日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
生活習慣病

高血圧

どんな病気?

 高血圧は血圧の高い状態が続く病気です。

 血圧とは、血管の中を血液が流れる際に、血管の壁にかかる圧力のことです。健康な人の血圧は、収縮期血圧(心臓が縮んで血液を送り出したときの血圧。最大血圧)が140mmHg未満、拡張期血圧(心臓が拡張したときの血圧。最小血圧)が90mmHg未満です。このいずれかが上回っている状態が、高血圧です。

 血圧が高くても通常、特徴のある症状は現れません。症状が現れないのにもかかわらず、からだの中では知らず知らずのうちに、高血圧の悪影響がじわりじわりと広がっていきます。血圧が高いということは、血管の壁に強い圧力がかかっているということですから、それを治療せずにいると、血管が傷めつけられて動脈硬化が早く進んでしまうのです。言うまでもなく、血管は全身に張り巡らされていて、血管のない部分というのはほとんどありません。ですから高血圧の影響は全身に及びます。

 とりわけ,脳や腎臓、目の網膜は高血圧の影響を受けやすいとされています。それに、血液を送り出す際に負担がかかる心臓も、高血圧の合併症が現れやすい臓器です。それぞれ、脳梗塞、腎不全、眼底出血、心不全などを引き起こします。そうならないよう、高血圧と言われたら、血圧が高くならないように、いつも気をつけておく必要があります。

●発見・診断の検査
 検査項目解説
スクリーニング診察室血圧・家庭血圧医療機関・健康診断や家庭での測定
詳しい検査レニン・アルドステロン等の血液検査。腎動脈超音波検査など腎機能検査(eGFR、尿蛋白など)、糖尿病検査(血糖検査)。心電図などの心臓検査など 二次性高血圧の除外。危険因子、臓器合併症、脳心血管病などの予後影響因子の評価

検査はかかりつけ医で実施できます。そのほか、定期健康診断(職域)、特定健康診査、人間ドックでも行われます。

数字で見る高血圧

高血圧の予防と治療

 塩分をとり過ぎると血圧が高くなります。なぜかというと、塩分のとり過ぎは血液の塩分濃度を高めるように働きますが、ヒトのからだはそれを防ぐために、細胞の中の水分を血液に移行させて、血液の塩分濃度が上がらないようします。すると、血液の量が増えます。血液の量が多ければ多いほど、血管の壁には強い力がかかってしまう、つまり、血圧が高くなってしまいます。また、塩分のとり過ぎは、血管を収縮させるホルモンの反応を高めることでも、血圧を高くします。ですから、高血圧の予防・治療には、減塩が第一です。

 また、太っている場合は減量が大切です。とくに内臓脂肪型肥満では腹腔内の脂肪組織から血圧を上げる成分がたくんさん分泌されてきます。ですから体重を適正にすると、血圧も正常に近付いてきます。そのうえ、糖尿病や脂質異常症(高脂血症)などの改善効果も得られます。これらの病気はすべて血管の障害を促す原因ですから、減量は血圧低下だけにとどまらず、多くの生活習慣病の予防・改善に有効的に働きます。

 減塩や減量と同時に、からだを動かす習慣を身に付けることもお勧めします。からだを動かすことは、体重管理のうえでも必要ですが、それとともに血行を良くして血圧を下げる効果があります。ただ、血圧がかなり高い場合は、運動中に血圧が高くなり過ぎる可能性もあるので、無理は禁物です。

 このほか、アルコールの飲み過ぎに注意しましょう。

 薬物治療者での降圧目標は、75歳未満の場合は医療機関では最高血圧130未満かつ最低血圧80未満、家庭血圧では最高血圧125未満かつ最低血圧75未満。75歳以上の場合は、医療機関では最高血圧140未満かつ最低血圧90未満、家庭血圧では最高血圧135未満かつ最低血圧85未満です。

関連する生活習慣病

の数が多いほど関連が強いことを意味します。

★★★
これらの病気の最大の危険因子が高血圧です。
★★★
これらの病気の重要な危険因子の一つとして高血圧が該当します。
★☆☆
これらの病気は高血圧の患者さんが併発しやすく、また併発した場合は合併症が起こりやすくなります。

さらに詳しく

2015年12月 公開
2024年10月 更新

「高血圧」に関するトピック

2024年10月08日
10月8日は、糖をはかる日です。 健康診断の機会を逃さず、生活習慣病を予防しましょう。
2023年07月12日
日本人の自覚症状のトップは男女とも腰痛。高血圧、糖尿病、脂質異常症での通院が上昇! ~国民の健康、介護、貯蓄に関する「令和4年国民生活基礎調査」(厚労省)~
2023年05月30日
健康日本21で日本人はどのくらい健康になった?~第二次最終報告書と年次推移を図解~Part 1 メタボリックシンドローム、糖尿病、脳・心血管疾患の目標達成率
2021年07月12日
コロナ禍での高血圧症患者さんの過ごし方
2020年03月19日
中高年者こそ運動が必要 「健幸華齢のためのスマートライフ」で活力年齢が若返る 全国生活習慣病予防月間2020 講演会(1)
2019年08月15日
「10月8日は、糖をはかる日」講演会2019 参加者募集開始!
2019年08月15日
「10月8日は、糖をはかる日」2019年写真コンテスト作品募集開始!
2019年06月21日
高尿酸血症のリスクは痛風だけではなかった! 中高年だけでなく、若い世代から気をつけたい尿酸値
2018年06月07日
対談「女性と生活習慣病予防」一無、二少、三多で健康長寿
2018年05月24日
2018年度東京CDE・CDS受験者用講習会7月より募集開始

「高血圧」の調査・統計

2024年10月16日
特定健診(40~74歳)受診者約3,017万人のうち、メタボリックシンドローム該当者は16.6%(男性13.3%、女性3.2%)、予備群該当者は、12.3%(男性 9.7%、女性2.6%)  令和4年(2022)「特定健康診査・特定保健指導の実施状況」の結果より
2024年10月15日
メタボリックシンドロームが強く疑われる人は、男性 4.3%、女性11.3%。予備群の人は、男性 4.3%、女性11.3% 令和1年(2019)「国民健康・栄養調査」の結果より
2024年10月10日
高血圧性疾患の年間医療費は1兆7,021億円 令和3年度(2021) 「国民医療費の概況」より
2024年10月10日
高血圧性疾患による死亡数は年間11,665人 令和4年(2022)「人口動態統計(確定数)の概況」より
2024年10月10日
高血圧性疾患で治療を受けている総患者数は1,511万1,000人 令和2年(2020) 「患者調査の概況」より
2024年09月06日
収縮期(最高)血圧の平均値は、男性131.4mmHg、女性125.5mmHg。140mmHg 以上は、男性28.9%、女性21.1% 令和4年(2022)「国民健康・栄養調査」の結果より
2024年09月06日
食塩摂取量の平均値は、9.7g (男性10.5g、女性9.0g) 令和4年(2022)「国民健康・栄養調査」の結果より
2023年07月12日
日本人の自覚症状のトップは男女とも腰痛。高血圧、糖尿病、脂質異常症での通院が上昇! ~国民の健康、介護、貯蓄に関する「令和4年国民生活基礎調査」(厚労省)~
2023年06月01日
健康日本21で日本人はどのくらい健康になった?
~第二次最終報告書と年次推移を図解~
Part 1 メタボリックシンドローム、糖尿病、脳・心血管疾患の目標達成率
2023年01月05日
最新の患者調査(厚生労働省)より、国民の健康状態について分析
市民公開講演会参加者募集中!
明治PA3
新着ニュース

トピックス&オピニオン

Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
国際糖尿病支援基金
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート