全国生活習慣病予防月間2013
  • 全国生活習慣病予防月間
  • 全国生活習慣病予防月間2011年“禁煙”
  • 全国生活習慣病予防月間2012年“少酒”
  • 全国生活習慣病予防月間2013年“少食”
  • 全国生活習慣病予防月間2014年“多動”
  • 全国生活習慣病予防月間2015年“多休”
  • 全国生活習慣病予防月間2016”多接”
  • 全国生活習慣病予防月間2013 スローガン最優秀作品
  • 株式会社タニタへ
  • 大正製薬リビタライフへ
  • スローカロリープロジェクトへ
生活習慣病を防ぐ"少食"のすすめ
第3回全国生活習慣病予防月間講演会を開催
講演会場

2013年2月18日、千代田区立内幸町ホールで、日本生活習慣病予防協会、セルフメディケーション推進協議会の2団体共催による第3回全国生活習慣病予防月間講演会「生活習慣病を防ぐ少食のすすめ」が開催されました。

開催概要・プログラム
 詳しくはこちらをご覧ください » 第3回 全国生活習慣病予防月間講演会 開催のお知らせ

参加者の特徴―参加人数、職業―
  • ◇参加人数:150名 ※以下は回収したアンケートを集計したものです
  • ◇職 業(重複あり)
    管理栄養士・栄養士:40名、保健師:45名、看護師:11名、看護師・保健師両方:13名、
    薬剤師:3名、医師:2名、教育・学術関係:5名、その他:31名

講演会リポート

安田氏
安田俊道 理事
(司会進行)

村田先生
村田正弘 先生

宮崎先生
宮崎 滋 先生

 講演会は、セルフメディケーション推進協議会の安田俊道理事の進行で、同会・専務理事の村田正弘先生(明治薬科大学客員教授)の開会挨拶からスタート。

 お一人目は、(公財)結核予防会 新山手病院 生活習慣病センター長の宮崎 滋先生から、「全国生活習慣病予防月間」の意義とともに、先生のご専門である肥満治療領域からみた“過食”のリスク、肥満を予防する食生活のコツについてお話いただきました。

 次に、神奈川県立保健福祉大学学長の中村丁次先生(日本栄養士会名誉会長)に、「話題の糖質制限の是非をめぐって」と題しご講演いただきました。

中村先生
中村丁次 先生

 まず、「食事療法の基盤になっている栄養学は何を明らかにしたのか?」とし、近代科学以前からの食と栄養学の歴史について紐解かれました。人間は、古くから食事が、命、健康、さらに疾病の予防や治療に影響を与えることを経験的に知っていたが、栄養学は、食物に栄養素があること、食品選択の間違いで病気(欠乏症・過剰症)が発症することを明らかにしてきた、という興味深いイントロダクション。

 続いて、本第となる糖質が、糖尿病の食事療法として世界ではどのような経緯で議論されてきたかご紹介いただきました。インスリン発見前に行われていた飢餓療法は、基本的に炭水化物を与えないという食事療法でしたが、インスリン療法が実用化されることで炭水化物の摂取が許され、1950年代には、たんぱく質20%、脂質40%、炭水化物40%(その後、炭水化物を最大60%まで)との勧告もADAから出されています。その後、長年議論され、1994年には個々のリスクの状態で決める(炭水化物と脂質のバランスについては一律のコメントなし)ということに落ち着き、現在に至ります。

 個々でどう変わるかという部分では、そもそもやせた2型糖尿病患者にエネルギー制限食は意味があるのか?という問題から、肥満者はエネルギー制限下、やせの患者は制限なしという考え方で、カーボカウントやグライセミックインデックスの活用が推奨されてきました。また、肥満の有無に関わらず、主たる制限を炭水化物(低炭水化物食)にするか、脂肪(低脂肪食)にするかは個人が持つリスクにより決定するという方法が欧米のスタンダード。

 一方、日本では、エネルギー制限を基本に、炭水化物は指示エネルギー量の50〜60%として、3大栄養素の目標比率が決められています。現在行われている糖質の扱いに関する議論は、欧米からみると20年遅れているといえるのでは、との意見も。

 結語として、腹八分と運動により、適正体重を維持、食後血糖の調節は、炭水化物の量的、質的な問題と食品の組み合わせを考慮、3大栄養素の比率は、各栄養素の過不足状態が起きないよう、個人が持つリスクの状態で決めることが大切、とまとめました。さらに、食事は継続させるために、規則正しく、ゆっくり、美味しく食べること。そしてご飯に主菜と副菜と組み合わせた日本型食事は、栄養素をバランスよく摂取することができると同時に食後高血糖の抑制にも有効であるとして、健康的な食事としてお勧めしたいと述べました。

和田先生
和田高士 先生

 次の講演では、日本生活習慣病予防協会専務理事の和田高士先生(東京慈恵会医科大学総合健診・予防医学センター教授)が「少食とアンチエイジング」をテーマにお話いただきました。近年発表され、話題となっているアカゲザルの研究結果を紹介。エネルギー制限をした群では死亡率が38匹中5匹(13%)であるのに対し、通常飼育では37%だったということから、実験動物のレベルですが、エネルギー制限によって最大寿命が延長し、死亡率が低下、加齢関連疾患にもかかりにくいのではと注目されているとのこと。エネルギー制限の従来の考え方は、「代謝率を下げ、体を‘低速’で運転させることで寿命を延長する」ことだったけれど、現在は「栄養感知性の代謝経路を修飾することにより‘省エネモード’で体を運転させ、老化や加齢性疾患の発生を抑制する」ことに変わってきているとのことでした。

 最後の質疑応答では、生活習慣病を予防・改善するための食事指導のコツなど、日本生活習慣病予防協会理事長の池田義雄先生を座長に、登壇された講師全員から改めてお話をいただきました。 熱気を帯びた講演会は、定刻、好評のうちに終了しました。

池田先生
池田義雄 先生

座談会

会場リポート

ご参加いただいた皆様に感謝いたします。
この講演会が皆様のお仕事にお役立ていただけますことをお祈りしております。
次回の講演会は2014年2月に開催する予定です。来年またお会いしましょう。

本当にありがとうございました。

(2013.05)