日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
生活習慣病

脳梗塞

どんな病気?

 日本人の死亡原因の第4位が脳の血管の病気(脳血管疾患/脳卒中)なのですが、その多くが脳梗塞です。脳梗塞をいったん発病すると、たとえ命が助かったとしても、多くの場合、麻痺などの後遺症が残ってしまいます。

 脳梗塞は文字どおり、脳に梗塞が起きる病気です。梗塞とは、ある部分で血液の流れが止まってしまい、必要な血液を得られない箇所の細胞が死んでしまうことです。脳の細胞はほとんど再生しないので、脳梗塞で失われた機能は取り戻せません。ですから命が助かっても、後遺症が残ってしまうのです。

 脳梗塞の原因は、大きく分けて二つあります。一つは脳の血管そのものに起こる動脈硬化(脳血栓症)です。脳の動脈硬化が進んで血管の内部が狭くなり、血液の流れが悪い部分ができていると、ちょっとした血圧の変化などをきっかけに、その部分に血栓(血の塊)ができて、血液の流れを完全に塞いでしまいます。

 もう一つは、脳でなく心臓の出来事によるもので、その大部分は、代表的な不整脈である心房細動の結果、心臓の中にできた小さな血栓が血液の流れに乗って脳の血管に運ばれてきて、そこで血流を塞いでしまう(脳塞栓症)という、起こり方です。

 脳梗塞の発作が起きると、手足のしびれや麻痺、ろれつが回らないといった症状が現れ、時間とともにひどくなっていきます。これらの症状が突然現れたら、躊躇せずに救急車を呼ぶことが、なにより大切です。

●発見・診断の検査
 検査項目解説
スクリーニング脳MR検査、CT検査 MRという装置を用いて脳の梗塞部位、範囲などを調べます。ときにCT検査で行うこともあります。
詳しい検査脳血管造影検査詰まっている血管の状態を調べます。

検査は神経内科、脳神経外科で行われます。

数字で見る脳梗塞

  • 脳血管疾患で治療を受けている総患者数は、174万2千人(うち脳梗塞119万9千人) 詳しく見る ▶
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  • 脳血管疾患の年間死亡数は、10万7,481人
    (うち脳梗塞5万9,363人)
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  • 要介護になる原因の第2位、約2割が脳梗塞などの脳血管疾患 詳しく見る ▶

脳梗塞の予防と治療

 脳の血管の中で血栓や塞栓が血流を止めてしまうのが、脳梗塞の原因です。ですから、脳梗塞の予防には、血栓ができにくいように、血液を固まりにくくしておくことが、これの予防につながります。いわゆる「血液サラサラ」の状態が良いわけです。

 注意したいことは、こまめに水分を補給することです。からだが脱水傾向にあるとき、血液は濃縮されてドロドロになり、固まりやくすくなります。つまり、脳血栓による脳梗塞が起きやすくなります。脳梗塞は高齢者に多い病気ですが、高齢者はからだの水分が少なくなっても喉の渇きをあまり感じないことがあります。ですから例えば夜寝る前に、また夜中トイレに起きたときなどに、コップに3分の1から半分程度の水を飲むと良いでしょう。

 なお、脳血栓を来す動脈硬化の予防には、その危険因子である高血圧や脂質異常症(高脂血症)、糖尿病などをきちんと治療すること、そして禁煙が必要です。一方、脳塞栓による脳梗塞については、心房細動など、不整脈の管理が重要です。 心房細動による脳塞栓を防ぐ目的で、血液を固まりにくくする薬が処方されるケースも、近年増えています。

 脳梗塞の発作が起きてしまったときに大切なことは、1分でも早く専門的な治療を受けることです。治療開始までに要した時間の長短が、発作後の予後(命が助かるか否かや、麻痺の程度)に大きく関係してきます。脳にある血管が詰まって起こる脳梗塞を、血栓を溶かし再び血液が流れるようにする薬を用いて治療する方法を血栓溶解療法といいます。t-PA(組織プラスミノーゲン活性化因子)は血栓を溶かす力が非常に強く、脳梗塞の特効薬として期待されています。脳梗塞発症4.5時間以内に静脈注射(点滴)で投与すれば、後遺症の発生も軽減できます。後遺症が残った場合、リハビリテーションを始めます。初めは大変つらいものですが、必ず少しずつ良くなっていきますから、希望を持って続けてください。

 なお、脳梗塞の発作と同じような症状が現れて、ごく短時間で自然に治る「一過性脳虚血」という発作があります。これは本格的な脳梗塞の前触れであることが多いので、治ったからといって安心せずに、すぐに診察を受けてください。

関連する生活習慣病

の数が多いほど関連が強いことを意味します。

★★★
脳梗塞の重大な危険因子です。
★★☆
脳出血は脳梗塞とともに脳血管疾患(脳卒中)に含まれる病気です。脂質異常症(高脂血症)、糖尿病、肥満症/メタボリックシンドロームは、脳梗塞を引き起こす動脈硬化の危険因子です。
★☆☆
脳梗塞と同様に、動脈硬化が進行すると起こる病気です。

さらに詳しく

2017年05月 公開
2019年11月 更新

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