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夕食はいつ食べると良い? 夜に食べるタイミングが糖尿病リスクに影響 メラトニンと遺伝子が影響

キーワード: 生活習慣 食生活

 就寝に近い夜遅い時間に夕食をとると、睡眠をつかさどるホルモンであるメラトニンの分泌が増えており、血糖値を下げるインスリンの分泌が抑制され、血糖値が上昇しやすくなることが、米国のマサチューセッツ総合病院などの研究で明らかになった。

 とくに遺伝子のメラトニン受容体の変異をもつ人は、2型糖尿病のリスクが上昇しやすいことも分かった。この遺伝子変異を、およそ半分の人がもっているという。

 「糖尿病のある人は、就寝前の少なくとも2〜3時間前までに、食事を済ませておくことをお勧めします。就寝前は食物を口に入れない方が良いのです」と、研究者はアドバイスしている。

メラトニンは睡眠をつかさどるホルモン

 メラトニンは睡眠をつかさどるホルモンで、主に夜間に分泌される。メラトニンは、およそ24時間周期の概日リズム(サーカディアンリズム)を調節しており、食事のタイミング、睡眠、覚醒と睡眠のサイクルのコントロールに影響する。

 睡眠不足やシフトワークなどにより、メラトニンの分泌が乱れると、体内時計が狂いやすくなる。これまで、体内時計の乱れと2型糖尿病は関連するという研究が発表されている。

 糖尿病の人の血糖コントロールは、食事や運動、睡眠やストレスなど、さまざまな要因の影響を受ける。米国のマサチューセッツ総合病院(MGH)とブリガム アンド ウィメンズ病院(BWH)、スペインのムルシア大学の研究グループは、血糖コントロールと、体内時計を調整するメラトニンの関係を調べるために臨床試験を実施した。

 「メラトニンは夜間に分泌され、就寝に近い夜遅い時間帯はその値が高くなります。夜遅くに食事をすると、血糖コントロールが乱れやすくなるのは、メラトニンの影響もあるのではないかと考えました」と、MGHゲノム医学センターの主任研究員であるリシャ サクセナ氏は言う。

早めの夕食と遅めの夕食が血糖値にどう影響するかを調査

 研究グループは、スペインの845人の成人を対象にランダム化クロスオーバー試験を実施した。参加者は8時間絶食し、その後の2晩は、初日は早めの時間に食事をとり、次の日は通常の就寝時間よりも遅めに食事をとった。

 これまでの研究で「MTNR1B」と呼ばれる遺伝子のメラトニン受容体の変異が2型糖尿病のリスクの上昇と関連していることが報告されている。そこで、今回の研究ではMTNR1Bについても分析した。

 「ブドウ糖負荷試験を行い、早めの夕食と遅めの夕食をシミュレートし、2時間にわたる血糖コントロールへの影響も比較しました。さらに、メラトニン受容体の遺伝的変異があるかどうか、個人間の違いについても調べました」と、サクセナ氏は説明する。

メラトニン分泌の増える夜遅くに食事をすると血糖値が上昇

 その結果、夜遅い時間帯はメラトニンの値が平均で3.5倍に上昇していることが分かった。さらに、夕食のタイミングが遅いと、血糖値を下げる作用をするインスリンの値が低下し、血糖値が上昇しやすいことも分かった。

 さらに、MTNR1Bの遺伝子変異をもつ人では、もたない人に比べ、夕食のタイミングが遅いと、とくに血糖値が高くなった。

 「全体的に、夕食を遅い時間帯にとると、血糖コントロールが乱れやすくなるという結果になりました。とくに、MTNR1Bの遺伝子変異を、今回の調査ではおよそ半分の人がもっていたのですが、そうした人はとくに血糖コントロールの障害が起こりやすいのです」と、ムルシア大学生理学部のマルタ ガラウレット教授は言う。

 もっともインスリンの分泌が低下し、血糖コントロールを乱しやすいのは、遅い時間帯に炭水化物(糖質)を多く含む食事をとっている人で、メラトニンが多く分泌される場合と関連があることが示された。

夕食は就寝の2〜3時間前までに済ませる 就寝前は食べないことが大切

 「今回の研究は、2型糖尿病を予防・改善する取り組みをするうえで重要とみられます」と、BWH医療時間生物学プログラムのディレクターであるフランク シェアー氏は言う。

 「世界の工業化された国では、ファストフードやジャンクフードなどの加工食品の消費が多く、3分の1の人は就寝に近い時間に食事や間食をとる習慣があります。睡眠不足やシフトワーク、摂食障害のある人も、夜遅くに食事しがちです。食事のタイミングでメラトニンのサプリメントを飲んでいる人も少なくありません」としている。

 「とくに2型糖尿病などの慢性疾患のある人は、就寝前の少なくとも2〜3時間前までに、食事を済ませておくことをお勧めします。就寝前は食物を口に入れない方が良いのです」と、サクセナ氏は言う。

 「メラトニン受容体の変異している遺伝子型についてさらに解明すれば、食事などの生活指導をより個別化して適切に行えるようになる可能性があります。今後は、糖尿病患者さんを対象に、食事のタイミングの影響と、メラトニンとその受容体の変異との関連を調べることが課題となります」としている。

How the timing of dinner and genetics affect individuals' blood sugar control (マサチューセッツ総合病院 2022年1月25日)
Interplay of Dinner Timing and MTNR1B Type 2 Diabetes Risk Variant on Glucose Tolerance and Insulin Secretion: A Randomized Crossover Trial (Diabetes Care 2022年1月10日)
Lack of Sleep and Diabetes (米国睡眠財団 2020年11月20日)
[mhlab]

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