あなたと地球の健康のために禁煙を!ー全国生活習慣病予防月間2023 市民講演会公開中!

全国生活習慣病予防月間2023市民公開講演会「あなたと地球の健康のために禁煙を!」の4講演は引き続き継続公開中です。
全国生活習慣病予防月間2023市民公開講演会
講演1「たばこに関する新たな問題~環境破壊と新型たばこ~」

たばこがどれだけ体に悪いのかという話は、すでに多くの方が一度は耳にされていることでしょう。しかし、医学的研究は日進月歩。年々新たなエビデンスが蓄積されてきています。さらに近年の大きなトピックスとして、加熱式たばこの台頭が挙げられます。加熱式たばこは一般的に「害の少ないたばこ」だと思われ、メーカーからも「有害成分の含有量は従来型たばこの10%程度」というデータが公表されています。ただ、それは「100階から落ちるか10階から落ちるかの違い」とのこと。
そして、最近のトピックは「SDGs」。たばこの生産は貧困国を中心に行われており、収穫にあたる子どもたちが、経皮吸収によるニコチン中毒で死亡することもあるという衝撃的な実態が紹介されます。もちろん、栽培に伴う環境破壊も座視してよい問題ではありません。(収録時間22:19)

講演2「高血圧と喫煙をめぐって」

4,300万人の日本人が患っていると言われる「高血圧」。講演はその高血圧とはどういう病気かという話からスタートします。国内で最も古い高血圧に関する疫学研究は、今からちょうど100年前の1923年に報告されました。その後、米国のフラミンガム研究や我が国の久山町研究など、現在も続けられている疫学研究によって、高血圧とともに「喫煙」が、心血管疾患の重大なリスクファクターであることが明らかになりました。現在のガイドラインでは、高血圧治療に際して禁煙が減塩などとともに修正可能因子として掲げられています。
最近のトピックとして昨年、高血圧治療補助アプリが保険適用されたことを解説。アプリの効果も含めて、高血圧の最新治療と「一無、二少、三多」の関連が語られます。(収録時間22:35)

講演3「たばこと歯周病」

歯周病を単に「歯の病気」だと思っている人には、ぜひこの動画をご覧になることをお勧めします。「歯のために歯磨きをする」と言っていたのは昔のことで、今では「命を守るために歯を磨く必要がある」とのこと。歯周病がさまざまな疾患のリスクを押し上げていることを示すエビデンスが蓄積されています。講演ではまず、それらの疾患と歯周病との関連が解説されます。続いて歯周病の原因と治療方法の解説へと話は進みます。
たばこもまた歯周病のリスク因子であり、喫煙者は歯周病罹患率が高くて進行も速い、つまり、口の中の老化が進んでしまっていて、その影響はインプラント治療後にも及びます。たばこは直接的に体を蝕み、かつ、歯周病を介して全身に悪影響を及ぼします。(収録時間24:27)

講演4「新たな禁煙治療法~オンライン診療と禁煙アプリ~」

オンライン診療はCOVID-19パンデミックにより緊急措置的な意味合いでスタートしました。禁煙治療においては、ニコチン依存状態への治療と、精神的な依存状態への治療を並行して進めることが成功のポイント。これまでのニコチンパッチなどの治療法はニコチン依存症に対する治療であって、精神的な依存状態への治療は手段が限られていました。そこに最近登場したのが禁煙アプリ。「アプリを利用した治療により医療費負担はやや増える。しかし禁煙に成功すればたばこ代がかからなくなるのだから、検討に価する」とのこと。
このほか、たばこはCOVID-19感染リスクと重症化リスクを高めるだけでなく、long COVIDと呼ばれる後遺症のリスクを高めることも明らかになっています。(収録時間17:52)

総合討論「たばこは万病のもと」
市民公開講演会の最後に総合討論が行われました。「実際に喫煙習慣のある患者さんに対してどのような指導を行っているか?」、「禁煙ではなく節煙では意味はないのか?」などの司会者の質問に対して、各講師がそれぞれ解説。その他、会場からの質問やパネリスト間での質問への応答、講演で紹介しきれなかった重要な情報の追加解説などが語られました。(収録時間22:49)
2023年07月 公開