一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
ニュース

糖尿病の人はカルシウムとタンパク質が必要 牛乳やヨーグルトで骨折や転倒のリスクを減少

キーワード: 糖尿病 食生活

 牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品を食事に追加することで、高齢者の骨折や転倒のリスクを減らせることが、オーストラリアの研究で明らかになった。

 「カルシウムとタンパク質が豊富に含まれる乳製品を食事に加えると、高齢者の栄養を全体に改善できます。食事のメニューに乳製品を加えることは、高齢者施設でもすぐに実行できます」と、研究者は述べている。

牛乳、ヨーグルト、チーズなどの乳製品が骨を丈夫にする

 糖尿病の人は骨折が多いことが知られている。足の付け根の大腿骨の骨折リスクは、糖尿病でない人に比べ、1.3〜2.8倍高いことが知られている。とくに血糖コントロールが不良であると、全体の骨折のリスクが1.47倍に上昇するという報告もある。

 骨強度が低下すれば、骨折リスクは上昇する。糖尿病とともに生きる人は、血糖コントロールを良好に保つとともに、食事と運動で骨強度を高めることが必要だ。

 カルシウムは、健康な骨を作るのに必要な栄養素だ。糖尿病の人も、カルシウムを十分に摂ることが勧められている。カルシウムは、牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品、豆腐や納豆などの大豆食品、小松菜などの緑黄色野菜、ひじきなどの海藻、魚などに含まれる。

 高齢者を対象とした研究で、牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品を食事に追加することで、骨折や転倒のリスクを減らせることが明らかになった。

 「牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品には、良質なカルシウムとタンパク質が豊富に含まれます。こうした乳製品を毎日摂取することで、骨量の減少を抑えられることが、これまでの研究で報告されています」と、メルボルン大学とオースティンヘルスの主任研究員であるサンドラ イウリアーノ氏は言う。

 「私たちは、栄養学的アプローチを通じて、このことが本当であると確かめようと思いました。そして、食事に乳製品を加えることで、骨を丈夫にできるだけでなく、高齢者の脚と腕の筋肉を維持するのにも役立ち、転倒が減少することが、集団を対象とした今回のランダム化比較試験で明らかになりました」。

 「こうした乳製品は、入手しやすく、口当たりも良く、低コストなので、乳糖を消化吸収できない乳糖不耐症などでなければ、毎日の食事のメニューに取り入れることができます。このことは高齢者を介護するすべての環境で達成しやすい目標になります」としている。

関連情報

乳製品が足りていないと骨が減りやすい

 高齢者では、高血圧や脂質異常症、糖尿病といった慢性疾患に加えて、栄養失調、骨格筋の減少、フレイル(虚弱)、骨折のリスクが高まる。とくに骨折や転倒をすると、障害が長引き、寝たきりや早期死亡につながるおれそがある。

 オーストラリアの調査では、股関節骨折を起こした高齢者の約30%は介護施設に居住しており、さらに3分の2は栄養失調のリスクがあることが示された。

 こうした高齢者の乳製品の摂取量は、オーストラリアの食事ガイドラインで推奨されている量の半分未満であり、過去の臨床試験では、骨量減少を防ぐために、カルシウムやビタミンDのサプリメントを補給することを、薬理学的アプローチとして採用していた。

 そこで、メルボルン大学とオースティンヘルスは2年間の試験を実施した。ビクトリア州の60件の老人介護施設から7,195人の居住者が参加し、食事に乳製品を加えカルシウムとタンパク質を摂取すると、骨折や転倒のリスクをどれだけ減らせるが調べられた。

乳製品を摂取すると骨折が33%減少、股関節骨折は46%減少

 研究は、高齢者を乳製品を追加して摂取するグループと、摂取しないグループに分け、「クラスター無作為化比較試験」として実施された。研究成果は、医学誌「ブリティッシュ メディカル ジャーナル」に発表された。

 介入群では、牛乳(250mL)、ヨーグルト(100g)またはチーズ(20g)が増量され、これによりカルシウムの平均摂取量が562mg/日、タンパク質の平均摂取量が12g/日増えた。

 その結果、試験開始後3ヵ月で、乳製品を摂取したグループでは転倒が減り、有意差があらわれた。5ヵ月が経過した時点では、骨折と股関節骨折が減った。2年が経過した時点では、乳製品を摂取することで、すべての骨折が33%減少し、うち股関節骨折は46%減少し、転倒は11%減少した。

 「乳製品を摂取したグループと、摂取しなかったグループで、明らかな差ができました。重要なことに、成人期に乳製品を十分に摂ることが、骨と筋肉の健康を保護するために、重要な役割を果たすということです」と、この研究を助成したデイリー オーストラリアの栄養士であるリフケ ハリョノ氏は言う。

カルシウムとタンパク質を十分に摂ることが大切

 このように乳製品は、カルシウムを効率よく摂ることができる食品であることが示された。コップ1杯の牛乳(200mL)で、約200mgのカルシウムを補える。

 「牛乳、チーズ、ヨーグルトなど、カルシウムとタンパク質が豊富に含まれる乳製品を食事に加えると、高齢者の栄養を全体に改善することを期待できます。1人ひとりの食事の好みに合わせながら、食事のメニューに乳製品を加えることは、介護施設や高齢者施設で容易に実行できます」と、イウリアーノ氏は言う。

 「カルシウムとタンパク質の摂取を増やすことで、骨量の減少を防いだり、遅くできることは、これまでの研究でも示されています。食事に牛乳、ヨーグルト、チーズを追加することは、実証済みの介入であり、コミュニティ全体の骨折の負担を軽減するための賢明なアプローチとなります」としている。

High bone mineral density and fracture risk in type 2 diabetes as skeletal complications of inadequate glucose control:the Rotterdam Study(Diabetes Care 2013年6月)
What People With Diabetes Need To Know About Osteoporosis(米国国立衛生研究所 2018年11月)
Vitamin D and Calcium Intake in Relation to Type 2 Diabetes in Women(Diabetes Care 2006年3月)
Osteoporosis Among Patients With Diabetes: An Overlooked Disease(Diabetes Spectrum 2003年7月)
New study finds dairy foods reduce fractures in aged-care residents(デイリー オーストラリア 2021年10月20日)
Effect of dietary sources of calcium and protein on hip fractures and falls in older adults in residential care: cluster randomised controlled trial(ブリティッシュ メディカル ジャーナル 2021年10月21日)
[Terahata]

関連トピック

疾患 ▶ 糖尿病

2022年01月26日
【新型コロナ】テレビばかり見ていると血栓症リスクが上昇 糖尿病の人は立ち上がって運動を
2022年01月20日
インターバルトレーニングが糖尿病の人の糖代謝を改善 速歩とゆっくり歩きを交互に 脂肪肝も解消
2022年01月20日
糖尿病は認知症リスクを高める 予備群の段階でリスクは上昇 認知症を防ぐ生活スタイルとは?
2022年01月19日
肉やソーセージを食べ過ぎると糖尿病リスクは上昇 植物性食品に置き換えるとリスクは減少
2022年01月13日
糖尿病の人は血糖値が高いと歯を失いやすい 歯の喪失をこうして防ぐ 予備群の段階からご注意

生活習慣 ▶ 食生活

2022年01月28日
夕食はいつ食べると良い? 夜に食べるタイミングが糖尿病リスクに影響 メラトニンと遺伝子が影響
2022年01月19日
肉やソーセージを食べ過ぎると糖尿病リスクは上昇 植物性食品に置き換えるとリスクは減少
2022年01月19日
食後血糖の急激な変動(血糖値スパイク)を抑える健康食事法 「スローカロリー食ライフ」キャンペーン実施中!
―豪華賞品とスローカロリー商品詰合わせをプレゼント。2022年2月16日まで!
2022年01月12日
【世界健康フォーラム2021・静岡 公開中!】
健康寿命はみんなで延ばせる 食生活で日本を元気に!
2021年12月21日
やせていても「少食で運動不足」だと糖尿病リスクが高い 若い女性も気をつけたい糖尿病 順天堂大
予防月間2022
明治PA3
新着ニュース

トピックス&オピニオン
新型コロナウイルス関連

Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
国際糖尿病支援基金
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート