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大麦に白米の19倍の食物繊維が 主食をおいしく、より低糖質に 「大麦粉普及プロジェクト」

キーワード: 糖尿病 食生活

 大麦を使うことで、主食をより低糖質でおいしく食べられるようになり、食物繊維も豊富に摂れるとしている。大麦には、水溶性と不溶性の食物繊維がバランス良く含まれる。

 食事に大麦を取り入れることで、肥満や糖尿病のリスクが減少し、健康を短期間で改善できるという研究も発表されている。

 農林水産省の関係法人である全国米麦改良協会は、大麦粉を普及することを目的とした「大麦粉普及プロジェクト」を開始した。

食物繊維を摂ると肥満や糖尿病のリスクが低下

 大麦は、日本では200年以上前から食べられているが、大麦がもつ健康価値は2015年頃から注目され、その消費は急速に拡大している。炊飯時に米と一緒に炊いたり、ゆでたもち麦をサラダのトッピングにするなど、新しい食べ方も生まれている。

 一方、食物繊維は消化・吸収されずに、小腸を通って大腸まで達する食品成分。糖質の吸収を遅くし血糖値の急上昇を抑えたり、腸の働きを良くするなど、多くの健康効果があるとみられている。

 全粒穀物や野菜などの食物繊維が豊富に含まれる食品を十分に食べていると、肥満や2型糖尿病のリスクが大きく低下するという研究が発表されている。これらの食品を食事に加えると、2型糖尿病の予防・改善に役立つとされている。

 食物繊維の豊富な全粒穀物は、有益な腸内細菌を増やし、腸内環境を良好にすることも知られている。

関連情報

大麦の食物繊維の量は白米の19倍

 麦には、「大麦」と「小麦」があり、大麦はビールや味噌、麦茶、麦ごはんなどに使われ、小麦はパンや菓子、麺類などに使われている。

 大麦も小麦も同じイネ科の植物だが、大麦は小麦に比べて葉が短く幅広で、幼植物の頃は小麦よりも大柄だ。大麦には粘りのあるグルテンが含まれていない一方、小麦にはあまりないデンプンが含まれる。

 全国米麦改良協会によると、大麦には水溶性と不溶性の食物繊維がバランス良く含まれ、食物繊維の量は白米の19倍だという。

 さらに、水溶性食物繊維の一種であるβ-グルカンは、大麦穀粒の中心部分(胚乳)に多く含まれており、精麦しても失われないので、大麦には多く含まれる。β-グルカンは、食後血糖値の上昇抑制やコレステロール値の低下、肥満の抑制、排便促進などの働きをすると考えられている。

大麦に含まれる食物繊維の量は白米の19倍
食品に含まれる食物繊維の量
(可食部100gあたり)

出典:全国米麦改良協会、2022年

主食の穀類で食物繊維を摂取

 健康に必要な食物繊維の1日の摂取目標量は、女性18g以上、男性21g以上(ともに18~64歳の場合)とされている。しかし、日本人は食物繊維の摂取量が3~5g不足している(厚生労働省「日本人の食事摂取基準」2020年版)。

 食物繊維の目標量を満たすには、野菜であれば1日350g以上を食べる必要がある。野菜を食べることの必要性は知られているものの、毎日の食事で達成することは難しいのが実状だ。

 一方で、大麦粉(大麦)に含まれる食物繊維量は、精白米の19倍。不溶性と水溶性の2種類の食物繊維がバランス良く含まれ、またビタミンB群やミネラルも豊富だ。

 「主食である穀類であれば、食物繊維を無理なく摂取できます、日本を含め、大麦の効果と機能性の表示が認められている国は多い」と、同協会では述べている。

 「もち性の大麦"もち麦"を白米の一部に加えて炊く"もち麦ごはん"に加え、大麦粉を上手に活用することで、パンや麺類などでもおいしく栄養価をアップできます」としている。

大麦が糖尿病のコントロールを改善

 スウェーデンのルンド大学の研究によると、大麦を食べることで、高血糖と糖尿病のリスクが減少し、健康を短期間で改善できる可能性がある。

 大麦に含まれる食物繊維は、心血管疾患のリスクを減らし、食欲をコントロールするのにも役立つという。

 研究では、中年の参加者に大麦粉の含まれるパンを朝・昼・夕の食事で3日間食べてもらい、最後の食事の11~14時間後にどのような変化が起きるかが調べられた。

 その結果、大麦パンを食べた人は、血糖値とインスリン値が低下し、インスリン感受性も改善、食欲の制御などの好ましい変化が起きていた。

 スウェーデンのヨーテボリ大学による別の研究でも、大麦粉に含まれる食物繊維が腸内の善玉菌を増やし、血糖コントロールにも影響することが示されている。

 「大麦は、たとえばサラダ・スープ・シチューなどに入れて食べることができます。米やジャガイモなどの糖質の多い食品の代わりに、大麦を利用する方法もあります」と、研究者は指摘している。

「大麦粉普及プロジェクト」を開始

 国産の大麦の消費拡大を目指した活動が始まっている。

 大麦粉は、品種の改良や加工技術の進化により、小麦粉と同じように使用できるようになっている。

 農林水産省の関係法人である全国米麦改良協会は、大麦粉の魅力を広めるために、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)、全国精麦工業協同組合連合会(全麦連)の協力のもと、大麦粉を普及することを目的とした「大麦粉普及プロジェクト」を開始した。

 大麦粉は、大麦の皮を除去した精麦を粉にしたもの。通常の小麦粉の料理の際に、大麦粉をプラスしたり、小麦粉の替わりに大麦粉を利用したりすることで、低糖質でおいしく、さらに食物繊維を摂取できるとしている。

 プロジェクトでは、大麦粉専門サイト「おいしさは健康~大麦粉がもたらす新習慣~」をオープンし、レシピブック「おうちで作る大麦粉料理:低糖質、食物繊維たっぷりでおいしい!」も刊行した。

 料理研究家の有元葉子さん、松田美智子さん、ウー・ウェンさん、パティシエの小嶋ルミさん(オーブン・ミトン)、ブーランジェの割田健一さん(ビーバーブレッド)らが勧める大麦粉料理を紹介している。

 掲載されている大麦粉を使ったメニューは、ピッツァ、たこ焼き、餃子、麺、パン、スイーツなど全72品。

 同協会によると、大麦粉を使うメリットとして、▼たっぷり食べる主食で食物繊維、▼揚げ物がサクサク食感に、▼パンや麺が新食感に、の3つがある。

 また、製菓・製パン材料のECサイト「cotta」に特別サイトを設け、大麦粉サンプリング企画を実施、販売促進も強化するとしている。
おうちで作る大麦粉料理 料理家インタビュー編
大麦粉普及プロジェクト

一般社団法人 全国米麦改良協会

Intake of whole grain foods and risk of type 2 diabetes: results from three prospective cohort studies(BMJ 2020年7月8日)
Whole Grains: Choose whole grains instead of refined grains(ハーバード公衆衛生大学院)
Barley helps improve blood sugar levels, reduce appetite (ルンド大学 2016年2月9日)
Increased gut hormones and insulin sensitivity index following a 3-d intervention with a barley kernel-based product: a randomised cross-over study in healthy middle-aged subjects (British Journal of Nutrition 2015年8月11日)
Dietary Fiber-Induced Improvement in Glucose Metabolism Is Associated with Increased Abundance of Prevotella (Cell Metabolism 2015年11月6日)
[mhlab]

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