一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
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15.糖尿病予備軍

 現在、糖尿病予備軍といわれる人たちが約700万人います。発病しないための予防策はあるのでしょうか。日本生活習慣病予防協会理事長の池田義雄医学博士に聞きました。
まず、糖尿病予備軍とはどういう状態ですか
 「血液中のブドウ糖の値(血糖値)が、正常よりは高く、糖尿病と診断される値よりは低い状態です。具体的な日本糖尿病学会の診断基準では、空腹時の血糖値が110(mg/dl )未満で、ブドウ糖負荷試験という、糖液を飲んで2時間後の値が140未満だと正常型。空腹時が126以上、または糖負荷試験後が200以上だと糖尿病型と診断されます。そして、正常型にも糖尿病型にも属さないものを境界型といい、これが予備軍に当たります」
予備軍でも問題ですか
 「最近の研究では、予備軍の中でも肥満があり、血圧や中性脂肪値も高いと、動脈硬化の進行が早まって、脳卒中や心臓病を起こしやすいとされています。ですから予備軍でも安心できませんね。また、自覚症状が全くないので、予備軍だと気づかずに過ごしてしまうと、数年以内に本当の糖尿病になる恐れがあります。そしてその時には、網膜症、腎症、神経障害などの合併症が起きている可能性があるため、予備軍から糖尿病にならない努力が必要です」
では、どうすれば進行を止められますか
 「食事と運動、生活習慣の改善で予防できます。『フィンランド糖尿病予防研究』では、境界型の肥満者に、脂肪摂取量の減少、食物繊維を30g摂取、30分の運動という改善で、4年間での糖尿病発症率が半減しました。また、中国大慶市の『Da Qing 研究』でも、改善しない群での糖尿病発症率の約68%に対して、6年間の食事改善群で約44%、運動改善群は約41%、食事と運動改善群で約47%に減少しています」
日本ではどうでしょう
 「30〜50代の境界型の人たちでの『日本糖尿病予防プログラム』が進行中で、1日20分、週4日以上歩いて700kcalを消費し、適正体重の達成と維持を目標としています。2年経った中間報告では、何も改善しないと約26%が境界型から糖尿病に進みましたが、運動した人たちでは約11%に下がっていました。予備軍をその先の糖尿病に進ませないためには、生活習慣の改善、食事と特に運動が大切です。まずは歩くことから始めてください」

2003年07月 公開

※記事内容、肩書、所属等は公開当時のものです。ご留意ください。

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