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肥満やメタボは認知症リスクを上昇 体重コントロールで脳機能を改善 食事と運動で対策

キーワード: 高血圧 二少(少食・少酒) 脂質異常症(高脂血症) 一無・二少・三多 糖尿病 動脈硬化 脳梗塞/脳出血 「少食」食事は腹7~8分目 三多(多動・多休・多接) 「多動」身体を活発に動かす 「多休」休養をしっかりとる 認知症 身体活動・運動不足 食生活

 肥満やメタボは認知症のリスクを高め、体重コントロールがリスクを減少することが明らかになった。肥満は脳機能障害も引き起こす。
 ウォーキングなどの運動により脳機能を改善でき、食事療法による体重減少も効果的であることも分かってきた。
体重コントロールが認知症のリスクを減少
 肥満は15年後の認知症のリスクを高め、体重コントロールが認知症の発症リスクを減少するために重要な役割を果たすことが、英国のユニバーシティ カレッジ ロンドン(UCL)の研究で明らかになった。

 成人後期に体格指数(BMI)が高く「肥満」と判定された人は、「正常」の範囲内にある人に比べ、認知症のリスクが3割以上増加するという。女性ではとくにリスクが高い。

 「肥満は認知症のリスクを高めます。肥満の人は、BMIと腹囲周囲径の両方を下げることで、内臓脂肪を減らし、代謝異常を改善できます。そのために食事や運動などの生活スタイルを改善することが勧められます」と、UCL疫学・ヘルスケア研究所のドリーナ カダール氏は言う。

 肥満は生活スタイルの改善や行動変容によって修正可能な危険因子であることは、診療ガイドラインでも示されている。
肥満の人は認知症を発症するリスクが高い
 研究グループは、「英国の老化に関する縦断的研究(ELSA)」に参加した、50歳以上の男女6,582人のデータを収集し解析した。

 その結果、研究開始時にBMIが30以上の肥満の人は、BMIが18.5〜24.9の正常の人に比べ、平均11年の追跡期間に認知症を発症するリスクが31%高いことが分かった。とくに女性では、肥満により認知症のリスクが39%上昇した。

 BMIと腹囲周囲径を組み合わせてみたところ、両方が高い人は正常の人に比べ、認知症のリスクは28%上昇した。

 「肥満により、脂肪細胞で作られている生理活性物質であるサイトカインの分泌異常が起き、血管障害や、血糖を下げるインスリンが効きにくくなるインスリン抵抗性が引き起こされ、認知症のリスクを間接的に高めている可能性があります」と、研究者は指摘している。

 また、体脂肪が過剰にたまることで、脳内で神経細胞に毒性をもたらすアミロイドタンパク質の産生と蓄積が促され、認知症のリスクを高めているおそれがあるという。
肥満は脳機能障害も引き起こす
 脳にはニューロン同士がつながり配線された神経回路があることが知られている。南オーストラリア大学の研究によると、肥満の人の脳では新しい神経経路ができにくくなっている。

 研究グループは、18〜60歳の肥満者15人と、標準体重の人15人を対象に、経頭蓋磁気刺激法(TMS)などの試験を行い比較した。

 その結果、標準体重の対照群では、刺激に応答した神経活動がみられ、脳の可塑性応答が正常であることが示された。一方、肥満の群では反応が低下し、応答能力が損なわれている傾向が示された。

 「肥満は、2型糖尿病や代謝障害、心血管疾患、認知症など、健康にさまざまな悪影響をもたらしますが、それだけでなく脳機能障害も促している可能性があります。肥満の人は、体重をコントロールし、脳の老化や脳卒中などのリスクを下げることが大切です」と、同大学のブレントン ハーデカー氏は言う。
ウォーキングなどの運動で脳機能を改善
 嬉しい知らせもある。ウォーキングなどの運動が、脳機能を改善するのに役立つことが明らかになっている。

 「運動により脳のインスリン感受性を高められ、脳機能が改善します。運動は気分と認知力を高めるだけでなく、2型糖尿病のリスクを減らすのにも役立ちます」と、ドイツのテュービンゲン大学糖尿病・代謝疾患研究所のステファニー クルマン氏は言う。

 研究グループは、座りがちな生活をおくっており運動不足で、過体重や肥満になった成人22人を対象に、ウォーキングやサイクリングなどの8週間の運動に取り組んでもらった。

 その前後に脳スキャンを2回行った。脳のインスリン感受性を調べるために、インスリン点鼻薬を使用し脳機能を測定した。

 その結果、わずか8週間の運動により、体重は期待していたほどは減らなかったものの、脳機能は「正常化」したことが分かった。運動は、脳の重要な領域で局所血流を増加させ、神経伝達物質であるドーパミンが関わる運動制御と報酬プロセスを改善していた。
食事療法で脳の活動が改善し記憶力が向上
 肥満や過体重の人が食事療法により体重減少に成功すると、記憶力に関わる脳の重要な領域で変化が起き、脳の活動が改善し、記憶力が向上するという研究も発表されている。

 肥満の人は、エピソード記憶、つまり人生を通して起こる出来事についての記憶を損ないやすいことが、これまでの研究で示されている。

 しかし、「肥満に関連した記憶機能の障害は可逆的であり、体重コントロールにより改善できる可能性があります」と、スウェーデンのウメオ大学のアンドレアス ペッターソン氏は言う。

 研究グループは、機能的磁気共鳴画像法(機能的MRI)と呼ばれる脳画像法により、肥満の人の体重減少が記憶や脳活動を改善するかどうかを調べた。

 20人の過体重や肥満の閉経後の女性(平均年齢61歳)を対象に、体重コントロールを目的とした食事療法に6ヵ月取り組んでもらった。その結果、食事療法の前は参加者の平均BMIは32.1だったのが、後では29.2に減少し、平均体重も85kgから77.1kgに減少した。

 減量によって記憶能力は改善し、記憶テストを行っているときの脳活動パターンも改善を示した。体重減少により、エピソード記憶に関連する脳の領域での活動が低下し、より効率的に脳を使えるようになったことが示された。

 「減量による脳活動の変化により、保存された情報を再収集するために必要な脳のリソースが少なくて済むことは、脳をより活発に使えるようになったことを示唆しています」と、ペッターソン氏は述べている。

Obesity linked to higher dementia risk(ユニバーシティ カレッジ ロンドン 2020年6月24日)
Higher risk of dementia in English older individuals who are overweight or obese(International Journal of Epidemiology 2020年6月23日)
World-first study links obesity with reduced brain plasticity(南オーストラリア大学 2020年9月25日)
Obesity is Associated with Reduced Plasticity of the Human Motor Cortex(Brain Sciences 2020年7月29日)
Weight Loss Improves Memory and Alters Brain Activity in Overweight Women(内分泌学会 2013年6月15日)
[Terahata]

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