日本生活習慣病予防協会 JPALD
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34.がんの現状

 日本人の死因第1位といえば、50年前までは結核、その後は脳卒中でしたが、この20年は「がん」が“独走”し続けています。その現状について、東北大学医学部の坪野吉孝助教授に聞きました。
がんで亡くなる人は、年間どれくらいですか
 「約30万人です。全死亡者数の約30%にも当たり、死因2位の心臓病が約15%、3位の脳卒中は約14%で、ほかの疾病を大きく引き離しています。30%というと、3人に1人ががんで亡くなっていることになるのですが、これは赤ちゃんからお年寄りまでを合わせた場合。40〜69歳の働き盛りの世代では、“2人に1人”にもなり、とても深刻な問題です」
どの部位のがんが多いのでしょう
 「全体では、肺と胃、大腸の順で多く、男性では、肺、胃、肝臓、女性では、胃、肺、結腸(大腸)です。1960〜2000年の40年間の変化を見ると、男性は胃が半分以下に減りましたが、直腸が2倍、肺、膵臓が3倍、結腸と前立腺が4倍にもなっています。また女性は、胃が3分の1、子宮が4分の1に減ったものの、乳房が2倍、肺2.5倍、結腸、膵臓が3倍になっています。40年で日本人のがんのパターンが急激に変化したということですね」
なぜですか
 「40年とはだいたい親から子への1世代ですが、遺伝子が大きく変化することはあり得ないでしょう。それなのに、増えるがん、減るがんがあるというのは、環境要因、特に食生活をはじめとする、生活習慣の変化が原因だと考えられます」
今後、がんの死亡率は変わると思われますか
 「実はこの40年で、それぞれのがんは増減していますが、がん全体の死亡率は、男性ではやや増加、女性では横ばいで、ほとんど変わっていません。これだけ医療が進歩しているのですから、死亡率はもっと下がってもよいはずです。このままだと、この先もがんとの戦いに負け続けていくことになりますね」
対策はありますか
 「予防が重要になります。実際にアメリカでは、予防を強化することで、90年代から死亡率が減り始めました。まずは、予防に有効とされる、がん検診を勧めます。日本では、まだ約2割の人しか受けていないのが現状です。そして、生活習慣の改善が大切。これについては、次回詳しくお話しましょう」

2003年12月 公開

※記事内容、肩書、所属等は公開当時のものです。ご留意ください。

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