2006年10月17日
糖尿病検診の受診者数、事後指導受診率は向上したものの、治療継続率は微増にとどまる 厚生労働省「健康日本21 中間報告」より
カテゴリー: 糖尿病
厚生労働省はこのほど、21世紀における国民健康づくり運動「健康日本21」の中間報告をまとめました。健康日本21は平成12年度に、同22年度までの10年計画スタートしましたが、その中間点における各目標値の達成度や今後の課題などを示したものです。その中から、糖尿病関連の項目を紹介します。まず、糖尿病検診の受診者数ですが、目標値6,860万人に対してベースライン値(健康日本21がスタートした時点での受診者数)が4,573万人、今回報告された中間実績値が5,850万人と、増加傾向が認められています。検診で異常所見があった場合の事後指導受診率は、ベースライン値が男性66.7パーセント、女性74.5パーセントでしたが、中間実績値はそれぞれ、74.2パーセント、75.0パーセントとなりました。ベースライン値で相対的に低かった男性は改善傾向が認められますが、女性についてはほとんど変化しておらず、これまでとは違ったかたちでのアプローチが必要と考えられます。なお、この項目の目標値は男性・女性ともに100パーセントです。
糖尿病は、いったん治療を開始したあとにそれを中断してしまう患者さんが少なくなく、それが合併症の増加につながっていると考えられており、治療継続率の向上が求められています。治療継続率のベースライン値は45.0パーセントで、患者さんの2人に1人以上が治療を中断していました。中間実績値ではこれが50.6パーセントになり、かろうじて半数を超えたところです。目標は100パーセントですから、まだ大幅な改善が必要とされます。
実際の糖尿病患者数については、ベースライン値690万人から740万人に増加、合併症の腎症で新たに透析療法を開始する患者さんは、年間1万729人から1万3,920人に増加しました。なお、これらの目標値はそれぞれ1,000万人、1万1,700人で、生活習慣の改善がされない場合、それぞれ1,080万人、1万8,300人に増加すると考えられています。
また、糖尿病の合併症でもある動脈硬化性疾患(脳梗塞や心筋梗塞など)の発病リスクであり、糖尿病そのものの発病リスクでもある、メタボリックシンドロームについても、新たな数値目標が掲げられました。具体的には、メタボリックシンドロームの認知度を平成22年度までに80パーセント以上に向上することや、平成27年度時点でのメタボリックシンドローム該当者を、(健診が義務付けられる)平成20年度に比べて25パーセント以上減少させること、などです。
このほか、糖尿病の発病との関連が深い、肥満や食事・運動の習慣についても、以下のような中間値が報告されています。男性の肥満や日常生活での歩数などは悪化傾向にあり、目標値との乖離が目立ってきています。
20〜60歳代男性の肥満者の割合
ベースライン値; 24.3パーセント
中間実績値; 29.0パーセント
目標値; 15パーセント以下
40〜60歳代女性の肥満者の割合
ベースライン値; 25.2パーセント
中間実績値; 24.6パーセント
目標値; 20パーセント以下
児童・生徒の肥満児の割合
ベースライン値; 10.7パーセント
中間実績値; 10.2パーセント
目標値; 7パーセント以下
体重管理を実践している人の割合(男性)
ベースライン値; 62.6パーセント
中間実績値; 60.2パーセント
目標値; 90パーセント以上
体重管理を実践している人の割合(女性)
ベースライン値; 80.1パーセント
中間実績値; 70.3パーセント
目標値; 90パーセント以上
量・質ともにきちんとした食事をする人の割合
ベースライン値; 56.3パーセント
中間実績値; 61.0パーセント
目標値; 70パーセント以上
運動を心がけている人の割合(男性)
ベースライン値; 51.8パーセント
中間実績値; 54.2パーセント
目標値; 63パーセント以上
運動を心がけている人の割合(女性)
ベースライン値; 53.1パーセント
中間実績値; 55.5パーセント
目標値; 63パーセント以上
日常生活における歩数(男性)
ベースライン値; 8,202歩
中間実績値; 7,532歩
目標値; 9,200歩以上
日常生活における歩数(女性)
ベースライン値; 7,282歩
中間実績値; 6,446歩
目標値; 8,300歩以上