1.治療から予防へ
世界一の高齢社会の日本で、いつまでも健康で快適に過ごすためには、病気の予防が重要です。中でも三大死因の脳卒中、心臓病、がんさらに糖尿病や高血圧などの発症には、生活習慣が大きくかかわっていることがわかってきました。このコーナーでは、生活習慣病を予防するにはどうしたらよいのかを考えていきます。1回目は、日本生活習慣病予防協会の池田義雄理事長に、生活習慣病とは何かを聞きました。
まず、生活習慣病とはどういうものでしょうか
「生活習慣病とは、平成8年12月に厚生省(現・厚生労働省)が提言した概念です。それまで使われていた『成人病』では、年をとったら脳卒中、心臓病、がんなどになってもしょうがない、誰もが避けられないので、早期発見、早期治療が重要だという二次予防が中心でした。ところが、現実には中高年だけでなく類似の病気が子供にもおこって、小児成人病という言葉もできました。疾患の背景には、加齢だけではなく、子供のときからの生活習慣が大きく影響するということです。しかも、成人病になる人が年々増え、発症後の治療ではなく、予防の必要性が出てきたのです。そのためには、一人一人の生活習慣を見直そうという、一次予防の概念に変わったのです」
それほど生活習慣は重要なのですか
「生活習慣とはライフスタイルともいい、食習慣、運動、休養、喫煙、飲酒などを指します。例えば、食べ過ぎによる過剰エネルギーや高脂肪、塩分のとり過ぎ、お酒の飲み過ぎ、運動不足、睡眠不足、ストレスといった不摂生は、短期間ではそれほど影響を及ぼしません。ところが、10年、20年と続けていくうちに肥満になり、血糖値、血圧、中性脂肪、コレステロール値も高くなって、生活習慣病の“終着駅”、脳卒中や心臓病を発症するのです。3月初めに人気俳優が急性心筋梗塞で倒れたというニュースがありましたが、肥満と喫煙が原因の一つだったようです。大事には至らなかったものの、長い沈黙の期間の後、ある日突然、症状が起こり、悪くすれば死にも至るのが、生活習慣病の怖いところです」
どのような生活習慣を心掛ければいいのでしょうか
「穀類が主体で乳製品もプラスした一汁三菜の日本型食生活、適度な運動、休養といった生活習慣を子供のころから積み重ねていくことがとても大切です」
2003年04月 公開
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