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インターバルトレーニングが糖尿病の人の糖代謝を改善 速歩とゆっくり歩きを交互に 脂肪肝も解消

キーワード: 生活習慣 糖尿病 身体活動・運動不足

 速歩とゆっくり歩きを繰り返す「インターバルトレーニング」が、糖尿病の人の糖代謝とインスリン感受性を改善するという研究が発表された。

 「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」の改善に向いているという研究も報告されている。

 「インターバルトレーニング」は、より短時間に効果を得られやすく、運動をする時間をとれない忙しい人にも向いているという。

速歩とゆっくり歩きを繰り返すインターバルトレーニング

インターバル速歩
出典:世界文化ホールディングス、2020年
 「インターバルトレーニング」は、たとえば「スピードを上げて歩く」のと「ゆっくり歩く」のを繰り返すトレーニング法。ウォーキングなどの運動にメリハリをつけることで、一定の速度で歩くよりも、より強い負荷が心肺にかかり、効果が高く安全な運動とされている。

 主観的運動強度で「きつい」から「ややきつい」と感じるくらいに、スピードを上げて歩き、次に「楽である」に相当する運動強度でゆっくり歩き、息を整える。これを繰り返す。

 インターバルトレーニングは、運動に慣れていない人でも無理なく続けられ、運動意欲を向上させるのに効果的な運動としてみられている。脳を活性化し、気分を快適にしてストレス解消にも役立つという報告もある。

 日本でも、信州大学学術研究院医学系の能勢博特任教授らが開発した「インターバル速歩」が注目されている。健康維持や医療費削減に役立つと期待されており、健康保険組合や自治体などでも活用されている。

 これは、ややきついと感じる「サッサカ歩き」3分、次に楽だと感じる「ゆっくり歩き」3分を1セットとして、これを交互に繰り返すというもの。1日に5セットを行うと30分間の運動になる。1週間に4日行うことを目標にする。

インターバルトレーニングが糖尿病の人の糖代謝を改善

 インターバルトレーニングが、糖尿病患者の糖代謝を改善するのに役立つという研究を、フィンランドのトゥルク大学が発表している。わずか2週間のトレーニングにより、血糖を下げるインスリンの感受性が改善し、とくに太ももの筋肉へのブドウ糖の取り組みが良くなるという。

 研究には、2型糖尿病や糖尿病予備群で、インスリン抵抗性があると診断された、平均年齢49歳の26人の男女が参加した。トレーニングを開始する前は、こうした人は健康な人に比べ、糖代謝とインスリン感受性が大幅に低下していた。

 しかし、2週間に6回のインターバルトレーニングを行った後では、糖代謝は改善しており、太ももの筋肉も増え、健康な人と変わらないくらいになった。一方で、一定の強度の運動を続けていた人は、インターバルトレーニングを行った人の半分しか目標を達成できなかった。

 「運動には、糖尿病の治療薬と同じくらいの血糖値を下げる効果があります。そのため、運動は糖尿病を治療・予防するために必ず必要です」と、同大学臨床生理学・健康科学部のタンジャ シェーロス氏は言う。

 「ご自分の体力や体調に合わせて運動をすると良いのであり、1日で体を動かす時間を増やしただけでも、それだけの効果を得られます。しかし、今回の研究では、短期間に集中して行う高強度のインターバルトレーニングは、より効果が高いことが示されました」としている。

 なおシェーロス氏は、運動をする習慣のなかった人が運動を始めるときには、どんな運動が安全にできるかを医師に相談することを勧めている。糖尿病の薬で治療を受けている人は調整が必要な場合があり、また合併症のある人は注意すべき点がある場合もあるという。

インターバルトレーニングで脂肪肝も改善

 近年、アルコールをそれほど飲まない人のなかにも、肝臓に過剰な脂肪がたまったり、肝炎になる人が少なくないことが分かってきた。その多くは、2型糖尿病や脂質異常症、肥満・メタボにともなうものだ。

 こうした、アルコールの飲み過ぎによるものではない脂肪肝や、それによって起こる肝臓の病気は、「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」と呼ばれている。NAFLDは世界中で増えており、人口の20〜30%に影響を及ぼしているとみられている。

 NAFLDは初期の段階では自覚症状はほとんどない。しかし、肝炎の状態が長く続くほど肝硬変になりやすく、肝硬変に進行すると肝不全や肝臓がんの危険性が高まり、命に関わってくる。

 そうしたNAFLDのある人がインターバルトレーニングに取り組むと、肝疾患の改善に効果的であることが、オーストラリアのウェスタンシドニー大学などの研究で明らかになった。

 「NAFLDは代謝障害を予測する因子であり、2型糖尿病などのさまざまな疾患の発症と重症化に密接に関わっています」と、同大学健康研究所のアンジェロ サバグ氏は言う。

 研究グループは、2万8,000件を超える研究を調査し、745人の成人を含む19件の研究を分析した。その結果、肝臓にたまった脂肪を減らすのに効果的なのは、ウォーキングなどの有酸素運動であり、インターバルトレーニングと一定の強度で行う運動のどちらも効果があることが分かった。

 さらに、インターバルトレーニングは、より短時間に効果を得られやすく、運動をする時間をとれない忙しい人にも向いていることが示された。

 「運動ガイドラインで推奨されている量の運動をするのが望ましいのですが、それを達成できなくとも、適度な強度の運動を習慣として行っていれば、脂肪肝を改善する効果を得られることも分かりました」と、サバグ氏は言う。

 「とくに健康診断などで脂肪肝を指摘された人は、どんな運動でも良いので、まずはご自分のやりやすい運動に取り組むことをお勧めします」としている。

進化したインターバル速歩 i-Walkシステム (信州大学)
High-intensity interval training rapidly improves diabetics' glucose metabolism (トゥルク大学 2017年4月7日)
Increased insulin-stimulated glucose uptake in both leg and arm muscles after sprint interval and moderate intensity training in subjects with Type 2 Diabetes or Prediabetes (Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports 2017年3月13日)
HIIT for liver health (ウェスタンシドニー大学NICM健康研究所 2021年12月20日)
The Effect of High-intensity Interval Training vs Moderate-intensity Continuous Training on Liver Fat: A Systematic Review and Meta-Analysis (Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism 2021年11月1日)
[mhlab]

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