日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
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生活習慣病

糖尿病

どんな病気?

 糖尿病は、血糖値が高くなる病気です。

 血糖値とは、血液の中の糖分(ブドウ糖)の濃度(濃さ)のこと。健康な人の血糖値は食事の前の空腹時で70〜110mg/dLぐらいです。食事をとり、胃腸で食べ物を消化吸収し、ブドウ糖が血液の中に入ってくると、血糖値は高くなります。しかしそれでも、上限は140mg/dLぐらいです。血糖値がこれよりも高い状態を「高血糖」といいます。そして、その高血糖が続いている状態が、糖尿病です。

 血糖値が極端に高い場合には、命の危険もあるので緊急治療が必要です。しかし、糖尿病の患者さんがそのような危険な状態に陥ることはめったになく、通常はほとんど症状に現れない程度の高血糖です。症状が現れないのにもかかわらず、からだの中では知らず知らずのうちに、高血糖の悪影響がじわじわと広がっていきます。そして何年かたつと、「合併症」と呼ばれるさまざまな病気や身体の障害が現れます。

 例えば、失明することもある糖尿病網膜症。週に約3回、半日がかりで透析を受けないと生きていけなくなる糖尿病腎症。手足のひどいしびれが続いたり、全身にさまざまな影響が現れる糖尿病神経障害。これらの合併症を起こさないために、糖尿病と言われたら、血糖値が高くならないように、いつも気をつけておく必要があります。それが糖尿病の治療です。

糖尿病の診断

 糖尿病の診断は、高血糖が慢性的に続いているかどうかを確認して診断します。具体的には、血液検査で以下の4つのいずれかに該当した場合、その時点の血糖レベルを「糖尿病型」と判定します。そして、血糖値とHbA1cのいずれもが糖尿病型なら、糖尿病だと診断が確定します。

 血糖値かHbA1cのどちらか一方のみが糖尿病型の場合などでは、日を改めて再検査することもあります。また、血糖値が糖尿病型でかつ糖尿病の典型的な症状があるか、糖尿病性網膜症が確認された場合も糖尿病と診断されます。

<糖尿病型と判定される検査結果>
 ・随時血糖値が 200mg/dL以上
 ・空腹時血糖値が 126mg/dL以上
 ・75gブドウ糖負荷試験で2時間値が200mg/dL以上
 ・HbA1cが6.5%以上

※75gブドウ糖負荷試験
75gのブドウ糖を飲み、時間を追いながら血糖値を調べる検査です。血糖値の変動から、糖尿病型なのか、正常型なのか、あるいはその境界型なのかのパターンが示されます。

※HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)は過去1~2カ月の平均的な血糖の高さがわかる検査です。ヘモグロビンは赤血球の主要な成分で、血液中の酸素と結合して体の隅々に酸素を運搬しています。血液中の糖の濃度が高いとヘモグロビンの一部が糖と結合します。ヘモグロビンに占めるHbA1cの割合が高ければ、採血時点の血糖値が低いとしても、過去1~2カ月程度は高血糖が続いていたと判断できます。

●発見・診断の検査

 検査項目解説
スクリーニング血糖、HbA1cなど医療機関、健康診断で実施
詳しい検査合併症の検査(眼底検査、腎機能検査など)。糖尿病ならびに合併症を悪化させる体重測定、血圧測定、脂質検査など合併症としての糖尿病網膜症、糖尿病腎症などに関する検査。糖尿病とともに動脈硬化を進行させる肥満、高血圧、脂質異常などの評価を行う。

数字で見る糖尿病

糖尿病の予防と治療

 糖尿病は血糖値が高くなる病気ですので、予防や治療には、「血糖値が高くなるようなことを控えること」、そして「血糖値が高くなりにくい体質に改善し、それを維持する」ために、食事と運動が大切です。

●「血糖値が高くなるようなことを控える」
 食べ過ぎや飲み過ぎ間食、夜食を控えましょう。血糖値は、口から入った食べ物・飲み物が胃腸で消化吸収されブドウ糖になり、それが血液の中に入っていくことで高くなるのですから、食べ過ぎや飲み過ぎは、直接的に血糖値を高くする一番の原因と言えます。適切な量で、栄養バランスの良い食事をとることが、糖尿病の予防と治療につながります。

<食事のポイント>
 ・1日3食を規則正しく食べて、間食や夜食を避ける
 ・満腹になるまで食べないで、腹八分目を心がけ、ゆっくりよく噛んで食べる
 ・食物繊維を多く含む野菜、海藻、きのこなどを食べる
 ・脂質と塩分は控えめにする

●「血糖値が高くなりにくい体質に改善し、それを維持する」
 血糖値が高くなりにくい体質とは、血糖を効率良く利用できる体質にすることです。血液中のブドウ糖「血糖」は、全身の細胞のエネルギーとして利用されるために存在しています。血糖を細胞に入り込みエネルギーになる過程は、「インスリン」というホルモンによってコントロールされています。

 肥満、とくに内臓脂肪型肥満では、インスリンの働きが出にくくなり(インスリン抵抗性)、血糖値が高くなりやすくなります。逆にインスリンが働きやすい筋肉体質では、血糖値は高くなりにくくなります。

 インスリンの働きを良くするには、肥満を防止し、体重を適正にコントロールすることと、歩行、体操、筋肉トレーニングなどの運動を積極的に行い、常日頃からだをよく動かすことです。

<運動のポイント>
 運動には有酸素運動とレジスタンス運動(筋肉トレーニング)があります。

 有酸素運動は、酸素を十分に取り入れて行う中程度の強さの運動で、血糖や脂肪を効率よく燃焼させることを目的とした全身運動です。ウォーキング、ゆっくりめのジョギング、サイクリング、水泳などをある程度の強さを持続して行います。週に150分以上、週に3回以上、1回20分以上で、運動しない日が2日間以上続かないようにしましょう。

 レジスタンス運動は、筋肉に抵抗不可をかけて、筋力アップ目的とした運動です。腹筋、スクワット、腕立て伏せなどがあります。最初は軽い運動からはじめて、少しづつ強度を上げるようにしましょう。レジスタンス運動は、連続しない日程で週に2~3回行うようにしましょう。

 なお、すでに糖尿病の治療を行っている方は、運動に制限がある場合がありますので、運動する前に、かならずかかりつけ医に相談してください。

関連する生活習慣病

の数が多いほど関連が強いことを意味します。

★★★
糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害
これからの疾患は糖尿病の3大合併症と言われています。高血糖が長く続くことによって、細い血管(微小血管)が損なわれる結果、末梢神経や網膜や腎臓などに異常が現れます。これらの合併症を抑えるには厳格な血糖コントロールが大切です。
★★☆
これらの病気の重要な危険因子の一つとして糖尿病が該当します。
★☆☆
これらの病気は糖尿病の患者さんが併発しやすく、また併発した場合は合併症が起こりやすくなります。

さらに詳しく

2015年12月 公開
2024年10月 更新

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「糖尿病」の調査・統計

2024年10月16日
特定健診(40~74歳)受診者約3,017万人のうち、メタボリックシンドローム該当者は16.6%(男性13.3%、女性3.2%)、予備群該当者は、12.3%(男性 9.7%、女性2.6%)  令和4年(2022)「特定健康診査・特定保健指導の実施状況」の結果より
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糖尿病による死亡数は年間1万5,917人  令和4年(2022)「人口動態統計(確定数)の概況」より
2024年10月10日
糖尿病の年間医療費は1兆1,994億円  令和3年度(2021) 「国民医療費の概況」より
2024年10月10日
糖尿病が強く疑われる者は男性18.1%、女性9.1% 令和4年(2022) 「国民健康・栄養調査」の結果より
2024年09月06日
肥満の人は、男性 31.7%、女性21.0%。やせの人は、男性 4.3%、女性11.3%(20 歳代女性19.1%) 令和4年(2022)「国民健康・栄養調査」の結果より
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