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第3回予防月間講演会 参加者からの質問:
食事指導に関するQ&A
「糖質制限」に関して
回答:池田 義雄(日本生活習慣病予防協会理事長)
  • Q1. 糖質制限が効果的というイメージがひとり歩きして、“アルコールを飲むなら炭水化物を摂らない”という特定保健指導対象者の方が増えています。糖尿病の患者さんでも脂質異常などリスクのない健常者であれば、体重オーバーした一般の人のダイエット手段として「超・糖質制限」は有効ですか?

    現在、糖質制限食はバーンスタインの提唱による「ローカーボダイエット(糖質摂取量1日130g以下)」と「アトキンズ・ダイエット(糖質摂取量1日60g以下のケトン体産生食)」が知られています。我が国では、前者を支持しているのが北里研究所病院糖尿病センターの山田悟先生、後者に近い形を行っているのが京都・高雄病院の江部康二先生です。ご質問にある「超・糖質制限」は後者を意味していると思われますが、短期的にはどちらの方法でも単純肥満(体重オーバー)の減量には有効な筈です。但し、一般の方向けとしては前者の方がおすすめです。

    なお、アルコールの扱いについて、江部先生の治療食を実践する際、焼酎・ウィスキーなどの蒸留酒は可、ビール・日本酒などの醸造酒は不可とされています。醸造酒を飲むのならば炭水化物(糖質)を摂らないというのは極端すぎますが、“控える”のは理に叶っているといってよいでしょう。

  • Q2. 糖質制限食とアルコールについてお伺いします。社員の声として、夕食時はアルコールを飲むから(糖質を摂るから)、ご飯(炭水化物)を摂らないという話をよく耳にします。このような方法は、減量のために有効なのでしょうか?

    昔から“ビール腹”と言われますように、“ビールは太る”というイメージがついて回っています。これは、“飲み口は苦いけれど、中身の糖質は清涼飲料水並み”ということで、当然と言えば当然の話だと言えます。

    例えば、適正な飲酒量として、アルコール換算で1日20g以内が推奨されていますが、ウイスキーならダブル1杯がこれに相当します。一方、ビールですと、中びん1本(500ml)。アルコール分は同じですが、糖質量は前者が0gなのに対して、後者にはおよそ20g相当が含まれています。

    ですから、糖質制限食で減量を目指しているのであれば、ビール中びん1本を飲むなら、食事でとる糖質を20g減らすという対応が適正だということになります。

  • Q3. 最近、糖質制限食は寿命が短くなるというニュースを見ましたが、実際はどうなのでしょうか?

    糖質制限食と寿命との関連については、16.000人を対象にした調査で、糖質の摂取量が最も少ないグループと多いグループの死亡率を比較した結果、糖質の摂取量が少ないグループの死亡率が1.3倍で、低炭水化物(糖質制限)ダイエットが寿命を縮めるという報告がなされています。また、健康な欧米人20万人以上の調査で、糖質摂取の割合が60〜70%の人と、30〜40%の人を比べたところ、抵糖質のグループの死亡率が3割高かったとする調査もあります。加えて、糖質制限食に関する成績のメタアナリシスから、これを5年以上続けると死亡率が高くなる可能性を、国立国際医療研究センター病院の能登洋医長らが本年1月に報告しています。

    しかし実際はどうなのか?と問われますと答えに窮します。この回答を得るためには無作為の前向き研究がしっかりと行われる必要があります。これが我が国で行われることを期待いたしましょう。

  • Q4. 「糖質制限が効果的だ!」と信じこんで実行している患者さんに対する栄養相談についてお伺いします。血中脂質などの検査値、満腹感、排便、継続可能かなどの観点からアドバイスはしていますが、先生方は実際、患者さんにどのようにお話されているでしょうか。データの伝え方もお教えいただけたら嬉しいです

    平成17年に京都・高雄病院の江部康二先生が、ご自身の糖尿病治療のための食事法を踏まえて「主食を抜けば糖尿病はよくなる!」(東洋経済新報社)を出版されました。糖質制限食ブームはここから始まっています。私も多大な関心を持ち、高雄病院で江部先生にお会いし、実態を見せていただいたことがあります。そして先生には、タニタ体重科学研究所が主催する「城北肥満研究会」にもお出で頂き講演をしてもらいました。

    糖質制限は、実臨床として食後高血糖の是正に有用なのは間違いありませんので、メタボ型の糖尿病(IGT)の方には積極的に勧めています。この際、尿糖計による食後尿糖の計測を併用してもらうと成果がよく分かります。そして、これを進めていく上で大事なのは、患者さんとデータを共有することです。特に、糖負荷試験の成績については詳しく説明し、食後高血糖を招かないようにするための食事法として、糖質制限食の有用性を理解してもらうようにしています。

  • Q5. 時間帯による糖質制限の効果について

    北里研究所病院糖尿病センターの山田悟先生は、「朝抜き昼そば夜ドカ食い」という例でも、“朝抜き昼そば”がカロリー制限食になっているので、“夜ドカ食い”の部分だけ糖質制限食にすることで、治療効果は出ると説かれています。

    一方、高雄病院の江部康二先生はスーパー糖質制限食、スタンダード糖質制限食、プチ糖質制限食を提言されている中で、スーパーは3食とも完全制限ですが、スタンダードでは、1日3食のうち1回だけは糖質を摂り、残り2回の食事では糖質を摂らないようにし、プチでは糖質を摂るのは朝食でも昼食でも構わないが、夕食だけは避けるようにとされています。

    これについて先生は、「夕食後は就寝するので、ブドウ糖が消費されにくく、高血糖も解消しにくいから」としています。山田先生とは異なる見解になりますが、要は時間帯よりも糖質量の制限こそが重要だということでご理解頂くのが良いように思われます。

食生活の指導に関して
回答:和田 高士(東京慈恵会医科大学総合健診・予防医学センター教授)
  • Q1. 油の種類に良い悪いがあることについて、本によって言っていることが異なり、どれが正しいのかわからなくなります。最新のエビデンスはどうなっているのでしょうか?

    油の性質は、それを構成する脂肪酸によって決まってきます。良い悪いを、例えば動脈硬化の予防という面からみますと、植物の油や魚介類に多い不飽和脂肪酸は良い油とみなされ、飽和脂肪酸の多いバターなどの動物性脂肪は悪い方に分類されるのが一般的な知見になっています。

    また、不飽和脂肪酸でも、化学構造の違いからオメガ3系、オメガ6系、オメガ9系に分類され、なかでもα-リノレン酸の多いオメガ3系(亜麻仁油やエゴマ油など)は、生活習慣病の予防に益するとされています。

  • Q2. “腹八分目”による成長ホルモン分泌向上の効果について

    普通に餌を与えたラットとカロリーを60%に抑えたラットの比較では、カロリー制限グループの方が長生きするという研究が注目されています。最近の老化科学の見解では、これは、成長促進ホルモンが刺激され、ヒト成長ホルモンが多量に分泌されることが関わっていると考えられています。

  • Q3. 2食の方が元気(朝食抜き)という方がいて、3食になると太るそうです。そういう方でもやはり3食とすべきですか?

    2食か3食いずれかならとくに問題ありません。2食にしたり3食にしたりするムラが、とくにメタボリックシンドローム発症に影響があることがわかっています。

    朝食の欠食・むらはメタボリックシンドロームを発症させるのか?(2010年度研究助成/東京慈恵会医科大学総合健診・予防医学センター 和田高士)

  • Q4. エネルギー制限の現在の考え方の中の、"栄養感知性の代謝経路を修飾”という意味が理解出来ませんでした。もう少し噛み砕いた形でお教えいただければ幸いです

    従来,カロリー制限は代謝率を下げ、体を低速で運転させることにより寿命を延ばすと考えられてきました。しかし近年は、栄養感知性代謝経路を修飾する「省エネモード」で体を運転させることがわかってきました。つまり、カロリー制限は単に代謝率を下げるのではなく、栄養感知性代謝経路することで、老化や加齢性疾患を防ぐということなのです。

    参考文献:少なく食べて長く生きる カロリー制限と寿命(作田英成「防衛衛生」58巻3号 P21-29)

  • Q5. BMI 18.5以下の人も、少食にすると「痩せ」の助長になってしまうと思いますが、そういった方たちは影でお腹いっぱい食べさせ、標準のBMIにもっていった方がいいのでしょうか。体への負担が気になります。もしくは、1日に4〜5食、“腹八分目”で食べさせた方が良いのか疑問に思っています。血糖値が下がりきらないうちに、食事を食べていいのかも気になります

    BMI 18.5以下の多くの方は、すでに「少食」状態と考えられます。その人たちをBMI 22にする必要はありませんが、BMI 18.5まで上げることは健康上有用と思われます。

  • Q6. 「痩せ」の方が、標準の方と比較して寿命が短いということの根拠は何でしょうか?

    痩せすぎると細胞の機能低下などで血管の壁が破れやすくなり、循環器疾患による死亡リスクが上昇します。栄養不足が体の抵抗力を減少させるため、「痩せ」では肺炎などにかかるリスクも高まります。

(2013.05)