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全国生活習慣病予防月間2022講演会レポート【2】 「認知機能低下を防止する生活習慣」「新型コロナウイルスと喫煙・受動喫煙」 ー講演会は継続公開中!

キーワード: 生活習慣 一無・二少・三多 認知症 全国生活習慣病予防月間 協会・賛助会員関連ニュース

jpald_M_logo150.png  全国生活習慣病予防月間2022では、期間中延べ約13,500名の方に公式サイトをご訪問頂きました。生活習慣病予防の啓発ポスター・リーフレットのダウンロードも約1,400回に及びました。ご訪問頂きました多くの皆様に御礼申し上げます。
 市民公開講演会第1部より「こころの密を育てる~スマートフォンによるAIセルフカウンセリング~」とトークショーの講演レポートをお届けいたします。本講演会動画は全国生活習慣病予防月間2022公式サイトで引き続き継続公開中です。お見逃しの方はぜひお立ち寄りください。

「認知機能低下を防止する生活習慣がわかってきた!」

2022_Kawamori.jpg 河盛 隆造 先生
順天堂大学名誉教授、同 大学院スポートロジーセンター センター長

 河盛先生は糖尿病学のエキスパートであるが、それだけでなく、スポーツを「健康にいかに役立てるか」という視点で研究する「スポートロジー」という新たな学問領域を推進されている。その背景には、患者さんにスポーツや身体活動を推奨するものの、その科学的エビデンスの少なさに対する積年の疑問があったとのことだ。そして現在、スポートロジーの主要なターゲットは「認知機能の低下」にあるという。

Part1 スポートロジー研究が明らかにする現代人の生活習慣

 スポートロジーからはこれまでに、医学の専門的な範囲にとどまらず、社会的にも大きなインパクトのある研究成果が発信されてきている。例えば、河盛先生らが報告した、非肥満者のメタボリックシンドロームや、若年者のサルコペニアやフレイルの存在の報告などはその一部だ。
 非肥満者のメタボリックシンドローム、つまり「やせメタボ」は、肥満メタボの人に多くみられる過食という習慣は少ないものの、運動不足のために筋肉量や筋力が低下しており、筋肉でのインスリン抵抗性が亢進している。やせているのにもかかわらず、肥満メタボと同様に複数の代謝異常を来しやすい。
 また、サルコペニアやフレイルの進展には加齢の影響が大きく、それら両者は高齢者の健康障害と考えられがちだが、日本では必ずしもそうとは言えないという。健診では異常なしと判定される20代の女性を精査した結果、骨量低下が約4割にみられ、1割は骨粗鬆症に該当し、さらに全員がビタミンD低値だった。それらの人たちは「運動をしない」という共通の課題を抱えている。

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Part2 認知症の予防に、我々ができることをする。それは何か?

 現代日本が抱える喫緊の課題である「認知症の予防」にも、スポートロジーへの期待が寄せられている。
 順天堂大学のある文京区に居住する65歳以上の高齢者1,600人以上を対象に、同大学が主体となって行っている疫学研究「Bunkyo Health Study」では、認知症の有病率は、非肥満/非サルコペニアでは1.6%なのに対して、肥満では2.6%、サルコペニアではなんと7.6%であることが明らかになった。さらに問題は、肥満でありながら筋肉量が少ない状態、つまり「サルコペニア肥満」では、認知症有病率が実に14.5%に上る。さらに運動習慣のある高齢者はその習慣のない高齢者に比べて認知機能が保たれていること、ロコモティブシンドロームと認知機能が相関することなどが明らかになり、認知機能低下抑制における運動の重要性が示された。また症候性脳梗塞のハイリスク状態であり、認知症リスクとの関連性も示唆されている無症候性ラクナ梗塞の有病率が、筋力の低下と関連しているという事実もわかった。
 現在までに明らかになっている認知症のリスク因子は40%に過ぎず、60%は不明と考えられている。しかし、既に明らかにされた事実も少なくない。例えば、メタボリックシンドロームや糖尿病、高血圧への対策は、認知症予防の効果ももたらす。今、出来ることから始める。すなわち、適正な食事を心がける、身体活動量を増やすといった生活習慣の改善が重要であることの重要性を河盛先生は指摘する。

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「新型コロナウイルスと喫煙・受動喫煙ーいま求められる喫煙対策ー!」

2022_Muramats.jpg 村松 弘康 先生
中央内科クリニック 院長、東京都医師会タバコ対策委員会アドバイザー

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは3年目に突入し、なお新たな変異株の出現を繰り返しており、依然として終息を見通せる状況でない。これまでに蓄積された多くのエビデンスから、喫煙がCOVID-19の罹患リスクと重症化リスクに関与することは、ほぼ確実と言える。本公演では、呼吸器専門医で東京都医師会たばこ対策委員会アドバイザーである村松先生により、喫煙とCOVID-19との関連についての最新情報がオーバービューされた。
 COVID-19のパンデミック初期に中国から、喫煙者のほうがCOVID-19罹患リスクが低いというデータが報告された。しかしその後、論文著者の一部がタバコ業界と関連があり、それを開示していなかったこと(COI開示違反)が明らかになって、論文は撤回された。また、研究手法そのものにも問題が指摘された。
 喫煙者のCOVID-19リスクがなぜ高いのかという疑問は、COVID-19の原因ウイルスである重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)が、アンジオテンシン変換酵素II(ACE2)受容体を足場として細胞内に侵入することで説明がつくと村松先生は解説する。喫煙によりACE2が用量依存的に増加するとのことだ。また、ごく単純なことだが、現在、公共の場の喫煙は禁止されているため、喫煙者は限られた喫煙スペースでタバコを吸う。そこは密閉、密集、密接という「三密」の代表のような場所であり、感染リスクは極めて高い。
 では、禁煙した場合はどうだろうか? 実は、COVID-19罹患時の重症化リスクは、現喫煙者は1.98倍であるのに対して、前喫煙者(禁煙者)は3.46倍に上ると報告されている。逆ではないかと思われるかもしれないが、これは、禁煙した人は過去の喫煙期間が長い人が多く、それまでに蓄積された呼吸器へのダメージが解消しきれていないために、このような結果になるという。
 最近では、紙巻タバコだけでなく電子タバコでもCOVID-19リスクが上昇すること、喫煙者はワクチン接種後の抗体産生量が少ないことなども、明らかになってきている。また、肥満者がCOVID-19ハイリスクであることに関しては、パンデミックの初期から指摘されてきた。村松先生は「コロナ禍の今こそ、一無、二少、三多を実践すべきだ」と、講演をまとめている。

Muramatsu01.png


<全国生活習慣病予防月間2022概要>
■共催
一般社団法人 日本生活習慣病予防協会
NPO法人 セルフメディケーション推進協議会

■協賛
株式会社タニタリボン食品株式会社株式会社明治サラヤ株式会社松谷化学工業株式会社

■後援
厚生労働省、公益財団法人 健康・体力づくり事業財団、健康日本21推進全国連絡協議会、公益財団法人 8020推進財団、公益財団法人 循環器病研究振興財団、公益社団法人 アルコール健康医学協会、公益財団法人 日本糖尿病財団、一般社団法人 動脈硬化予防啓発センター、一般社団法人 日本サルコペニア・フレイル学会、一般社団法人 日本肥満学会、一般社団法人 日本肥満症予防協会、一般社団法人 日本くすり教育研究所、一般社団法人 日本産業保健師会、日本保健師活動研究会、特定非営利活動法人 日本人間ドック健診協会、日本健康運動研究所

■生活習慣病予防 お役立ちツール
 スローガンの川柳を使用したポスター、リーフレットは当協会サイト「生活習慣病予防 お役立ちツール」で自由にダウンロード可能です。ぜひご活用ください。

[mhlab]

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