日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
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おいしく食べる 楽しくはかる 生活習慣病講座

38.サプリメントは有効?

 野菜や果物の栄養成分を、手軽にサプリメントでとってもがんが予防できる・・・。そう思っていたら大間違いです。その理由を、東北大学医学部の坪野吉孝助教授に聞きました。
サプリメントでは、がん予防できないのですか
 「緑黄色野菜の成分で有名な“β-カロチン”の研究では、予防どころかがんが増えてしまったのです。フィンランドの男性喫煙者約3万人の『ATBC スタディ』研究です。β-カロチンのサプリメントで喫煙者の肺がんを予防しようとしたのですが、発生率が18%も上昇しました。その後、アメリカの喫煙者約2万人の『CARET』研究でも、28%も上がったと報告されています」
β-カロチンのサプリメントは、飲まない方がよいということですか
 「β-カロチンが注目されたのは、野菜や果物を多く食べている人たちに、がんの発生率が低いということから。実際に食事からβ-カロチンを多くとって、血中濃度が高い人たちでも、がんの発生率や死亡率が低いと確認されています。それなのにサプリメントは逆効果だったので、1997(平成9)年に世界がん研究基金とアメリカがん研究機関は『がん予防のための14か条』で、野菜や果物を食べたり、肥満に気をつけていれば、がん予防のためにサプリメントを飲むことは恐らく不要だと提言しています」
さらに悪い研究結果がでたそうですね
 「昨年報告された、先進国8か国計約14万人の臨床試験のまとめでは、がん発生率だけでなく、総死亡率も高くなっていました。言い換えれば、寿命が短くなったということです。それでアメリカの厚生省は、昨年7月に『サプリメントについてのガイドライン』で、『がんや循環器疾患のために、β-カロチンを飲むべきではない』という方針を打ち出したのです」
β-カロチンはとらない方がよいのですか
 「いいえ違います。サプリメントではなく、食事からとってほしいということです。サプリメントは健康によく、食品だから害はないというイメージがありますが、簡単に食事の10倍以上もとれてしまうので危険なのです。サプリメントを飲んで、健康に気を配っているつもりでも、実は命を縮める可能性があることを忘れないでほしいですね。そして、健康を考えるのなら、有効性だけでなく安全性を重視してください」

2004年01月 公開

※記事内容、肩書、所属等は公開当時のものです。ご留意ください。

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