23.高血圧とは
自覚症状がないまま進行する高血圧。その現状を、東京慈恵会医科大学の和田高士健康医学センター長に聞きました。高血圧とはどういう状態ですか
「血圧が異常に高くなっている疾患です。『高血圧治療ガイドライン』(日本高血圧学会・2000年)では、収縮期(最高、最大)血圧が130(mm/Hg)未満で拡張期(最低、最小)血圧が85未満を正常血圧。収縮期が140以上、または拡張期が90以上を高血圧としています。これは医療機関で測った値なので、低めに測定される家庭血圧では、収縮期135以上、または拡張期80以上になります。気をつけてください」
症状は?
「自覚症状がほとんどありません。あっても肩こりや頭痛程度で、測定しないと高血圧かどうかわからないのです。気づかないまま放っておくと、動脈硬化が進んで、心筋梗塞や脳梗塞を起こしたりします。収縮期が200以上では、血管が圧力に耐えきれずに破れ、脳出血になることもあります。いずれも死に至るので、高血圧は“サイレントキラー(沈黙の殺人者)”といわれています」
患者数は?
「約3500万人います。平成13年国民栄養調査によると、男性は40〜50歳代の約4割、60〜70歳代の6割近く、女性は50歳代の約3割、60歳代の約4割、70歳代の5割で、年齢とともに増えています。厚生労働省提言の『健康日本21』では、日本人の平均収縮期血圧が5下がると、高血圧での脳卒中死亡率が約16%、2万2000人減ると推定しています」
原因は?
「約9割を占める『本態性高血圧』は、生活習慣病といわれるものです。検査をしても血圧が高い以外に異常がなく、遺伝や環境、生活習慣が複雑にからみ合って発症すると考えられ、男性は40歳代、女性は50歳代から増加します。残りは、腎臓の病気やホルモン異常が原因の『二次性高血圧』。10〜20歳代から常に血圧が高かったり、中高年や高齢で突然高くなります」
本態性高血圧は予防できますか
「最近は、正常範囲でも収縮期130〜139、または拡張期85〜89を “正常高値血圧”と分類し、高血圧予備軍と考えて、積極的に予防に取り組んでいます。収縮期が130以上、または拡張期が85以上になったら、生活習慣の改善が必要です」
2003年09月 公開
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