日本生活習慣病予防協会 JPALD
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おいしく食べる 楽しくはかる 生活習慣病講座

42.乳がん(1) 肥満とアルコール

 今、女性が最もかかりやすいがん、「乳がん」。この40年で2倍に増えています。その危険因子と生活習慣との関わりについて、東北大学医学部の坪野吉孝助教授に聞きました。
乳がんのリスクを増やすものは何ですか
 「初潮年齢が早い、初産年齢が遅い、出産数が少ない、閉経年齢が遅いなどの月経と出産に関係する因子が、明らかな原因になっています。また、家族の病歴や遺伝子の変異、成人前の急速な成長の指標となる高身長も危険因子です。ただ残念ながら、これらは自分が意識して変えられるものではありませんね」
では、生活習慣ではどうでしょうか
 「肥満が閉経後の乳がんの危険因子になっています。よく脂肪のとり過ぎがリスクを増やすといわれていますが、あまりはっきりしないと考えられています。それよりも、脂肪、炭水化物、タンパク質を含めたエネルギーの過剰摂取と運動不足から起こる肥満が問題なのです。しかも肥満度が高くなるにつれ、乳がん発生率も上がり、肥満といわれるBMI(体格指数)=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)=25以上の人は、20未満の人の約2倍になります。そのうえ、乳がんばかりか、全がん死亡率も高くなることがわかっています」
子供のころからの注意が必要のようですね
 「子供のエネルギーの過剰摂取は、初潮年齢を早めたり、高身長といった危険因子に影響を及ぼします。また、若い頃からの動物性脂肪のとり過ぎは、乳がんリスクを上げる可能性がまだ残っているうえ、成人後の肥満を招くので、気をつけてください」
日ほかにリスクを増やすものはありますか
 「あまり知られていませんが、アルコールです。しかも日本酒なら1日半合、ワインなら1杯(約100ml)、ビールでも1杯(約250ml)といった少量の飲酒でも、飲まない場合と比べると、リスクが10%ほど高くなるのです。しかも、アルコール飲料の種類にかかわらず、1日の飲酒量が多くなるほどリスクが高くなることもわかっています。そのほか、深夜勤務などで夜中に照明を浴びることが多い人たちに、乳がんの発生率が高いという報告もあります。乳がんの危険因子を持っていて発生が気になるという人は、アルコールを控え、エネルギーの過剰摂取に気をつけて、肥満を避けるように心がけてください」

2004年02月 公開

※記事内容、肩書、所属等は公開当時のものです。ご留意ください。

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