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健康寿命を伸ばすための10の方法 こうすれば健康に長生きできる 国立医療研究センター6機関が提言

キーワード: 高血圧 脂質異常症(高脂血症) 糖尿病 CKD(慢性腎臓病) 肥満症/メタボリックシンドローム 動脈硬化 心筋梗塞/狭心症 脳梗塞/脳出血 脂肪肝/NAFLD/NASH がん 骨粗鬆症/ロコモティブシンドローム/サルコペニア 歯周病 認知症 喫煙 孤立・孤独 疲労(休養不足) 身体活動・運動不足 食生活 飲酒

 国立がん研究センターなど国立高度専門医療研究センター6機関が、日本人の健康寿命延伸のために必要な予防行動などについて、目標を提言にまとめて発表した。
 ▼喫煙、▼飲酒、▼食事、▼体格、▼身体活動、▼心理社会的要因、▼感染症、▼健診・検診の受診と口腔ケア、▼成育歴・育児歴、▼健康の社会的決定要因について、エビデンスにもとづき具体的な提言を行っている。
さまざまな疾患を横断的に予防
 健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことで、寿命とは区別される。健康寿命を延伸するためには、小児、妊婦、成人、高齢者など年齢や状態に応じて、さまざまな疾患を横断的に予防することが必要となる。

 6機関は共同で、2017年度より公衆衛生・予防医学分野の疾患横断的研究連携事業「電子化医療情報を活用した疾患横断的コホート研究情報基盤整備事業」(主任研究者:津金昌一郎)を実施している。今回の提言は、現在までの疫学研究などのエビデンスにもとづきまとめたもの。こうした疾患横断的な予防に関する取り組みは日本ではじめてだ。

 平均寿命と健康寿命の差は、日常の制限のある「不健康な期間」を意味するが、この不健康な期間は男性では8〜9年、女性では12〜13年と横ばいで推移している。健康寿命延伸のためには、この不健康な期間をどれだけ減らすことができるかが鍵となる。

 日本では、1981年にがん死亡が脳血管疾患死亡を抜いてもっとも多くなり、その後一貫した増加を示している。2019年には死亡全体の27.4%ががんによる死亡だ。続く死因としては心疾患(15.3%)、老衰(8.8%)、脳血管疾患(7.7%)、肺炎(6.9%)となっている。

 がんによる死亡は、男性の45〜94歳、女性の30〜89歳で死因の第1位となっているが、高齢になると、がんの割合は低下し、心疾患や肺炎の割合が大きくなる。このように、死因は年齢によって分布が異なり、死因となっている疾患の重要性も年齢によってさまざまだ。

 健康寿命延伸を疾患予防の側面から考えると、単に、疾患を個別に予防するのではなく、さまざまな疾患を横断的にいかに予防できるかが重要になる。
日本人のためのより確かな健康法を
 各項目と主なポイント、目標は以下の通り――。

1. 喫煙
  • たばこは吸わない。
  • 他人のたばこの煙を避ける。
【目標】
 たばこを吸っている人は禁煙する。また、他人のたばこの煙を避ける。

2. 飲酒
  • 節酒する。飲むなら節度のある飲酒を心がける。
  • 飲まない人や飲めない人にお酒を強要しない。
【目標】
 過剰飲酒により、がん、循環器病、高血圧、2型糖尿病のリスクが増加する。また、アルコール依存症のリスクも増加する。
 飲む場合は、1日あたりの飲酒量は、男性でアルコール量に換算して約23g程度(日本酒なら1合程度)、女性はその半分に抑える。休肝日を作る。寝酒は避ける。飲まない人や飲めない人にお酒を強要しない。

3. 食事
 年齢に応じて、多過ぎない、少な過ぎない、偏り過ぎないバランスの良い食事を心がける。
  • 食塩の摂取は最小限に。*1
  • 野菜、果物の摂取は適切に、食物繊維は多く摂取する。
  • 大豆製品を多く摂取する。
  • 魚を多く摂取する。
  • 赤肉・加工肉などの多量摂取を控える。*2
  • 甘味飲料は控えめに。*3
  • 年齢に応じて脂質や乳製品、タンパク質摂取を工夫する。
  • 多様な食品の摂取を心がける。
*1 男性7.5g/日未満、女性6.5g/日未満(厚生労働省「日本人の食事摂取基準」)
*2 赤肉:牛・豚・羊の肉(鶏肉は含まない)
*3 砂糖や人工甘味料が添加された飲料
【目標】
 野菜、果物は適切に、食物繊維は多く摂取することにより、がん、循環器病、2型糖尿病、妊娠高血圧症候群の予防につながる。
 また、赤肉・加工肉、揚げ物の多量摂取により循環器病や2型糖尿病のリスクが増加する。さらに、甘味飲料の摂取により2型糖尿病のリスクが増加する。
 年齢に応じて、多過ぎない、少な過ぎない、偏り過ぎないバランスの良い食事を心がける。

4. 体格
  • やせ過ぎない、太り過ぎない。
  • ライフステージに応じた適正体重を維持する。
【目標】
 体重過多は、循環器病、2型糖尿病のリスクを増加させる。また、成人期の体重増加は、循環器病、2型糖尿病のリスクを増加させる。
 ライフステージに応じて、体格をその時々の適正な範囲で維持する。

5. 身体活動
  • 日頃から活発な身体活動を心がける。
【目標】
 身体活動レベルの高い人では、がん、循環器病、2型糖尿病のリスクが低下する。
 日頃から活発な身体活動を心がけ、現状より1日10分でも多く体を動かすことから始める。
 具体的な身体活動量の目安は、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日60分行い、その中に、息がはずみ汗をかく程度の運動が1週間に60分程度含まれるとなお良い。また、高齢者では、強度を問わず、身体活動を毎日40分行う。

6. 心理社会的要因
  • 心理社会的ストレスを回避する。
  • 社会関係を保つ。
  • 睡眠時間を確保し睡眠の質を向上する。
【目標】
 社会関係を保つことで、総死亡リスクは低下し、循環器病や2型糖尿病リスクも低下する。
 また、適度な睡眠時間をとることにより、循環器病、高血圧、2型糖尿病の予防につながる。
 心理社会的ストレスをできる限り回避する。孤独を避け、社会関係を保つ。質の良い睡眠をしっかりとる。

7. 感染症
  • 肝炎ウイルスやピロリ菌の感染検査を受ける。
  • インフルエンザ、肺炎球菌を予防する。
【目標】
 肝炎ウイルスやピロリ菌の感染検査を受け、感染している場合には適切な医療を受ける。高齢者では、インフルエンザ、肺炎球菌のワクチン接種を受ける。

8. 健診・検診の受診と口腔ケア
  • 定期的に健診を・適切に検診を受診する。
  • 口腔内を健康に保つ。
【目標】
 定期的に健診を受ける。科学的根拠にもとづいたがん検診を、厚生労働省の指針*4で示された方法で受ける。
 口腔内を健康に保つ。歯周病があると、2型糖尿病のリスクが増加する。また、口腔内を健康に保つことにより、循環器病を予防できる可能性がある。
*4 がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針

9. 成育歴・育児歴
  • 出産後初期はなるべく母乳を与える。
  • 妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群、巨大児出産の経験のある人は将来の疾病に注意する。
  • 早産や低出生体重で生まれた人は将来の疾病に注意する。
【目標】
 出産後初期はなるべく母乳を与える。母乳を与えることにより母親のさまざまな疾病のリスクが低下する。また、乳児期初期の母乳育児は子どもの感染症、白血病のリスクを低下させ、2型糖尿病のリスクを下げる可能性がある。
 妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群は2型糖尿病や循環器病のリスクを増加させる。妊娠中に妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群にかかった人や巨大児出産の経験のある人、早産や低出生体重で生まれた人は将来の疾病に注意する。

S. 健康の社会的決定要因
  • 社会経済的状況、地域の社会的・物理的環境、幼少期の成育環境に目を向ける。
【公衆衛生目標】
 社会経済的状況が低いと、死亡、循環器病、高血圧、2型糖尿病などの疾患、認知機能の低下のリスクが高くなる。
 個人の不健康の根本原因となっている社会的決定要因にも目を向け、社会として解決に取り組む。

 「本提言は、予防行動などについて疾患横断的にまとめられた日本ではじめての試みで、それぞれに専門性を有する国立高度専門医療研究センター6機関の連携により実現しました。今後、さらに6機関の連携によるコホート研究を推進し、日本人のエビデンスを構築することで、日本人のためのより確かな提言として更新を継続します」と、研究グループは述べている。

国立がん研究センター社会と健康研究センター 社会と健康研究センター
電子化医療情報を活用した疾患横断的コホート研究情報基盤整理事業 疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言
国立研究開発法人 国立がん研究センター
国立研究開発法人 国立循環器病研究センター
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター
国立研究開発法人 国立成育医療研究センター
国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター
国立高度専門医療研究センター 医療研究連携推進本部
[Terahata]

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