肺がん
どんな病気?
日本人の死因の中で最も多いのが‘がん’ですが、その中でも肺がんがトップです。肺がんは、ご存じのようにたばこを吸う人がかかりやすい病気です。肺がんにはいくつかのタイプがあり、肺扁平上皮がんというタイプのがんは、喫煙との関係が最も強いがんです。 肺扁平上皮がんは、気管から気管支の内部を覆っている扁平上皮という細胞ががん化したものです。扁平上皮がんは、タバコをよく吸う人に多発します。大気汚染、受動喫煙やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)も関係しています。
初期の段階では、がんが気管支の内表面に限られて限局しているので、X線検査をしても発見できません。ときに血痰として異常を気づくことがあります。大きくなると、気管支の内・外壁にも現れ、X線検査でも発見されるようになります。さらに、肺には血管が多数あるので、気管支外壁へ発育すると血液にもがん細胞が入って、ほかの臓器に転移します。
診断は、喀痰検査で痰の中にがん細胞が混ざっていないかの有無を調べたり、X線検査、CT検査などで行われます。
治療の基本は外科的に行う切除術で、ケースによっては放射線治療、抗がん薬による治療が行われます。しかし肺扁平上皮がんにならないようにするために、禁煙することがもっとも望まれます。
●発見・診断の検査検査項目 | 解説 | |
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スクリーニング | 胸部X線 | 異常陰影の有無を調べ肺がんが疑われる場合は精密検査を行います。 |
詳しい検査 | 胸部CT検査、喀痰検査、気管支鏡検査 | 肺の断面写真から肺がんを推定します。喀痰にがん細胞の有無を調べます。 |
検査は定期健康診断、肺がん検診、人間ドックで行われます。詳しい検査は内科、呼吸器内科で行われます。
数字で見る肺がん
- 呼吸器系がんで治療を受けている総患者数は、32万8,000人
- 呼吸器系がんの医療費は、5,931億円
- 呼吸器系がんによる年間死亡者数は、7万6,663人
-
がんの部位別罹患率では、男女とも
第2位が大腸がん、第3位は肺がん -
肺がんの5年相対生存率は、
肺がん:34.9%(男性29.5%、女性46.8%) -
喫煙者の肺がんリスクは非喫煙者と比べ、
男性で4.5倍、女性で4.2倍1)
1) 国立がん研究センターによる多目的コホート研究より
肺がんの予防と治療
肺がんの予防法と言えば禁煙です。他人のタバコの煙を吸わないことも大切です。逆に言うと、喫煙歴が長い人や受動喫煙の機会が多い人は、年1回のがん検診を受けることをお勧めします。
肺がんの治療法の基本は、がんを外科的に行う切除することです。手術が向かないケース、例えば高齢のために体力的に手術に耐えられない場合、がんが広範囲に広がっていたり転移してしまっていて手術をしてもがんを取りきれない場合などでは、放射線治療や抗がん剤による治療が行われます。
なお、近年ではがん細胞に絞って作用を発揮する効果的な抗がん剤が登場していますが、その薬も喫煙歴がある人では副作用が強く現れやすい傾向があります。発がんだけではなく、治療にもタバコが悪さをするということです。
*喫煙習慣・飲酒習慣・食習慣・運動習慣・BMIから今後10年の「がん罹患リスク」を判断(国立がん研究センター 社会と健康研究センター)
関連する生活習慣病
★の数が多いほど関連が強いことを意味します。
-
★★★
- COPDの原因の大半は喫煙で、喫煙は肺がんの最大の危険因子ですから、COPDの患者さんは肺がんになる危険性がかなり高いばかりでなく、肺がんの治療にもCOPDが影響します。
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★★★喫煙
- 肺がんの最大の危険因子は喫煙です。
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2015年12月 公開
2019年12月 更新