日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
生活習慣病とその予防

食生活

健康的な食生活

 「健康的な食生活」とは、どのような食生活を指すのでしょうか? 参考になる情報の一つとして、「食生活指針」というガイドがあります。文部科学省、厚生労働省、農林水産省が平成28年(2016)に策定したものです。その内容は以下の10項目。まず、この10項目を頭の片隅に置くことから始めると良いでしょう。

●「食生活指針」が掲げる10項目

 ・食事を楽しみましょう
 ・1日の食事のリズムから、健やかな生活リズムを。
 ・適度な運動とバランスのよい食事で、適正体重の維持を。
 ・主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。
 ・ごはんなどの穀類をしっかりと。
 ・野菜・果物、牛乳・乳製品、豆類、魚なども組み合わせて。
 ・食塩は控えめに、脂肪は質と量を考えて。
 ・日本の食文化や地域の産物を活かし、郷土の味の継承を。
 ・食料資源を大切に、無駄や廃棄の少ない食生活を。
 ・「食」に関する理解を深め、食生活を見直してみましょう。

食生活改善と適正体重

 「食生活指針」の10項目よりももう少し本格的に食生活改善に取り組みたいという人には、厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」が参考になります。この「日本人の食事摂取基準」は5年ごとに改定されており、2020年版は、令和2(2020)年度から令和6(2024)年度まで使用される予定です。

 2020年版では、高齢社会の進展や糖尿病有病者数の増加等を踏まえ、生活習慣病の発症予防及び重症化予防に加え、高齢者の低栄養予防やフレイル予防も視野に入れたものとなっており、エネルギーの指標として目標とするBMI*の範囲や、炭水化物、たんぱく質、脂質、各種ビタミン及びミネラルといった栄養素を性・年齢階級別でどのくらい摂取すればよいかについて定めています。

*BMI(体格指数):体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

「日本人の食事摂取基準」2020年版の改定点

●目標BMI値

 2020年版では、50歳以上が3つの区分が細分化され、BMIの下限値が上がり、50~64歳は20.0以上で、65歳以上は21.5以上となりました。高齢になるに従い、普通体重の範囲であっても、BMIの低め、やせ過ぎは良くないということです。
fig07r.png

●タンパク質目標量の引き上げ

 2015年版は、18歳以上は摂取エネルギーに対して13~20%を目標としていましたが、2020年版では、50歳以上の年代におけるタンパク質の目標量が引き上げられ、50~64歳は14%、65歳以上は15%になりました。

 高齢になると、食事量全体を増やし、エネルギー摂取量を十分確保した上で、タンパク質の摂取量を増やして、筋肉量の低下を防ぐことが、低栄養予防・フレイル予防には大切です。 fig08r.png

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」(厚生労働省)

バランスのとれた食事

 「日本人の食事摂取基準」は摂取エネルギー量や栄養素が細かく定められていて、どちらかというと栄養士などの専門家向けの内容のため、少し難解かもしれません。そこで、より実践に向いた資料として、農林水産省と厚生労働省が策定した「食事バランスガイド」を紹介します。

 「食事バランスガイド」では、何をどれだけ食べたらよいかをわかりやすくするため、独楽(コマ)のイラストを用いて示しています。毎日の食事を「主食」「副菜」「主菜」「牛乳」「乳製品」「果物」の5つの料理グループに区分し、区分ごとに「つ(SV)」という新しい単位を用いて1日の目安が示されています。1日に食べるとよい目安の多い順に上から「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳製品」「果物」という5つの料理区分で示され、主食はごはん・パン・麺など、副菜は野菜・いも・海藻・きのこを主材料とする料理、主菜は魚・肉・卵・大豆・大豆製品を主材料とする料理を指します。

 5つの料理区分を、どれだけ食べたらよいかは「つ(SV)」という単位で示されています。この「つ」とは、「1つ」「2つ」と指折り数える「つ」と、1回あたりに提供される食事の標準的な量である「サービング(SV)」という単位が組み合わされたものです。


 食品にはそれぞれ、さまざまな栄養素が含まれていますが、多く含まれるものと少ししか含まれないものの差異があります。多くの食品を食べることで、おのずと栄養素を過不足なくとることができます。一方で偏った食生活を続けていると、栄養素不足あるいは過剰となり、さまざまな病気を引き起こします。

●バランスが良くない食生活が続いていると...
   不足           過剰        
エネルギー摂取量  低体重・やせ 肥満、高尿酸血症、糖尿病、脂質異常症
タンパク質 サルコペニア
脂質 脳出血の危険増加 肥満、脂質異常症
糖質 肥満、脂質異常症、脂肪肝
ビタミンB1 脚気
ビタミンB2 口角炎、舌炎
ビタミンB6 皮膚炎、口内炎
ビタミンB12 貧血
ナトリウム 高血圧
カルシウム 骨粗しょう症 尿管結石
貧血
亜鉛 味覚障害


*喫煙習慣・飲酒習慣・食習慣・運動習慣・BMIから今後10年の「がん罹患リスク」を判断(国立がん研究センター 社会と健康研究センター)

数字で見る食生活

  • 肥満の人は男性 31.7%、女性21.0%。やせの人は男性 4.3%、女性11.3%(20 歳代女性19.1%)。65歳以上の低栄養の人は男性 12.9%、女性 22.0% 詳しく見る ▶
  • 食塩摂取量の平均値は、9.7g (男性10.5g、女性9.0g) 詳しく見る ▶
  • 野菜摂取量の平均値は、270.3 g(男性277.8g、女性263.9g) 詳しく見る ▶
  • 総コレステロール値が240mg/dL以上は男性13.4%、女性24.8%。non-HDLコレステロール平均値は男性142.7 mg/dL、女性145.9 mg/dL 詳しく見る ▶
  • 収縮期(最高)血圧の平均値は、男性131.4mmHg、女性125.5mmHg。140mmHg 以上は、男性28.9%、女性21.1% 詳しく見る ▶
  • 肥満、やせ、食塩摂取量の高い人でも食習慣を「改善するつもりはない」という人が4人に1人詳しく見る ▶
  • 外食を週1回以上利用している人は、男性 41.6%、女性 26.7%人 詳しく見る ▶
  • 健康食品を摂取している人は、男性30.2%、女性38.2% 詳しく見る ▶
  • 主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上毎日食べる人は、男性45.4%、女性49.0% 詳しく見る ▶

さらに詳しく

2019年11月 公開
2024年09月 更新

市民公開講演会参加者募集中!
明治PA3
新着ニュース

トピックス&オピニオン

Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
国際糖尿病支援基金
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート