飲酒
少酒の勧め
さまざまな生活習慣病がアルコールと密接に関わっていて、大酒をすれば多くの病気が誘発される可能性が高まります。「健康日本21」のなかでは、アルコールに関して「1日20g(日本酒に換算して一合程度)の摂取が望ましい」とされています。「百薬の長とはいへど、万の病は酒よりこそおこれ」という言葉もあるとおり、アルコールをたくさん飲める人でも、1日にその程度の飲酒量が望ましいということです。
●おもな酒類のアルコール量の目安種類 | 濃度 | 単位 | 酒量 | 純アルコール量 |
---|---|---|---|---|
ビール | 5% | 大瓶 | 633mL | 26g |
5% | ロング缶・中瓶 | 500mL | 20g | |
5% | 缶 | 350mL | 14g | |
日本酒 | 15% | 1合 | 180mL | 22g |
ウイスキー | 43% | シングル | 30mL | 10g |
43% | ダブル | 60mL | 21g | |
ブランデー | 43% | シングル | 30mL | 10g |
43% | ダブル | 60mL | 21g | |
カクテル | 25% | 1杯 | 90mL | 14g |
焼酎 | 35% | 1合 | 180mL | 50g |
酎ハイ | 7% | コップ1杯 | 200mL | 11g |
ワイン | 12% | グラス1杯 | 120mL | 12g |
ドライ・ジン | 47% | シングル | 30mL | 11g |
47% | ダブル | 60mL | 22g | |
ウオッカ | 60% | シングル | 30mL | 14g |
60% | ダブル | 60mL | 29g | |
紹興酒 | 12% | ボトル1本 | 600mL | 58g |
適正飲酒の10か条
公益社団法人アルコール健康医学協会では、アルコールの適正な飲み方・マナー等を以下の10か条にまとめています。
- 談笑し 楽しく飲むのが基本です
- 食べながら 適量範囲でゆっくりと
- 強い酒 薄めて飲むのがオススメです
- つくろうよ 週に二日は休肝日
- やめようよ きりなく長い飲み続け
- 許さない 他人(ひと)への無理強い・イッキ飲み
- アルコール 薬と一緒は危険です
- 飲まないで 妊娠中と授乳期は
- 飲酒後の運動・入浴 要注意
- 肝臓など 定期検査を忘れずに
多量飲酒によって生じる病気
過度の飲酒を長く続けると、さまざまな病気を引き起こす誘因となります。もっとも怖い病気が、最近、とくに問題になっているアルコール依存症です。
アルコール依存症は、大量のアルコールを長年にわたって飲み続けることで、アルコールを飲まずにいられなくなってしまう病です。体からアルコールが抜けると、イライラしたり、手の震えや発汗、動悸、頭痛、吐き気などの離脱症状が現れ、それを抑えるためにまた飲まずにいられなくなり、ついには精神的・身体的な影響のために仕事ができなくなるなど、生活面にも支障が出てきます。
アルコール依存症は「否認の病」とも言われ、本人は認めようとしない傾向があります。また、いったん飲酒をやめてもまた元の状態に戻ってしまうことも多いので、本人の強い意志と周囲のサポートがとても大切です。
アルコール依存症のほかに、アルコール性認知症という病気の心配もあります。これは、認知症の原因として、アルコールの多量摂取以外に考えられない場合に診断される病名です。
ただし、アルコールと認知症の関係はこの病名で診断される場合だけというわけではありません。例えば、アルコール摂取は脳血管障害のリスク因子であり、脳血管障害性認知症につながります。また認知症とは少し異なりますが、習慣的なアルコール摂取の影響でビタミンBが欠乏すると、ウェルニッケ脳症という病気になることがあります。つまり、アルコールの大量摂取は、さまざまな経路で脳にダメージを及ぼしかねないということです。
●多量飲酒によって生じる病気脳 | 急性アルコール中毒、アルコール依存症、アルコール性認知症 |
---|---|
心 臓 | 心筋症、不整脈 |
食 道 | 食道炎、食道がん、食道静脈瘤 |
胃 | 胃炎、胃潰瘍 |
腸 | 下痢 |
肝 臓 | 脂肪肝、アルコール性肝炎、肝硬変 |
膵 臓 | 急性膵炎、慢性膵炎 |
代 謝 | 糖尿病、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症、痛風 |
神 経 | 末梢神経障害 |
貧 血 | 大球性高色素性貧血 |
性 器 | 卵巣機能不全、勃起不全 |
*喫煙習慣・飲酒習慣・食習慣・運動習慣・BMIから今後10年の「がん罹患リスク」を判断(国立がん研究センター 社会と健康研究センター)
数字で見る飲酒
男性14.9%、女性9.1%
男性では40 歳代、女性では50 歳代が最も高く、
男性21.0%、女性16.8%
(健康日本21(第二次)、厚生労働省)
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2019年11月 公開
2019年11月 更新