2.食習慣と寿命
生活習慣の中でも、食習慣が健康に及ぼす影響は大きく、寿命までもが左右されるようです。日本生活習慣病予防協会の池田義雄理事長に聞きました。食習慣と寿命には、深い関係があるのでしょうか
「東京都老人研究所と琉球大学が行った有名な疫学調査があります。長寿県として名高い沖縄に、総人口3千5百人中、90歳を超える高齢者が80人もいることから、日本一の長寿村といわれる大宜見村があります。この村の食習慣を平均寿命が短いという秋田県のある農村と比較してみると、長寿村は秋田の農村より肉類を2.5倍、緑黄色野菜を約3倍、豆腐などの豆類を約1.5倍食べ、果物の摂取量が多く、食塩の摂取量が少ないということがわかりました」
沖縄が長寿県なのはこの食習慣にあるのですね
「ところが、この『長寿県沖縄』に赤信号がともってきているのです。昨年12月に公表された『2000年都道府県別生命表の概況』によると、沖縄県の平均寿命は、女性は86.01歳で1975年以来、1位の座を守り続けていますが、男性は77.64歳で、前回の4位より一気に26位に落ちました」
この理由はどこにあるのでしょうか
「一つは、食生活の変化です。この長寿村のように、例えば豚肉の脂をしっかり落として調理するといった沖縄郷土料理中心の食生活を送っている人は少なくなり、特に中年層や若い世代では、食べ過ぎや飲み過ぎによる高エネルギー、高脂肪という食生活が増えているようです」
なぜ男女差が出てしまったのでしょうか
「肥満との関係が考えられます。肥満の質、つまり太り方には、性ホルモンによる性差があり、男性は20代後半から内臓に脂肪がつく内臓脂肪型で、さまざまな病気に結びつきやすいのです。一方、女性は50代ぐらいまでは皮下脂肪型で、閉経後に内臓脂肪型が増えてきます。同じ生活習慣で同じ物を食べても、男性の方がリスクの高い太り方をし、これが数年の寿命の差を生む要素でしょう。ただ、5〜10年後には、同じことが女性にも起こるだろうと考えられますし、前回調査から今回までの5年間の平均寿命の延び率も、男性が47位、つまり最下位で、女性も46位。『長寿県沖縄』を守るには、生活習慣を変えて、過剰な体脂肪の蓄積を防ぐ必要があるようです」
2003年04月 公開
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