タバコ病
どんな病気?
タバコ(喫煙)と関係がある病気というと肺がんがよく知られていますが、それは氷山の一角に過ぎません。肺がんのほかに、喫煙により発病する確率が高くなったり発病後に重症化しやすくなる病気として、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、咽頭がん、口腔がん、膀胱がん、食道がん、胃がん、膵臓がん、歯周病などがあり、他にも関連性が示されている病気は枚挙にいとまがないほどです。最近、これらの病気をまとめて「タバコ病」と呼ぶようになってきました。
喫煙がさらに問題なのは、タバコを吸う本人だけでなく、周囲の他人にまでこれらの害が及ぶことです。近年、中国大陸の大気汚染の影響で国内でもPM 2.5の公害が心配されていますが、タバコの煙もPM 2.5にほかなりません。タバコを吸う方は、吸う場所を厳格に限定しないと、ご自身が公害の発生源と同じ存在になってしまうことを知っておきましょう。そして一刻も早く禁煙しましょう。
数字で見るタバコ病
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喫煙者は男性 32.2%、女性 8.2%
全体の24.6%がやめたいと思っている -
喫煙により男性は8年、
女性は10年、寿命が減る - 喫煙と飲酒で食道がんの危険が50倍に
- 受動喫煙でも脳卒中の危険が1.25倍に
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心筋梗塞になってからでも禁煙すると、
喫煙を続けるより、死亡率が6割下がる
タバコ病の予防と治療
タバコの依存性はヘロインやコカインと同等以上とされています。ですから喫煙が習慣化してしまった後に、本人の克己心だけて禁煙を成功することはなかなか困難であることは否めません。しかし今では禁煙をサポートする薬がありますし、禁煙外来のある医療機関も少なくありません。これらを利用するなどして、「タバコをやめようかな」と思ったら先延ばしせず、禁煙を始めましょう。また、ご家族など周囲の方も、ぜひ患者さんの禁煙をサポートしてください。
一般的にニコチンの離脱症状は最初の3日間が強く、徐々に薄れていき、3週間ほどでほぼなくなります。それとともに、味覚が改善したり、咳やたんが減ったり、呼吸が楽になったりと、禁煙の効果が現れてきます。
なお、タバコ病の予防ということについて言えば、最も効果があるのは「最初の一本を吸わないこと」です。最初の一本の喫煙はしばしば興味本位で行われ、とくに未成年が成人喫煙者のまねをして吸い始めることがよくあります。未成年の段階での喫煙は成人以上に依存性を来しやすく、喫煙期間も長くなるので、健康被害がより大きくなります。このようなかたちで次世代にタバコ病を引き継がないためにも、タバコを吸う姿を子どもたちに見せないようにしましょう。
関連する生活習慣病
★の数が多いほど関連が強いことを意味します。
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★★★
- これらの病気は喫煙により極めて危険性が高くなります
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★☆☆
- これらの病気は喫煙により危険性が高くなります
さらに詳しく
- 喫煙とがん(国立がんセンター)
- 喫煙(e-ヘルスネット、厚生労働省)
- たばこと健康に関する情報ページ(厚生労働省)
- 最新たばこ情報(厚生労働省)
- すぐ禁煙.jp(ファイザー)
- 禁煙支援マニュアル(ノバルティス ファーマ)
2015年12月 公開
2016年01月 更新