2000年06月30日
糖尿病がある場合は、より低めの降圧目標を推奨 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン 2000年版」発行
カテゴリー: 糖尿病
日本高血圧学会は「高血圧治療ガイドライン 2000年版」を発行し、現時点における高血圧の標準的な治療法をまとめました。血圧を表1のような基準で分類し、脳血管障害(脳出血や脳梗塞など)や冠動脈疾患(心筋梗塞など)のリスクに応じた治療法の基準を示しています。具体的には表2のように、‘血圧以外に危険因子がない場合’、‘糖尿病以外の危険因子がある場合’、‘糖尿病、臓器障害、心血管病のいずれかがある場合’の三つの階層に分けて、治療の重要度の指標とし、糖尿病をより重要な危険因子として取り上げています。
治療目標については、若年・中年者や糖尿病のある人は130/85mmHg 未満、高齢者は収縮期血圧140〜160mmHg 以下(年齢を考慮)、拡張期血圧 90mmHg 未満が望ましいとしています。糖尿病がある場合は臓器障害(合併症)のリスクが高くなるため、降圧目標がより引く設定されています。とくに糖尿病性腎症があり尿蛋白が1グラム/日以上の場合には、125/75mmHg 未満を降圧目標となっています。
表1 成人における血圧の分類
分 類 | 収縮期血圧 (mmHg) | 拡張期血圧 (mmHg) | |
至適血圧 | 120未満 | かつ | 80未満 |
正常血圧 | 130未満 | かつ | 85未満 |
正常高価血圧 | 130〜139 | または | 85〜89 |
軽症高血圧 | 140〜159 | または | 90〜99 |
中等症高血圧 | 160〜179 | または | 100〜109 |
重症高血圧 | 180以上 | または | 110以上 |
収縮期高血圧 | 140以上 | かつ | 90未満 |
表2 高血圧患者のリスクの層別化
血圧以外のリスク要因 | 血圧分類 | ||
軽症高血圧 (140〜159/90〜99mmHg) | 中等症高血圧 (160〜179/100〜109mmHg) | 重症高血圧 (180mmHg以上/110mmHg以上) | |
危険因子なし | 低リスク | 中等リスク | 高リスク |
糖尿病以外の危険因子あり | 中等リスク | 中等リスク | 高リスク |
糖尿病、臓器障害、心血管病のいずれかがある | 高リスク | 高リスク | 高リスク |