日本生活習慣病予防協会 JPALD
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26.脳卒中とは

 かつて死因の第1位だった脳卒中。高血圧治療や減塩の効果で、命を落とすことは減りましたが、後遺症や寝たきりなどの深刻な問題が生じています。その現状を、日本脳卒中協会の山口武典会長に聞きました。
脳卒中は、どのような病気ですか
 「脳の血管の障害で、血管が詰まる『脳梗塞』、破れる『脳出血』や『くも膜下出血』が挙げられます。脳は体重のわずか2%程度の重さしかありませんが、血液は約12%、酸素は全体の20数%も消費されています。脳卒中が起こると、酸素やブドウ糖が不足して、神経細胞が破壊され、その細胞がつかさどっていた機能が侵され、さまざま障害が出ます。例えば、大脳だと半身の運動障害や言葉が出てこない、人の言うことが理解できないなどの失語症。脳幹や小脳だと、物が二重に見える、立てない、歩けない・・・などの症状が起こり、ひどい場合には、意識がなくなることもあります」
脳梗塞と脳出血、どちらが多いのですか
 「死因の1位だった1960年には、脳出血が約77%も占め、脳梗塞は約13%でした。塩分のとり過ぎで200mmHg以上の高血圧になり、脳出血を起こして亡くなる人が多かったからです。その後、健康診断の普及、高血圧の早期発見、薬や減塩での血圧コントロールの効果で、1999年には約23%まで減りました。その反面、脳梗塞が約63%にも増えているのが問題です」
脳梗塞の原因は?
 「主に次の3つに分けられます。(1)高血圧による『ラクナ梗塞』(脳の深い部分の細い動脈が狭くなり詰まる)(2)動脈硬化による『アテローム血栓性梗塞』(頸動脈や脳の大きな動脈が狭くなる。大部分は頸動脈の血栓がはがれて脳で詰まる)(3)心房細動という不整脈が原因の『心原性脳塞栓症』(心臓内にできた血栓がはがれて脳で詰まる)」
日本人が発症しやすいタイプは?
 「昔から塩分を好む日本ではラクナ梗塞が多く、1980年代では約40%、アテローム血栓性梗塞は約20%でした。ところが、2000年になると、ラクナ梗塞が約36%に減り、アテローム血栓性梗塞が約31%と急増。食生活の欧米化で動物性脂肪をとり過ぎ、動脈硬化が進んだのが原因でしょうね。特にアテローム血栓性梗塞は、再発しやすく、介護が必要となる場合が多いので、懸念されています」

2003年10月 公開

※記事内容、肩書、所属等は公開当時のものです。ご留意ください。

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