで、骨粗鬆症検診を行っています。また、かかりつけの整形外科医で行うことができます。

数字で見る骨粗鬆症

  • 骨粗鬆症の国内の患者数は、
    女性980万人、男性300万人1)
  • 介護必要度区分のうち「要支援」になる原因の
    第1位は関節疾患(17.2%)
    第3位は骨折・転倒(15.2%)2)
  • 65 歳以上の低栄養傾向(BMI≦20 kg/m2)の割合は男性 10.3%、女性 20.3% 詳しく見る ▶
  • 1) 「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」(一般社団法人骨粗鬆症学会)
    2) 「平成28年(2016)国民生活基礎調査の概況」(厚生労働省)

骨粗鬆症の予防と治療

 骨粗鬆症と、ロコモティブシンドローム、サルコペニア、フレイルは、互いに重なり合い部分が多く、いずれも日常生活での運動量を減少させ、そのことがさらに病状を悪化させます。それらの予防・治療法にも重なり合うことが多くあります。具体的には、なるべくからだを動かして筋肉の量や筋力を増やすことと、必要な栄養素をしっかりとるということです。

 また、適度な運動は、筋肉の量や筋力を増やすだけでなく、骨の新陳代謝を活性化し骨量を維持するのに役立ちます。ただ、既に骨粗鬆症やロコモティブシンドローム、サルコペニアに該当する場合、不用意な運動が転倒や骨折につながりかねないので、医師に相談のうえ実践してください。

 このほか、骨粗鬆症の予防や治療には、'骨の原料'とも言えるカルシウムをたっぷりとることです。また、カルシウムの吸収を助けたり、骨の形成を促すビタミンDも多くとりましょう。ビタミンDは日光に当たることで皮膚で作られるので、家屋の中での生活時間が長い人は、散歩をしたり窓際で陽に当たるようにしましょう。

 また、骨粗鬆症を治療する最大の目的は骨折を防ぐことなのですが、その骨折の多くは転倒したときに起こります。ですから転倒をしない工夫、例えば、家の中の段差をなくす、照明のスイッチは部屋の入口に付ける、階段などに手すりを設置する、などの対策もしておきたいところです。

 さらに、骨粗鬆症を生活習慣病という視点でとらえ場合、若い女性の過剰なダイエットも改めるべき生活習慣と言えます。

関連する生活習慣病

の数が多いほど関連が強いことを意味します。

★☆☆
COPDでは骨粗鬆症になりやすくなる可能性があります。また、骨粗鬆症のために 背骨の変形が起きていると、COPDによる呼吸機能の低下を強めてしまいます
★★☆
骨粗鬆症は、ロコモティブシンドロームの構成疾患のひとつであり、サルコペニアを合併する場合が多くあります。フレイルの状態にある人では、骨粗鬆症を有している人が多いと報告されています。

さらに詳しく

2015年12月 公開
2024年08月 更新

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