一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
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中学生でも肥満だと代謝異常リスクが3倍に上昇 女子中学生では軽度の過体重でも高血圧のリスクが

キーワード: 高血圧 二少(少食・少酒) 脂質異常症(高脂血症) 一無・二少・三多 糖尿病 肥満症/メタボリックシンドローム 「少食」食事は腹7~8分目 三多(多動・多休・多接) 「多動」身体を活発に動かす 身体活動・運動不足 食生活

 肥満と判定された中学生は、「心血管代謝異常リスク」(=大人でいう生活習慣病傾向)を有する可能性が2.9倍高くなることが、新潟大学などの研究で明らかになった。
 女子では、肥満にいたらない軽度の過体重でも、標準体重の中学生と比べ、血圧高値である可能性が高かった。
青少年期の代謝異常は成人まで持続する 早期改善が望ましい
 青少年期の代謝異常(血圧、血中脂質、血糖などの高値)は、成人まで持続することが多く、将来の動脈硬化を促進させることから、早期発見と生活習慣改善による是正が望ましいとされている。

 しかし、この世代は成人に比べ、血液検査や血圧測定を含む健康診断を受ける機会に乏しいため、未発見のまま放置されているケースが多い。

 さらに、日本人を含む東アジア人の成人では、他の人種より低い肥満度(BMIが23以上)であっても、2型糖尿病や循環器疾患を発症しやすいことが知られている。

 青少年では、肥満に至らない程度も含む体重増加と代謝異常との関連を調べた研究は少なく、その関連は十分解明されていなかった。

 そこで、新潟大学などの研究グループは、中学2年⽣に実施してきた⾎液検査や健康診断、⽣活習慣の実態調査の結果を解析した。

 研究は、新潟大学大学院医歯学総合研究科血液・内分泌・代謝内科の曽根博仁教授、同研究科健康寿命延伸・生活習慣病予防治療医学講座(阿賀野市寄附講座)の藤原和哉特任准教授ら、新潟県阿賀野市が、同市の中学生を対象とした共同研究として行ったもの。研究成果は、学術誌「Asia Pacific Journal of Clinical Nutrition」に掲載された。
中学生の体格指標と代謝指標との関連を検討
 新潟大学医学部と新潟県阿賀野市は、市民の健康寿命延伸を目的とした共同研究プロジェクトの一環として、中学生の生活習慣病予防事業を行っており、中学2年生に対して血液検査や血圧測定を含む健康診断や生活習慣の実態調査を実施している。

 今回、生活習慣病予防健診事業で健診を受け、研究に同意した13〜14歳の同市の中学生2,241人(男子1,180人、女子1,061人)を対象に、体格指標と代謝指標との関連を検討した。

 体格分類には、対象者の身長・体重からBMI(体格指数)を算出し、国際肥満タスクフォースが提唱する性別・月齢別カットオフ値を用いて、やせ・標準体重・軽度過体重・過体重・肥満の5カテゴリに分類した。

 さらに、血圧、非HDLコレステロール(non-HDL-C、動脈硬化を促進する血中の脂質成分)、HbA1c(1〜2ヵ月の血糖値の平均を反映する)の3つの指標を測定し、合成して作成したスコアが、全対象者の中で1SD(標準偏差)以上の中学生を、「心血管代謝異常リスク」があると判定した。

 研究グループは、中学生の体格分類の結果と健康診断の結果との関連をロジスティック回帰分析で検討した
心血管代謝異常リスク 過体重で2.4倍 肥満で2.9倍
 その結果、標準体重の中学生に比べ、過体重と判定された中学生は約2.4倍、肥満と判定された中学生で2.9倍、それぞれ心血管代謝異常リスクの可能性が高いことが判明した。

 さらに、個々の代謝指標と体格分類との関連を検討したところ、軽度過体重以上の中学生では、標準体重の中学生に比べ、血圧高値である可能性が約1.4から2.4倍高くなっていた。

 また、同様の検討を動脈硬化促進性の血中脂質であるnon-HDL-Cについても行ったところ、標準体重の中学生と比べ、過体重の中学生で1.6倍、肥満の中学生で3.1倍、それぞれnon-HDL-C高値である可能性が高くなっていた。

 一方、糖代謝を反映する指標であるHbA1cは、いずれの体格とも統計的に有意な関連はみられなかった。
軽度の過体重の女子中学生でも血圧高値リスクは1.6倍に上昇
 さらに、男子と女子に分けて検討した結果、女子では、軽度過体重の中学生では標準体重の中学生に比べ、血圧高値である可能性が約1.6倍有意に高く、さらに過体重で1.9倍、肥満で2.7倍と、体格指数が増加するごとにオッズ比も増加した。

 また、男子では、やせている中学生は標準体重の中学生に比べ、心血管代謝異常リスクの可能性は約80%低下していたが、女子ではやせていることと心血管代謝異常リスクに関連はみられなかった。
教育現場でも、体重増加につながる過食や運動不足を是正する指導が必要
 今回の研究結果から、過体重や肥満の中学⽣では、標準体重の中学⽣に⽐べ、⾼⼼⾎管代謝異常リスクに該当する可能性が倍以上になることが明らかになった。

 さらに⼥⼦では、肥満に達しない軽度の体重増加であっても、標準体重の中学⽣と⽐べ⾎圧⾼値の可能性が⾼まることも分かった。

 これまでの研究では主に、明らかな肥満と代謝指標の関連が調べられてきたが、肥満に至らない程度の過体重との関連について詳細に検討した研究はほとんどなかった。

 今回は軽度の過体重ややせの者も含めて評価することにより、中学生の心血管代謝異常リスクをさらに細分化して評価し、重点指導対象者を絞り込むことができるようになった。

 「過体重や肥満に該当する中学生は心血管代謝異常リスクが高いことから、教育現場でも、体重増加につながる生活習慣(過食、運動不足など)是正のための指導を行っていく必要があると考えられます」と、研究グループは述べている。

体格分類(やせ、標準体重、軽度過体重、過体重、肥満)と代謝指標の関連
(オッズ比(95%信頼区間)、ロジスティック回帰分析)

出典:新潟大学、2021年

新潟大学大学院医歯学総合研究科血液・内分泌・代謝内科学分野
Weight and cardiometabolic risk among adolescents in Agano city, Japan: NICE EVIDENCE Study-Agano 1(Asia Pacific Journal of Clinical Nutrition 2021年1⽉)
[Terahata]

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