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慢性腎臓病における心血管障害 〜L-FABPの可能性〜

キーワード: 糖尿病 CKD(慢性腎臓病) 動脈硬化 心筋梗塞/狭心症

末梢動脈とCKD
血管石灰化のためABIが偽陰性になりやすく、
早期診断にはSPPが推奨される

 続いて末梢動脈について述べる。

 腎不全はPAD(peripheral arterial diseases、末梢動脈疾患)の強力な危険因子であり、透析患者の四肢切断リスクは一般人口の83倍に上る10)。では、PADをどのように捉えればよいのだろうか。スクリーニング法として普及しているのはABI(ankle brachial pressure index、足関節上腕血圧比)だが、血管石灰化を伴うとABIは偽陰性(偽高値)となり感度が低下する。一方、皮下の微小循環を評価するSPP(skin perfusion pressure、皮膚組織灌流圧)は感度・特異度とも高く、PADの早期発見に適している。

 我々はMDCTを施行しPADと診断した透析患者のSPPを測定したところ、ABI 0.9では感度29.9%にとどまったのに対し、SPP 50mmHgをカットオフ値とすると感度が84.9%に向上した11)。またこの検討において透析患者の4割以上がSPP 50mmHg未満であり、透析医療におけるPADの頻度が従来考えられていた以上に高いことが明らかになった。さらに、透析患者の下肢血行再建術後の予後は2年生存率が5割と報告されていて12)、生命予後も不良となる。

抗血小板薬・抗凝固薬やリン吸着薬の選択が鍵を握る

 透析患者の予後を改善するには先ほど来述べている末梢微小循環障害や血管石灰化の問題への介入が必要となる。

 前者に対しては抗血小板薬のシロスタゾールが用いられることが多いが、同薬は心拍数を上げてしまう。しかし心拍数への影響がないプロサイリン等、他の抗血小板薬も同薬と同等にSPPの改善が期待できることを我々は報告している13、14)

 また後者に対しては前述したようにワルファリンの使用を控えることに加え、我々はリン炭酸カルシウムに替わるリン吸着薬として炭酸ランタンを用いることでAgatstonスコアの上昇を抑制できることを見出した15)。もちろん、リン摂取の管理や十分な透析も重要である。

末梢微小循環とL-FABP
尿バイオマーカーを用いて心血管障害を可及的早期に発見する

 ここまで、脳、心臓、末梢動脈と順にみてきたが、結局のところ予後を改善するポイントは早期診断である。先ほど述べたSPPもその手段の一つであるし、微量アルブミン尿が心血管障害の早期マーカーとされていることはご承知のとおりだ。こうした流れの中で近年、臨床応用されたのが尿中L型脂肪酸結合蛋白であるL-FABPだ。

 L-FABPは、尿細管周囲の毛細血管が虚血や酸化ストレスにより障害を受けた時に近位尿細管において誘導され、細胞内に生じた活性酸素や過酸化脂質を細胞外に排出するように働く。従って、このL-FABPを尿中でみるということは、虚血等のストレスにより障害が生じつつある過程を捉えていることになり、この点が糸球体障害の結果として現れるアルブミンと異なる。

CKD・AKI・CINとL-FABP

 冠動脈病変の診断のため、心電図、エコー、MRI、PET/SPECTなどが次々に登場し、心筋の微小循環障害の早期診断が可能になってきたのと同様に、腎臓組 織の虚血を早期に捉えるマーカーがいくつか開発されてきた。それらの中でL-FABPは腎灌流量の低下と最も強く相関する(図3)。

図3 傍尿細管毛細血管の血流量低下と尿中バイオマーカーの関係

腎移植後の患者12例での検討で、4種のバイオマーカーのうちL-FABPのみが、傍尿細管毛細血管の血流量の低下と有意な相関を示した。

〔Yamamoto T, et al. J Am Soc Nephrol 18:2894-2902,2007〕

 さらに注目すべきは、糖尿病性腎症による腎障害との関連だ。糖尿病性腎症において尿中微量アルブミンが早期マーカーとなることは周知されているが、L-FABPは、微量アルブミンも呈さない正常アルブミン尿期においても、コントロールに比し有意に上昇する(図4)。つまり尿中アルブミンよりも、さらに早いマーカーであるということだ。

図4 糖尿病性腎症のステージ別にみた尿中L-FABP

〔Kamijo-Ikemori A,et al. Diabetes Care 34:691-696, 2011より改変〕

 そのほか、心臓外科手術後の急性腎障害(AKI;acute kidney injury、急性腎障害)においてもL-FABPは、術直後に著明に上昇する16、17)。造影剤腎症においても同様であり、L-FABPを用いることで、こうしたAKIへの早期介入が可能になる。実際、腎疾患の国際ガイドラインであるKDIGO(kidney disease improving global outcomes、国際腎臓病予後改善機構)でもL-FABPは、シスタチンCやIL-18などとともにAKIのマーカーとして掲げられている18)。そして、それらの中で国内保険適用されている唯一の尿中バイオマーカーである。最後にその保険の適用条件を示すが(表2)、要はCKDの早期マーカーであることを理解してお使いいただければよく、またAKIの早期診断にも使用できるということである。

表2 L-FABPの保険適用条件

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(mhlab)

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