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【新型コロナ】「ひきこもり」が世界的に急増 オンラインには社会的関係を損なう危険性も

キーワード: 一無・二少・三多 ストレス関連疾患/適応障害 三多(多動・多休・多接) 「多動」身体を活発に動かす 孤立・孤独 疲労(休養不足)

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックのために、各国の都市でロックダウンが行われた影響で、世界的に「ひきこもり」が急増している可能性があることが、名古屋大学などの研究で明らかになった。
 対処策として、インターネットに親和性のある「ひきこもり」のために、オンライン治療などが有効である可能性を示している。
 米オレゴン健康科学大学は、「ひきこもり」はいまや世界的な問題であると指摘。共通の基準を作って対策する必要があると提案している。
ひきこもりは世界的な課題になっている
 名古屋大学などの研究チームは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の経済的・社会的な影響により、世界的に「ひきこもり」が増加している可能性があるという研究を発表した。

 「ひきこもり」やその家族を支援するため、世界各国での公的資源を投入する必要があると強調している。

 日本では「ひきこもり」の現象が1990年代からみられるようになり、2019年には「ひきこもり」が110万人いると推定され、深刻な社会問題になっている。

 また最近では、日本だけでなくアジア諸国や、フランスなどの欧州諸国でも「ひきこもり」の現象がみられるようになっており、「Hikikomori(ひきこもり)」は国際語になった。
ロックダウンが解除された後もひきこもりに
 COVID-19への対策のため、世界各国で2020年3月以降にロックダウンが行われて、英国では3ヵ月続けられた。「ひきこもり」へと至ってしまう人は、ロックダウンは解除された後も、そのまま社会へと戻ることができず、幼少期の劣悪な環境など個人レベルでのリスク要因が重なることで、リスクがさらに高くなっている。

 研究グループは、「ひきこもり」の増加はCOVID-19による大きな影響のひとつで、「社会的な注目が期待される」と指摘している。「COVID-19の経済的・社会的影響下での"ひきこもり"予備群の存在にも注目する必要がある」と付け加えている。

 研究は、名古屋大学大学院医学系研究科精神健康医学/総合保健体育科学センターの古橋忠晃准教授が、英国グラスゴー大学神経科学心理学研究所のルックスビー麻記研究員や、英国グラスゴー大学健康・福祉研究所精神衛生グループのハミシュ マクレオド教授らと共同で行ったもの。研究成果は、国際精神医学雑誌「World Psychiatry」オンライン版に掲載された。
ひきこもりはインターネットとの親和性が高い
 「ひきこもり」のリスクが高い人は、既存のメンタルヘルスの問題を抱えている人や、子供時代のネガティブな経験の影響を受けている人に含めて、高齢者や、COVID-19のパンデミックにより生活やライフパスが大幅に乱れてしまった人も含まれる。

 中国の初期のデータでは、COVID-19のパンデミックにより、不安やうつ病などが引き起こされるリスクは5倍に増加した可能性があることが示されている。

 COVID-19のロックダウンにより生み出された「ひきこもり」は、インターネットやソーシャルメディア、オンラインゲームなどを通して世界を受動的に観察し続けるという点で、これまでの「ひきこもり」と大きな違いはない。

 対処策としては、本来インターネットに親和性のある「ひきこもり」のため、それを改善するためのオンライン治療を開発する必要性を指摘している。

 「将来増加しうる"ひきこもり"やその家族へのサポートのために、世界各国で公的資源が必要となることも予想されます」と、研究者は指摘している。
「ひきこもり」の4つの重要な側面
 米国のオレゴン健康科学大学の研究チームは、「極端な社会的孤立である"ひきこもり"は、これまで考えられていた以上に広範囲に及んでおり、いまや日本の若者だけでなく、欧米諸国の高齢者や在宅の親など、世界中に拡大しています」と指摘している。

 医療の専門家はこれまで、こうした社会的孤立を健康問題として理解してこなかったが、「"ひきこもり"を改善するために、支援のための方法を世界的に模索する必要があります」としている。

 そのために、世界共通の明確な定義が必要となる。同大学は、「ひきこもり」の4つの重要な側面に焦点を当て、下記のような定義を提案している。

自宅に閉じこもる
 著しい社会的孤立が特徴で、家の外で過ごす時間の頻度などが定義に関わる。

人を避ける
 社会的交流を拒否していることが基準になる。不安だけでなく、快適さのレベルを満たしているという理由で、社会的・相互的な交流を避けているケースもある。

苦痛の定義
 「ひきこもり」と判定された人々の多くは、はじめは社会的離脱に満足していると答えるが、やがて離脱の期間が長くなるにつれて、苦痛と孤独感が増大していく。

その他の障害
 うつ病などの精神状態をともなうことも多く、「ひきこもり」とともに評価・診断するべき。併発する疾患が多いことが、「ひきこもり」に健康問題として取り組む重要性を高めている。
オンラインには社会的関係を損なうリスクもともなう
 「これまで"ひきこもり"は文化的な問題と思われてきましたが、現在では社会的な問題ととらえられています」と、同大学医学部精神科のアラン テオ准教授は言う。

 「ポートランドに住みボランティアによる食事サービスを受けている80歳の高齢者であろうと、日本の18歳の少年であろうと、"ひきこもり"は共通の問題なのです」。

 「ひきこもり」は、インターネットやソーシャルメディア、オンラインゲームの普及などとも関連が深い。

 皮肉なことに、本来はコミュニケーションを改善するためのこれらの最新のツールは、逆の効果をもたらしている可能性があるという。

 テオ氏によると、オンラインで時間を過ごすことは、人と人が顔を見合わせて対話をする代わりになるが、同時に社会的関係が損なわれ、メンタルヘルスに深刻な影響をもたらす危険性もあるという。

 「こうしたデジタルや通信技術の進歩は、対面での社会的な相互作用に代わるものを提供していますが、逆に"ひきこもり"を深刻な問題にするおそれもあります。そうした危険性を考慮した上で、より有効な使い方をできないかを模索する必要があります」。

 「しばしば健康管理では忘れがちになりますが、どのような社会生活を送るかが、その人の生活の質(QOL)ににおいてきわめて重要です。毎日の社会生活が、その人の人生の意味と価値を作っているからです」と、テオ氏は述べている。

名古屋大学大学院医学系研究科精神健康医学
名古屋大学総合保健体育科学センター
Hikikomori: a hidden mental health need following the COVID-19 pandemic(World Psychiatry 2020年9月15日)
Hikikomori: New definition helps identify, treat extreme social isolation(オレゴン健康科学大学 2020年1月10日)
Defining pathological social withdrawal: proposed diagnostic criteria for hikikomori(World Psychiatry 2020年1月10日)
[Terahata]

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