一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
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おいしく食べる 楽しくはかる 生活習慣病講座

21.中性脂肪と動脈硬化の関係

 今回は、中性脂肪と動脈硬化の関係について、防衛医科大学校名誉教授の中村治雄医学博士に聞きました。
中性脂肪が高いと、なぜ動脈硬化になりやすいのですか
 「中性脂肪値が150mg/dl を超えると、コレステロールを運ぶLDL粒子が小型化しやすくなります。すると抗酸化作用をもつ粒子中のビタミンEが少なくなって、悪玉LDL−コレステロールが酸化され、さらに悪質になり、動脈硬化が進むのです」
中性脂肪値を上下内方法は?
 「(1)食べ過ぎに注意する。(余分なエネルギーは中性脂肪の材料になり、合成が進む)(2)アルコールの飲み過ぎに注意する(材料ならないが、中性脂肪の合成を進める)(3)n−3系脂肪酸をとる(魚の油のEPA=エイコサペンタエン酸、DHA=ドコサヘキサエン酸や菜種油のα―リノレン酸などは合成を抑える)、などです」
n-3系脂肪酸は、ほかにも作用がありますか
 「抗炎症作用です。最近の研究では、動脈硬化は血管内皮細胞の炎症だと考えられています。慢性的に炎症が続くと、C反応性タンパク(CRP)という炎症マーカーが作用して動脈硬化が進み、診断の指標になっているほどです。n−3系脂肪酸には、このCRPを減らす作用があると注目されています。CRPを減少させるためには、運動も有効です。特に、ウォーキング、ジョギング、自転車など、大腿部の筋肉を使う運動がお勧めです。大腿部には、脂肪分解酵素が最も多くあるので、脂肪の分解を促進してくれるからです。1週間に20kmを目安に、早足で歩くとよいでしょう」
食事と運動だけで十分なのですか
 「基本はこの2つですが、効果が上がらないときは薬を使います。CRP値が高い人で、LDLコレステロール値も高い場合、または中性脂肪値が高く、HDLコレステロール値が低い場合といった、心臓病や脳卒中になりやすい人でも、薬で予防できます。また、遺伝的な受容体の欠損でコレステロールを分解できない人が、1%ほどいます。最近、こういう人たちでもコレステロールを分解できるような遺伝子治療が始まりました。数年後には確立されるので朗報ですね。ほかの99%は生活習慣病ですので、食事と運動を改善し、高脂血症にならないように気をつけてください」

2003年08月 公開

※記事内容、肩書、所属等は公開当時のものです。ご留意ください。

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