13.糖尿病とは
今月は糖尿病について考えます。第一回は、どんな病気なのかを、日本生活習慣病予防協会理事長の池田義雄医学博士に聞きました。国民病ともいわれているようですが
「1997年に厚生省(現厚生労働省)が行った実態調査では、糖尿病が強く疑われる人(有病者)が約690万人、可能性を否定できない人(予備軍)が約680万人、30年前の10倍です。その後も増え続けて、今では有病者、予備軍とも約700万人、40代以上の10人に2人が、糖尿病有病者かその予備軍だと言われています。しかも今後このままいくと、2010年には糖尿病有病者は1080万人になるだろうと予想されています」
そもそも、どういう病気なのでしょう
「膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの量や作用が低下し、血液中のブドウ糖の濃度が高くなる病気です。食事からとった糖質は、消化されてブドウ糖になり、腸で吸収され、肝臓から血液中に送り出されます。そして、インスリンによって筋肉や脂肪の細胞に取り込まれ、エネルギーとして利用されます。この時、インスリンが足りなかったり、働きが悪いと、細胞が糖を取り込めなくなり、血液中にブドウ糖がだぶつきます。これを高血糖といい、この状態が長く続いているのが糖尿病です。この場合、尿糖にも高血糖がみられるところから、糖尿病とよばれているのです」
怖い病気だと聞きますが、そうなのですか
「医学が進歩し、糖尿病自体で命を落とすことは少なくなりましたが、糖尿病の初期には自覚症状がほとんどないので、気づかない内に病気が進行してしまう恐れがあります。怖いといわれるのは、気づいたころには、すでに網膜症、腎症、神経障害などの合併症が起きていたり、全身の動脈硬化が促進され、死につながることもあるからです」
糖尿病にはタイプがあるようですね
「大きく分けて、インスリンの絶対的な不足から起こる1型糖尿病と、インスリンが分泌されていても、うまく働かない2型糖尿病があります。生活習慣病と呼ばれるのは、日本人有病者の大多数を占める2型。加齢と生活習慣が大きく関係するので、40歳以降の中高年者に多くみられます。次回はこの2型糖尿病と生活習慣についてお話しましょう」
2003年07月 公開
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