一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
ニュース

女性が多量飲酒をすると乳がんリスクが1.7倍に上昇 女性ホルモンが影響か 日本人女性16万人対象の大規模調査

キーワード: 二少(少食・少酒) 一無・二少・三多 がん 「少酒」お酒はほどほどに 食生活 飲酒

 女性がアルコールを飲み過ぎる習慣を続けると、乳がんの発症リスクが1.7倍に上昇するという調査結果を、愛知県がんセンターがまとめた。 過度の飲酒ががんの発症リスクを高めることは知られているが、今回の研究は約16万人の日本人女性を対象に行ったはじめての大規模な調査研究であり注目される。
日本人女性の飲酒習慣と乳がんリスクの関係を明らかに
 飲酒は乳がんリスクを上昇させることが確実であるとされている。しかし、日本人女性は欧米女性と比較すると飲酒習慣が少なく、またアルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドの代謝酵素の働きが弱い人が多いなど、欧米人とは異なる傾向がみられる。

 そこで研究グループは、日本人女性の飲酒習慣と乳がんリスクの関係を明らかにするために、日本で実施された大規模な8件のコホート研究に参加した30〜60代の健康な女性15万8,164人のデータをプール解析した。これほどの大規模な調査研究は日本ではじめてだ。

 研究は、愛知県がんセンターがん予防研究分野(松尾恵太郎分野長)と国立がん研究センター(井上真奈美部長)などが共同で実施したもの。研究成果は、医学誌「International Journal of Cancer」に掲載された。

 研究の対象となったのは、日本で行われた大規模コホート研究である多目的コホート研究(JPHC-I、JPHC-II)、JACC研究、大崎国保コホート研究、宮城県コホート研究、三府県宮城コホート研究、三府県愛知コホート研究、放影研寿命研究の計8コホート研究。
アルコールを飲み過ぎている女性は乳がんリスクが1.74倍に上昇
 飲酒習慣を頻度と量に分けて検討し、頻度は「現在非飲酒」、「機会飲酒」(週1日以下)、「ときどき」(週1日以上4日以下)、「ほとんど毎日」(週5日以上)の4つのカテゴリーに、量は1日飲酒量で純アルコール換算で0g、0〜11.5g、11.5〜23g、23g以上の4つのカテゴリーにそれぞれ分類し比較した。

 純アルコールにして20gは、ビールで約500mL、ワインで1/4本(180mL)、缶チューハイ1缶(500mL)、日本酒で約1合に相当する。

 その結果、2,208人が乳がんを発症した。乳がんになったグループの喫煙率は60.6%、飲酒率は78.5%といずれも高かった。

 調査時の閉経状態にもとづき分類した「閉経前乳がん」では、もっとも頻度の高い飲酒者のグループは非飲酒のグループに比べ、乳がんリスクは1.37倍に上昇した。

 飲酒量をみると、純アルコール換算で23g以上飲んでいるグループは、まったく飲まないグループに比べ、乳がんリスクは1.74倍に上昇した。

 さらに、飲酒の頻度、量ともに増加すればするほど乳がんリスクは高くなる傾向がみられた。一方で、閉経後の女性では飲酒頻度、飲酒量ともに乳がんリスクとの有意な関連はみられなかった。

出典:愛知県がんセンター、2021年
過剰なアルコールの摂取が女性ホルモン濃度を上昇
 これの結果から、日本人でも欧米人と同様に、閉経前乳がんではアルコールが乳がんの罹患リスクを上昇させることが明らかとなった。

 飲酒と乳がんリスクの関係についてのこれまでの研究で、過剰なアルコールの摂取が女性ホルモンであるエストロゲンの濃度を上昇させることが分かっている。過剰なエストロゲンは乳がんの発症に影響する。

 また、アセトアルデヒド、過酸化脂質や活性酸素といったアルコール代謝物に発がん性があり、乳がんのリスクを上昇させる。

 閉経後の女性で乳がんが少なかった理由としては、研究に参加した女性のうち、閉経後女性で飲酒習慣のある女性の割合が少なく、それにより飲酒の影響が小さく見積もられてしまった可能性や、日本人は肥満の割合が少なく、閉経後はエストロゲンの供給が主に脂肪細胞由来となるため、飲酒がエストロゲンを介して乳がん罹患に及ぼす影響が欧米女性よりも弱まる可能性などが考えられる。

 国立がん研究センターの2017年の統計によると、乳がんは女性のがんではもっとも多く、年間に約9万1,600人の女性が発症している。

 乳がんと診断されると、患者の進行度や悪性度などにより手術や薬物療法、放射線療法を組み合わせて治療が行わる。治療法は進歩しており10年生存率は86%と高い。それでも2019年には約1万4800人が死亡している。

 研究グループは「乳がんを予防するためには若い頃から飲酒は控えめにすることが重要です」と強調している。

愛知県がんセンターがん予防研究分野
国立がん研究センター
Alcohol consumption and breast cancer risk in Japan: a pooled analysis of eight population-based cohort studies(International Journal of Cancer 2021年1月26日)
[Terahata]

関連トピック

疾患 ▶ がん

2021年04月16日
女性が多量飲酒をすると乳がんリスクが1.7倍に上昇 女性ホルモンが影響か 日本人女性16万人対象の大規模調査
2021年03月11日
健康寿命を伸ばすための10の方法 こうすれば健康に長生きできる 国立医療研究センター6機関が提言
2021年03月11日
女性が多量飲酒をすると乳がんリスクが1.7倍に上昇 女性ホルモンが影響か 日本人女性16万人対象の大規模調査
2021年03月11日
「がんになっても笑顔で暮らせる社会」 がんサバイバーのためのプロジェクト「LAVENDER RING」 206人の向き合い方をフォトブックに
2021年03月11日
がん治療と仕事を両立する「がんサバイバー労働者」 働けていることに幸福感 就労復帰後も健康感などを向上させるサポートが必要

一無・二少・三多 ▶ 二少(少食・少酒)

2021年04月16日
自分の身体能力を過信している高齢者は体力が低下しやすい コロナ禍でも体を動かし活発な生活を フレイル予防アプリも公開
2021年04月16日
高齢者の「フレイル」は家電の利用状況を調べれば分かる 電気使用を見える化する「スマートメーター」で高齢者の健康をチェック
2021年04月16日
腎臓病を予防・改善するための「8つの法則」 世界の成人の10人に1人が腎臓病 世界腎臓デー
2021年04月16日
中学生でも肥満だと代謝異常リスクが3倍に上昇 女子中学生では軽度の過体重でも高血圧のリスクが
2021年04月16日
世界肥満デー 世界の20億人が肥満か過体重 2025年までに世界の成人の5人に1人が肥満に

生活習慣 ▶ 食生活

2022年01月28日
夕食はいつ食べると良い? 夜に食べるタイミングが糖尿病リスクに影響 メラトニンと遺伝子が影響
2022年01月19日
肉やソーセージを食べ過ぎると糖尿病リスクは上昇 植物性食品に置き換えるとリスクは減少
2022年01月19日
食後血糖の急激な変動(血糖値スパイク)を抑える健康食事法 「スローカロリー食ライフ」キャンペーン実施中!
―豪華賞品とスローカロリー商品詰合わせをプレゼント。2022年2月16日まで!
2022年01月12日
【世界健康フォーラム2021・静岡 公開中!】
健康寿命はみんなで延ばせる 食生活で日本を元気に!
2021年12月21日
やせていても「少食で運動不足」だと糖尿病リスクが高い 若い女性も気をつけたい糖尿病 順天堂大

生活習慣 ▶ 飲酒

2021年12月24日
糖尿病の人は「アルコール」に注意 年末年始に飲み過ぎないための7つの対策
2021年10月08日
11月10日〜16日はアルコ―ル関連問題啓発週間です。飲酒と健康に関する講演会は誰でも視聴可能!
2021年08月05日
【健やか21】「令和3年版厚生労働白書」の公表について(厚生労働省)
2021年08月02日
【新型コロナ】糖尿病の人はアルコールの飲み過ぎにも注意 飲酒で74万人ががんを発症
2021年06月02日
アルコールは糖尿病の敵か味方か? 少し飲み過ぎただけで肥満・メタボのリスクは上昇

一無・二少・三多 ▶ 「少酒」お酒はほどほどに

2021年10月08日
11月10日〜16日はアルコ―ル関連問題啓発週間です。飲酒と健康に関する講演会は誰でも視聴可能!
2021年04月16日
高齢者の「フレイル」は家電の利用状況を調べれば分かる 電気使用を見える化する「スマートメーター」で高齢者の健康をチェック
2021年04月16日
腎臓病を予防・改善するための「8つの法則」 世界の成人の10人に1人が腎臓病 世界腎臓デー
2021年04月16日
女性が多量飲酒をすると乳がんリスクが1.7倍に上昇 女性ホルモンが影響か 日本人女性16万人対象の大規模調査
2021年03月11日
女性が多量飲酒をすると乳がんリスクが1.7倍に上昇 女性ホルモンが影響か 日本人女性16万人対象の大規模調査

 ▶ 一無・二少・三多

2022年02月01日
こころの密を育てる―ネガティブになりがちな今だから「多くの人・こと・ものとつながる」
毎年2月は『全国生活習慣病予防月間』―Web講演会公開中!
2022年01月23日
1月23日は『一無、二少、三多の日』!
「一無、二少、三多」ピクトグラム公募結果と全国生活習慣病予防月間2022のご案内
2021年11月17日
全国生活習慣病予防月間2022実施概要決定! 
テーマは多接:多くの人・こと・ものとつながる!
2021年10月13日
昨年より生活満足度は低下、コロナ前後での比較検討も「満足度・生活の質に関する調査報告書2021」より
2021年10月04日
最優秀賞 25万円! 健康スローガン「一無、二少、三多」のピクトグラム公募
予防月間2022
明治PA3
新着ニュース

トピックス&オピニオン
新型コロナウイルス関連

Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
国際糖尿病支援基金
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート