生活習慣病とその予防
病原体や有害物質、遺伝的な要素は疾病の発症や進行に影響します。そして、食習慣、運動習慣、休養の取り方、嗜好などの生活習慣も、糖尿病、高血圧、さらにはがん、脳卒中、心臓病など多くの疾病の発症や進行に深く関わっていることが明らかになっています。
疾病の発症に関わる要因 厚生省保健医療局生活習慣病対策室
現在、これらの生活習慣病の改善と予防が大きな課題となっています。「生活習慣病」という用語は、従来用いられていた「成人病」対策が、二次予防(病気の早期発見・早期治療)に重点を置いていたのに加えて、生活習慣の改善を中心にした一次予防(健康増進・発病予防)に重点を置いた対策を推進するために新たに導入された概念です。
生活習慣病の「代表格」である糖尿病患者さんの数は、わが国では890万人と推計されています。予備軍を含めると2,210万人ともいわれています。また、高血圧、脂質異常症といった疾患を有する人々の数は、それぞれ3,970万人、4,220万人と推定されます。中高年の多くの方が何らかの生活習慣病をもっていて、それが将来重大な健康障害になる可能性があります。これらの疾患について、早期発見と早期治療が急がれています。
このような状況をふまえて、現在、わが国では「21世紀における国民健康づくり運動『健康日本21』」が行われています。この運動は、2010年までをひと区切りとして9つの分野に関して目標を定め、それを達成すべく国民的な運動を展開していく活動です(2008年の改訂により、運動の期間は2012年度まで延長されました。それにともない、2010年度から最終評価を行い、その評価を2013年度以降の運動の推進に反映させることになりました)。
健康日本21の対象9分野と主な目標 (各分野に対して、70の目標項目、100の指標を設定している)
9つの分野には、まず、生活習慣に関わる要素として、栄養、運動、休養、たばこ、アルコールの5つが取りあげられています。これに加え、具体的な生活習慣病として、う蝕(いわゆる虫歯)や歯周病、糖尿病、循環器病(心臓病や脳血管の病気、およびその危険因子である脂質異常症や高血圧など)、そして"がん "という4つの疾患に焦点が当てられています。
これらを可及的に減らし、健康障害を予防していくために、栄養、運動、休養、喫煙、飲酒についての正しい生活を、習慣づけていく必要があるのです。このような目標に向けて、ぜひ実行してほしい健康習慣が「一無(いちむ)、二少(にしょう)、三多(さんた)」です。
関連情報
一無、二少、三多とは?
一無、二少、三多のエビデンス
- 2009年07月09日
- 「一無、二少、三多」はメタボを効果的に減らす
全国生活習慣病予防月間
毎年2月に行われる生活習慣病の予防活動「全国生活習慣病予防月間」では、「一無、二少、三多」をテーマに健康寿命を伸ばすための啓発を行っています。
生活習慣病予防のためのツール
生活習慣病チェックシート、一無、二少、三多の各テーマに関するポスターやリーフレットなどがダウンロードできます。
2018年01月 更新