日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
ニュース

メンタルヘルスも「予防」する時代―第10回日本ポジティブサイコロジー医学会の紹介

キーワード: 生活習慣 ストレス関連疾患/適応障害 全国生活習慣病予防月間 協会・賛助会員関連ニュース

 近年のストレス社会の影響で、メンタルヘルス上の問題を抱えている人の増加が報告されている。メンタルヘルス疾患は、リスク因子に対処することで「予防」できるとする新しい考え方が2000年代に入り米国で広がり始め、わが国でも2012年に「日本ポジティブサイコロジー医学会」が設立された。
 今回、日本生活習慣病予防協会理事 海原純子先生が会長として開催される第10回日本ポジティブサイコロジー医学会学術集会(本年10月30日、Zoom)について紹介する。
身体疾患だけでなくメンタル関連疾患も予防できる!

 高血圧や糖尿病などの生活習慣病と呼ばれる身体疾患は、生活習慣を見直すことが発症リスクの低下につながる。そのために日本生活習慣病予防協会の活動も含め、生活習慣改善を促す啓発活動が続けられている。しかしその一方で近年のストレス社会の影響で、メンタルヘルス上の問題を抱えている人の増加が報告されている。さらに新型コロナウイルス感染症のパンデミックがそのような事態に追い打ちをかけていることも明らかになってきた。

 このようなメンタルヘルス関連疾患に対しては従来、早期に受診することが予後改善につながると伝えられてきた。もちろん早期治療は大切であるが、近年のストレス社会という環境因子により増加しているメンタルヘルス関連疾患は、リスク因子に対処することで「予防」できる可能性がある。

 本年10月30日(土)には、10回目となる日本ポジティブサイコロジー医学会の学術集会が開催される。同医学会は医師を中心としているが、学術集会はZoom開催となり、有料(要事前登録)ではあるものの、一般の方でも視聴登録はできる。Zoomは集会後1週間視聴可能である。

第10回学術集会の注目演題

 学術集会会長の海原純子先生(日本医科大学特任教授)は、同学会サイト内のビデオレターで、以下のように解説している。「ポジティブサイコロジーとは、人間のプラスの特性を科学的に研究する学問です。マイナスの感情が芽生えそうになった時に、例えば部屋の中に花を飾ったり、誰かへの感謝の気持ちを思い出したり、何かへの好奇心を大切にすることなどで、うつのスパイラルに入るのを防ぐことができます」。

 第10回学術集会のテーマは「Withコロナ、Afterコロナのポジティブサイコロジー」。会長講演は、「女性の健康とポジティブネス〜多様性を活かせる社会へ〜」。海原純子先生は、日本で初めて女性のメンタルクリニックを設立し、多くの著書で知られている。一方、ジャズ歌手をしながら医学部を卒業され、まさに多様な人生を実践していることも知る人ぞ知るエピソードである。

 坪田一男先生(慶應義塾大学名誉教授)は、「ステイホーム時代における太陽の下で過ごす意味」という時宜を得た講演タイトルで、戸外で過ごす事とメンタルを脳の機能から分析した講演である。

 同学会の理事長である大野裕先生(国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター顧問、他)は、「AIを用いたセルフカウンセリング」と題して講演する。大野先生はインターネットを介してストレスレベルを判定し、その結果に応じてチャットボット(AIを応用した自動会話)による認知行動療法などにより問題解決を導くシステムを展開している。

 なお、日本生活習慣病予防協会が主催する「全国生活習慣病予防月間2022」(2022年2月)の市民公開講演会(無料)では、大野 裕先生には、同テーマでの講演と海原純子先生とのトークショーが予定されている。

 元ロボット科学者で、幸福経営学が専門の前野隆司先生(慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科)は、「コロナ時代の幸福経営」というタイトルで、コロナ時代の幸福経営企業経営を分析する。

 そのほか、元マラソン選手の瀬古利彦氏(横浜DeNAエクゼクティブアドバイザー)と海原先生のトークショー「心で走る 〜 笑う・ひとと繋がるというレジリエンス」など、教育、運動、経営、音楽など広範な分野でさまざまなプログラムが企画されている。

 高血圧や糖尿病などの身体疾患を予防できたとしても、うつ状態では人生を十分に享受できない。10月末の秋の1日、この新しい考え方に関心を寄せてみてはいかがだろうか。

 第10回日本ポジティブサイコロジー医学会学術集会
第10回日本ポジティブサイコロジー医学会学術集会

一般社団法人 日本生活習慣病予防協会

[Terahata]

関連トピック

一無・二少・三多 ▶ 全国生活習慣病予防月間

2025年02月10日
毎年2月は「全国生活習慣病予防月間」
2025年のテーマは「少酒~からだにやさしいお酒のたしなみ方」です。
2025年01月23日
1月23日は「一無、二少、三多の日」
2月1日より「全国生活習慣病予防月間2025 」がスタート!
2024年12月26日
毎年2月は「全国生活習慣病予防月間」
2025年のテーマは「少酒」です!"からだにやさしいお酒のたしなみ方"をテーマに市民講演会(Web開催)を公開予定
2024年12月26日
最新の患者調査が公表される!~総患者数の最多は高血圧症で、前回より約100万人、歯周病は約275万人増加~
2024年10月24日
20~40代の女性で「運動をしない」割合が高く、とくに40歳代女性の体力が低下傾向
スポーツ庁「体力・運動能力調査」の結果

疾患 ▶ ストレス関連疾患/適応障害

2023年11月17日
若者が定着しない企業の二つの特徴 ~心療内科医の視点から~
2023年05月30日
精神科?心療内科? ~どう違い、どんなときに受診するか~
2023年04月20日
今年度の新入社員、適応障害の注意点は?
2022年03月22日
全国生活習慣病予防月間2022講演会レポート【1】 「こころの密を育てる~スマートフォンによるAIセルフカウンセリング~」 ー講演会は継続公開中!
2021年09月06日
メンタルヘルスも「予防」する時代―第10回日本ポジティブサイコロジー医学会の紹介

 ▶ 生活習慣

2025年02月10日
毎年2月は「全国生活習慣病予防月間」
2025年のテーマは「少酒~からだにやさしいお酒のたしなみ方」です。
2025年02月07日
「生活習慣」「健康状態」「医療受診状況」について、業態別の健康状態に関する調査結果まとめを公表(健保連)
2025年01月23日
1月23日は「一無、二少、三多の日」
2月1日より「全国生活習慣病予防月間2025 」がスタート!
2024年12月26日
毎年2月は「全国生活習慣病予防月間」
2025年のテーマは「少酒」です!"からだにやさしいお酒のたしなみ方"をテーマに市民講演会(Web開催)を公開予定
2024年12月26日
最新の患者調査が公表される!~総患者数の最多は高血圧症で、前回より約100万人、歯周病は約275万人増加~

 ▶ 協会・賛助会員関連ニュース

2025年02月10日
毎年2月は「全国生活習慣病予防月間」
2025年のテーマは「少酒~からだにやさしいお酒のたしなみ方」です。
2025年01月23日
1月23日は「一無、二少、三多の日」
2月1日より「全国生活習慣病予防月間2025 」がスタート!
2024年12月26日
毎年2月は「全国生活習慣病予防月間」
2025年のテーマは「少酒」です!"からだにやさしいお酒のたしなみ方"をテーマに市民講演会(Web開催)を公開予定
2024年12月26日
最新の患者調査が公表される!~総患者数の最多は高血圧症で、前回より約100万人、歯周病は約275万人増加~
2024年10月08日
10月8日は、糖をはかる日です。 健康診断の機会を逃さず、生活習慣病を予防しましょう。