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自覚症状はないのに受診した理由として「健診で指摘された」の割合が上昇
「令和5(2023)年受療行動調査」(厚生労働省)

キーワード: 生活習慣 健診・保健指導 全国生活習慣病予防月間 協会・賛助会員関連ニュース 厚生労働省の調査

 厚生労働省はこのほど、「令和5(2023)年受療行動調査」の結果を発表しました。自覚症状がなかったが受診した人の受診理由として、「健康診断(人間ドックを含む)で指摘された」を挙げた人の割合が45.9%に増加したことや、医療機関の情報の入手方法として、外来の場合1位は口コミ、2位はインターネットであることなどが明らかにされています。
「受療行動調査」は、「全国の医療施設を利用する患者について、受療の状況や受けた医療に対する満足度等を調査することにより、患者の医療に対する認識や行動を明らかにし、今後の医療行政の基礎資料を得ること」を目的に、3年ごとに実施されています。最新の令和5(2023)年調査は、全国の一般病院489施設の利用者約15万3,390人を対象として同年10月17~19日に行い、10万3,772人(外来7万488人、入院3万3,284人、回収率67.8%)から回答を得ています。

日本生活習慣病予防協会

健診後の受診や紹介受診が増えている

 まず、「初めて医師に診てもらった時の自覚症状の有無」の結果をみると、「自覚症状があった」がほぼ3分の2(66.1%)でした。「自覚症状がなかった」は28.4%(図1)、過去をみると2017年は25.8%、2020年は28.1%でしたので、自覚症状がなかった人が増えています。

 自覚症状がなかった人の受診理由としては、「健康診断(人間ドックを含む)で指摘された」がトップでほぼ半数(45.9%)を占めています。2017年は42.7%、2020年は44.2%であり、徐々にこの割合が上昇しており(図2)、自覚症状がなかった人が増えていることと相関していることがわかります。

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 自覚症状がなかった人の受診理由の2位は、「他の医療機関等で受診をすすめられた」であり、24.8%とほぼ4分の1を占めています。また、この割合も、2017年は23.0%、2020年は24.4%であって、徐々に上昇してきています。これは健診後に受診する人や、かかりつけ医を受診後に病院を紹介受診するという流れが定着しつつあることや、最近では、生活習慣病でもかかりつけ医だけでは判断できない病態(糖尿病合併症、心電図異常、動脈瘤のCT検査など)の増加もその一因であると思われます。

 かかりつけ医を受診後に病院を受診する人が増えている傾向は、「病院の種類別にみた外来患者の最初の受診場所」からもわかります。それによると、「最初は診療所・クリニック・医院を受診」した割合が、2017年は15.4%、2020年は18.0%、2023年は18.8%と漸増しています。また、とくに大病院(500床以上)では、2023年にはその割合が32.3%を占め、「最初から今日来院した病院を受診」の35.7%との差がわずかとなっています(図3)。

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 次に、受診理由の発生(自覚症状があった場合はその発現、なかった場合は健診で指摘される等)から受診するまでの期間をみると、自覚症状があった場合は「1~3日」と「1週間~1カ月未満」がともに17.6%と多くを占め、自覚症状がなかった場合は「1週間~1カ月未満」が25.4%と最多でした。なお、両者を合わせると、「1週間~1カ月未満」が最多で19.9%を占めています(表1)。

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医療機関に関する情報入手は、口コミとネット

 ふだん医療機関にかかる時に「情報を入手している」人は、外来では80.7%、入院では83.6%であり、多くの人が受診する前に医療機関の情報を入手して検討していることがわかります(表2)。

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 情報を入手していると回答した人に、その情報の入手先を質問した結果は、外来、入院ともに「家族・友人・知人の口コミ」が最も多く、7割近くを占めていました。次いで、医療機関が発信するインターネットの情報」が外来では28.8%、入院では21.4%、「医療機関の相談窓口」が外来では14.6%、入院では24.0%となっています。

 前回(2020年)の調査において、「医療機関が発信するインターネットの情報」と回答した割合は、外来24.4%、入院16.5%ですから、今回の調査では外来・入院を問わずその割合が増加しており、ネット情報がより重視されつつあることがわかります。

「完治まで入院希望」は4割に減少

 上記以外の主な調査結果を挙げると、「入院患者の今後の治療・療養の希望」については、「完治するまでこの病院にいたい」が40.8%まで減少し、一方で2位の「自宅から病院や診療所に通院しながら治療・療養したい」は35.1%まで増加しました。前回調査の2020年から、前者は約5ポイント減、後者は約5ポイント増です。

 このほか、受診の際に予約をした割合が79.0%と8割近くに上り、2017年の71.4%、2020年の77.7%から増加していること、病院に対する満足度は外来が63.7%、入院は67.3%であり、いずれも2017年(同順に64.7%、69.4%)から微減したことなどが明らかにされています。

出 典

厚生労働省「令和5(2023)年受療行動調査(概数)の概況」

参 考

受療行動調査(2021年)にみる生活習慣病の自覚症状の有無
~生活習慣病は初診時に「自覚症状がない」割合が高い~

[mhlab]

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