全国生活習慣病予防月間2023

ニュース

2023/01/31
2月は「全国生活習慣病予防月間」です!2023年のテーマは一無(無煙・禁煙)~ Web講演会や生活習慣病予防啓発ポスターなど公開中~
2023/01/23
一無、二少、三多で生活習慣病を予防! 1月23日は「一無、二少、三多の日」、2月は「全国生活習慣病予防月間」です。
2022/11/08
あなたと地球の健康のために禁煙を!~市民公開講演会・参加者募集中(参加費無料)~―全国生活習慣病予防月間2023ー
2022/10/17
一無、二少、三多(いちむにしょうさんた)のピクトグラムが誕生! 6つの健康習慣で生活習慣病を予防しよう。

全国生活習慣病予防月間2023 市民公開講演会(Web講演会)

全国生活習慣病予防月間2023テーマ
一無(無煙・禁煙): たばこは万病のもと!~あなたと地球の健康のために禁煙を~

  • ■公開開始: 2023年2月1日(水)
  • ■視聴方法: 無料(登録不要)

講演会プログラム

講演1「たばこに関する新たな問題~環境破壊と新型たばこ~」

dr.muramatsur.jpg

村松 弘康 先生(中央内科クリニック 院長、東京都医師会タバコ対策委員会アドバイザー)

 たばこがどれだけ体に悪いのかという話は、すでに多くの方が一度は耳にされていることでしょう。しかし、医学的研究は日進月歩。年々新たなエビデンスが蓄積されてきています。その最新情報を村松先生がわかりやすく解説。日本人の喫煙者率は17%程度まで低下してきましたが、男性では27%といまだ4人に1人以上が喫煙していて、さらに年齢層別にみると、働き盛りの30~50代では3~4割に上り、引き続き対策の推進が必要とのことです。
 さらに近年の大きなトピックスとして、加熱式たばこの台頭が挙げられます。加熱式たばこは一般的に「害の少ないたばこ」だと思われ、メーカーからも「有害成分の含有量は従来型たばこの10%程度」というデータが公表されています。ただ、村松先生によれば、それは「100階から落ちるか10階から落ちるかの違い」とのこと。実際、加熱式たばこの登場前、今から20年も前から発売されている超低タールたばこ(レギュラータイプに比べてタールは10分の1、ニコチンは8分の1)を喫煙している人の肺がんによる死亡リスクは、レギュラータイプを吸っている人と有意差がないそうです。
 そして、もう一つの最近のトピックは「SDGs」。たばこの生産は貧困国を中心に行われており、収穫にあたる子どもたちが、経皮吸収によるニコチン中毒で死亡することもあるという衝撃的な実態が紹介されます。もちろん、栽培に伴う環境破壊も座視してよい問題ではありません。(収録時間22:19)

講演2「高血圧と喫煙をめぐって」

dr.saitohr.jpg

齊藤 郁夫 先生(慶応義塾大学 名誉教授)

 4,300万人の日本人が患っていると言われる「高血圧」。齊藤先生の講演は、その高血圧とはどういう病気かという基礎的な話からスタートします。ただし、書店に並んでいる本には書かれていないような情報がぎっしり。例えば、国内で最も古い高血圧に関する疫学研究は、今からちょうど100年前の1923年に報告されたとのことです。高血圧が「血圧亢進症」と呼ばれていたその当時、腎臓障害が起きていない患者の生存期間は2年、腎臓障害が起きている場合は6カ月と報告されているとのこと。谷崎潤一郎も高血圧の診断を受け、「血圧が180以上になると2年以内に死ぬ」と医師から警告され恐れおののいたというエピソードが残っているそうです。
 その後、米国のフラミンガム研究や我が国の久山町研究など、現在も続けられている疫学研究がスタート。それらの研究によって、高血圧とともに「喫煙」が、心血管疾患の重大なリスクファクターであることが明らかになりました。そして現在のガイドラインでは、高血圧治療に際して禁煙が減塩などとともに修正可能因子として掲げられています。ここで重要なこととして齊藤先生は、「ガイドラインでは単に『禁煙』ではなく、『禁煙(受動喫煙も含む)』とされていることだ」と指摘します。
 続いて最近のトピックとして昨年、高血圧治療補助アプリが保険適用されたことを解説。そのアプリの効果も含めて、高血圧の最新治療と「一無、二少、三多」の関連が語られます。(収録時間22:35)

講演3「たばこと歯周病」

dr.kobayashir.jpg

小林 隆太郎 先生(日本歯科大学 東京短期大学 学長、日本歯科大学 口腔外科 教授)

 歯周病を単に「歯の病気」だと思っている人には、ぜひこの動画をご覧になることをお勧めします。小林先生によると、「歯のために歯磨きをする」と言っていたのは昔のことで、今では「命を守るために歯を磨く必要がある」とされているとのこと。それだけ歯周病がさまざまな疾患のリスクを押し上げていることを示すエビデンスが蓄積されてきたようです。
 講演ではまず、それらの疾患と歯周病との関連が解説されます。中でも最近のトピックは、アルツハイマー型認知症と歯周病の関連。これには、慢性感染症である歯周病による慢性炎症と、歯の状態が悪化することによって硬いものを食べられなくなり脳への刺激が減るという、二つのメカニズムが関与しているようです。
 続いて歯周病の原因と治療方法の解説へと話は進みます。歯周病は、歯周病菌によって歯肉と歯の間に形成されるプラーク、つまり細菌の塊が歯周組織に炎症を起こし、なんら症状が現れないうちに歯槽骨を破壊していく病気。歯が揺れだした時には、歯槽骨はもうかなり減ってしまっていて、元の状態に戻すことはできないそうです。そして、たばこもまた歯周病のリスク因子であり、喫煙者は歯周病罹患率が高くて進行も速い、つまり、口の中の老化が進んでしまっていて、その影響はインプラント治療後にも及ぶとのこと。たばこは直接的に体を蝕み、かつ、歯周病を介して全身に悪影響を及ぼすということのようです。(収録時間24:27)

講演4「新たな禁煙治療法~オンライン診療と禁煙アプリ~」

dr.muramatsur.jpg

村松 弘康先生(中央内科クリニック 院長、東京都医師会タバコ対策委員会アドバイザー)

 オンライン診療は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックにより対面診療が困難となった状況で、当初は緊急措置的な意味合いでスタートしました。しかし実際のところ、禁煙治療に関してはコロナ以前においても、患者が忙しい合間を縫って複数回外来を受診することも困難なことが多く、その点でオンライン診療にメリットがあり、現在ではかかりつけ患者であれば初回からオンラインで禁煙治療を受けることができるようになりました。
 その禁煙治療においては、ニコチン依存状態への治療と、精神的な依存状態への治療を並行して進めることが成功のポイント。後者の精神的な依存状態とは具体的には、気分転換、口さみしい、手持無沙汰などの理由で吸ってしまうという状態。これまでのニコチンパッチなどの治療法はニコチン依存症に対する治療であって、精神的な依存状態への治療は手段が限られていました。そこに最近登場したのが禁煙アプリです。講演ではそのアプリの有効性などのデータが示されます。村松先生によると、「アプリを利用した治療により医療費負担はやや増える。しかし禁煙に成功すればたばこ代がかからなくなるのだから、検討に価する治療法」とのことです。
 このほか、現在なお終息の気配が見えないCOVID-19と喫煙について解説。たばこはCOVID-19感染リスクと重症化リスクを高めるだけでなく、long COVIDと呼ばれる後遺症のリスクを高めることも明らかになったそうです。(収録時間17:52)

総合討論「たばこは万病のもと」

宮崎 滋 先生(司会 一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 理事長)、村松 弘康 先生齊藤 郁夫 先生
小林 隆太郎 先生村田 正弘先生(NPO法人 セルフメディケーション推進協議会 会長)

 各講演に続き、NPO法人セルフメディケーション推進協議会会長の村田正弘先生が加わって、総合討論が行われました。司会の日本生活習慣病予防協会理事長の宮崎滋先生が、「実際に喫煙習慣のある患者さんに対してどのような指導を行っているか?」と質問。斎藤先生は、「長年にわたって禁煙運動が続けられてきた結果、現在もなお喫煙している方はかなり“コア”な患者さん」との印象を述べたうえで、日常診療においては初診時に禁煙の重要性を伝え「とにかくいずれ禁煙しましょう」と語りかけるとのこと。小林先生は歯科医という立場上、直接禁煙指導に携わる機会は少ないものの、学会活動を通して内科医との連携を強化している状況を紹介。また村田先生は、セルフメディケーションの視点から、内科医や歯科医との情報共有の下で患者や地位住民の禁煙指導にあたることの重要性を強調しました。
 続いて「禁煙ではなく節煙では意味はないのか?」との司会者の質問に対して、村松先生は専門の立場から「全く駄目ということではないが、実際問題として喫煙は依存状態のため節煙は困難。とくにニコチン依存と精神的依存のうち、ニコチン依存が強いと判断される人には、節煙によってかえってたばこがおいしく感じられてしまうことがあるため、勧められない」と解説。その他、会場からの質問やパネリスト間での質問への応答、講演で紹介しきれなかった重要な情報の追加解説などが語られています。(収録時間22:49)

※本市民公開講演会は、2023年1月12日(木)、日比谷コンベンションホールにて開催されました。

全国生活習慣病予防月間2023 協賛

  • 株式会社タニタ
  • 明治プロビオヨーグルトPA-3
  • 森永乳業
  • 株式会社 宮本製作所

全国生活習慣病予防月間2023 共催・後援・日本生活習慣病予防協会賛助会員

共 催

後 援

賛助会員