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職場の喫煙対策を考える ~都医師会対策委の村松弘康アドバイザーに聞く~

キーワード: 生活習慣 一無・二少・三多 「無煙」喫煙は万病の元 協会・賛助会員関連ニュース 喫煙

 日本生活習慣病予防協会理事 海原 純子先生(昭和大学客員教授)による同協会理事 村松 康弘先生(中央クリニック院長、東京都禁煙対策アドバイザー)へのインタビュー記事「職場の喫煙対策を考える」が「Dr.純子のメディカルサロン」(時事メディカルニュース)に掲載されました。
 「喫煙は健康に良くないと分かっていてもなかなかやめられなかったり、職場では今でも喫煙所でのコミュニケーションが大事などと言ったりする人がいます。禁煙するとストレスだ、という声も聞きます。今回は特に職場の喫煙について、東京都医師会タバコ対策委員会アドバイザー(元委員長)の村松弘康先生にお話を伺いました。」(時事メディカルニュース2022年8月22日より)

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新型コロナウイルスと喫煙・受動喫煙
ーいま求められる喫煙対策ー!

 村松 弘康 先生
 中央内科クリニック 院長、東京都医師会タバコ対策委員会アドバイザー

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは3年目に突入し、なお新たな変異株の出現を繰り返しており、依然として終息を見通せる状況でない。これまでに蓄積された多くのエビデンスから、喫煙がCOVID-19の罹患リスクと重症化リスクに関与することは、ほぼ確実と言える。本公演では、呼吸器専門医で東京都医師会たばこ対策委員会アドバイザーである村松先生により、喫煙とCOVID-19との関連についての最新情報がオーバービューされた。
 COVID-19のパンデミック初期に中国から、喫煙者のほうがCOVID-19罹患リスクが低いというデータが報告された。しかしその後、論文著者の一部がタバコ業界と関連があり、それを開示していなかったこと(COI開示違反)が明らかになって、論文は撤回された。また、研究手法そのものにも問題が指摘された。
 喫煙者のCOVID-19リスクがなぜ高いのかという疑問は、COVID-19の原因ウイルスである重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)が、アンジオテンシン変換酵素II(ACE2)受容体を足場として細胞内に侵入することで説明がつくと村松先生は解説する。喫煙によりACE2が用量依存的に増加するとのことだ。また、ごく単純なことだが、現在、公共の場の喫煙は禁止されているため、喫煙者は限られた喫煙スペースでタバコを吸う。そこは密閉、密集、密接という「三密」の代表のような場所であり、感染リスクは極めて高い。
 では、禁煙した場合はどうだろうか? 
 実は、COVID-19罹患時の重症化リスクは、現喫煙者は1.98倍であるのに対して、前喫煙者(禁煙者)は3.46倍に上ると報告されている。逆ではないかと思われるかもしれないが、これは、禁煙した人は過去の喫煙期間が長い人が多く、それまでに蓄積された呼吸器へのダメージが解消しきれていないために、このような結果になるという。
 最近では、紙巻タバコだけでなく電子タバコでもCOVID-19リスクが上昇すること、喫煙者はワクチン接種後の抗体産生量が少ないことなども、明らかになってきている。また、肥満者がCOVID-19ハイリスクであることに関しては、パンデミックの初期から指摘されてきた。村松先生は「コロナ禍の今こそ、一無、二少、三多を実践すべきだ」と、講演をまとめている。

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