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熱中症? いや、脳梗塞かもしれない! Part 1
症状の見分け方と対策

キーワード: 生活習慣 脳梗塞/脳出血 協会・賛助会員関連ニュース

 例年になく早い梅雨明けとともに、列島を猛暑が襲っています。夏になったら気を付けるべきことと言えば「熱中症」。その熱中症による救急搬送者数が、今年は過去の記録を上回るスピードで増加していることが報道されています。熱中症は時に命をも左右します。今年はとくに、対策の上にも対策を重ねておきたいところです。
 しかし、熱中症と同じような初期症状が現れ、かつ命にかかわるもう一つの重要な緊急事態が存在します。それは脳梗塞です。
 熱中症と脳梗塞を巡る最近のトピックスについて、Part 1では「症状の見分け方と対策」を豊田一則氏(国立循環器病研究センター副院長・脳血管部門長)に解説いただきました。

夏こそ脳梗塞に要注意

dr_toyota.png 熱中症の初期症状は、手足のしびれ、めまい、立ちくらみ、筋肉のこむら返りなどで、少し進むと、頭痛、吐き気、嘔吐、力が入らないなどの症状が現れます。夏場にこのような症状が現れたら、直ちに涼しい場所に移動して水分と塩分をとって安静にし、回復する気配がなければ医療機関を受診するか、場合によっては救急車の要請もためらってはいけません。

 しかし、夏場にこれらの症状が現れたからといって、すべて熱中症が原因と決めつけるのも危険です。熱中症は確かに命にかかわることのある緊急事態ですが、似たような初期症状が現れる緊急性の高い疾患として、脳梗塞があります。

fig01r.png  「脳梗塞は冬に多いのではないか?」と思われた人がいるかもしれませんが、実際はそうとは言えないようです。

 「脳の血管が破れるのが脳出血、脳の血管が詰まるのが脳梗塞。脳出血は冬に多いため、脳梗塞も冬に多いと思ってしまうかもしれませんが、実は脳梗塞は夏が一番多いという報告もあります」と語るのは、国立循環器病研究センター副院長の豊田一則氏です。

夏場の脳梗塞(夏血栓)は脱水の影響が大きい

 脳梗塞は毎年20万人が発症し、6万人近くが亡くなっています。命は助かっても、身体に障害が残ってしまうことが少なくありません。

 夏場に脳梗塞が多い理由について、豊田氏は以下のように解説しています。

fig02r.png  「脳梗塞は、血管の中に血液の塊「血栓」ができて脳への血流をふさいでしまう病気ですが、その血栓ができやすくなる大きな原因の一つが「脱水」ということです。脱水状態は血液がドロドロの状態であり、血液の成分が濃くなっていて血栓(夏血栓)ができやすくなります。」

 熱中症もまた、脱水のために発汗が十分できなくなり、体内の熱を放散できなくなることが関係していますが、夏場の脱水は、熱中症とともに脳梗塞のリスクも押し上げるということのようです。

夏場の脱水を起きやすくする原因

豊田氏は、この夏場にとくに気を付けるべきこととして以下を挙げています。

① 夏の朝
 猛暑日は発汗が増え、脱水状態になり脳梗塞を起こしやすくなります。とくに朝は、血圧が上昇し血栓が生じやすくなりますので注意しましょう。寝ている間に脱水になり、脳梗塞が起きて朝目覚めて麻痺があることに気付くこともあります。

② 運動後のビール
 夏はビールがおいしい季節ですが、運動で大量の汗をかいた後の飲酒には注意が必要です。のどをうるおしたつもりが、さらなる脱水状態を招きます。体を動かした後に冷えたビールを飲むのが楽しみという方は多いと思いますが、アルコールには利尿作用があり、脱水を招きやすくなることを覚えておきましょう。

③ 室温の温度調整
 今年の夏の気温は、気象庁の3か月予報によると北・東・西日本で高く、8月前半まではかなり高温になる地域もあると予想されています。とくに脱水予防に加え、室温の温度調整もしっかり行いましょう。

熱中症と脳梗塞の見分け方

 暑い時期、脳梗塞と熱中症の症状が似ていて間違いやすいため、注意が必要です。

fig03r.png  脳梗塞が発症したのに、軽い熱中症だと思い込み放置した結果、重い後遺症が残ってしまったというケースは珍しくありません。結果的に熱中症だったとしても、脳梗塞の疑いがあれば、すぐに救急車を呼ぶことが重要です。仮に熱中症と診断されたとしても、重症になれば命に関わるため、どちらの場合も注意が必要です。

 熱中症と脳梗塞の初期症状は似ていますが、それを見分けるポイントとして、脳梗塞ならではの症状について以下にまとめます。

fig04r.png

夏場の熱中症と脳梗塞予防のポイント

 豊田氏は、夏場の熱中症と脳梗塞予防のポイントとして、次の6つを示しています。そして、もし、「少しでも脳梗塞の症状が気になったら救急車を呼ぶべき」と呼びかけています。血栓を溶かす薬や血栓回収療法といった新しい治療は、脳梗塞発症後数時間以内でなければ施行できないとのことです。

「救急車を呼ぶのは申し訳ない、ご近所さんの目もあるし恥ずかしいと思う方もいるようですが、一時の恥ずかしさより、重い後遺症を背負って、この先長い人生を生きていく方がずっと辛いことです」と語っています。

fig05r.png

<脳梗塞についてもっと知りたい方へ>
脳梗塞を含む脳卒中については、公益社団法人日本脳卒中協会で詳細な情報を提供しています。
公益社団法人日本脳卒中協会


※内容監修:豊田一則先生

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