2002年09月30日
危険因子の数に応じて血清脂質の管理目標を細かく設定。冠動脈疾患の既往歴や糖尿病などをより重視 日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患診療ガイドライン 2002年版」発行
カテゴリー: 脂質異常症(高脂血症)
日本動脈硬化学会は「動脈硬化性疾患診療ガイドライン 2002年版」を発行し、現時点における高脂血症の標準的な治療法をまとめました。高脂血症を表1のような基準で診断し、冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症)のリスクに応じた治療の目標を示しています。具体的には表2のように、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高いことのほかに加齢(男性は 45歳以上、女性は 55歳以上)、高血圧、糖尿病(耐糖能異常を含む)、喫煙、などの危険因子の数が多いほど、血清脂質をより低めに管理することを推奨しています。
冠動脈疾患を起こしたことがある人や糖尿病の人、脳梗塞や閉塞性動脈硬化症がある人の管理目標は、とくに低めに設定されています。
表1 高脂血症の診断基準(血清脂質値:空腹時採血)
高コレステロール血症 | 総コレステロール | 220mg/dL以上 |
高LDLコレステロール血症 | LDLコレステロール | 140mg/dL以上 |
低HDLコレステロール血症 | HDLコレステロール | 40mg/dL未満 |
高トリクリセリド(中性脂肪)血症 | トリクリセリド | 150mg/dL以上 |
表2 患者カテゴリー別管理目標価
患者カテゴリー | 脂質管理目標値(mg/dL) | その他の冠危険因子の管理 | |||||||
冠動脈疾患* | LDL-C以外の主要冠危険因子** | TC | LDL-C | HDL-C | TG | 高血圧 | 糖尿病 | 喫煙 | |
A | なし | 0 | 240未満 | 160未満 | 40以上 | 150未満 | 高血圧学会のガイドラインによる | 糖尿病学会のガイドラインによる | 禁煙 |
B1 | なし | 1 | 220未満 | 140未満 | |||||
B2 | 2 | ||||||||
B3 | 3 | 200未満 | 120未満 | ||||||
B4 | 4以上 | ||||||||
C | あり | 180未満 | 100未満 |
*冠動脈疾患とは、確定診断された心筋梗塞、狭心症とする。
**LDL-C 以外の主要冠危険因子
加齢(男性 45歳以上、女性 55歳以上)、高血圧、糖尿病(耐糖能異常を含む)、禁煙、
冠動脈疾患の家族歴、低 HDL-C 血症(40mg/dL 未満)
・原則として LDL-C 値で評価し、TC 値は参考値とする。
・脂質管理はまずライフスタイルの改善から始める。
・脳梗塞、閉塞性動脈硬化症の合併はB4扱いとする。
・糖尿病があれば他に危険因子がなくてもB3とする。
・家族性高コレステロール血症は別に考慮する。