一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
ニュース

日本人は肥満ではなくても脂肪肝になりやすい サルコペニア予備群の段階で対策を

キーワード: 二少(少食・少酒) 一無・二少・三多 肥満症/メタボリックシンドローム 脂肪肝/NAFLD/NASH 「少酒」お酒はほどほどに 「少食」食事は腹7~8分目 三多(多動・多休・多接) 「多動」身体を活発に動かす 身体活動・運動不足 食生活

 日本人では、体格指数(BMI)が低く、肥満でない人でも、NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)が多くみられる。
 体重は基準範囲であっても、内臓脂肪がたまっていて、筋肉が減っている人は、「非肥満NAFLD」であるおそれがある。
 治療しないで放置していると、肝臓の病気が進展し、肝不全や肝臓がんの危険性が高まる。
 「食事で体脂肪を減らし、運動で筋肉を増やすことが大切」という研究が発表された。
日本人は痩せていても脂肪肝になりやすい
 肝臓の病気は古くは、アルコールの飲み過ぎによる脂肪肝や肝炎か、B型肝炎やC型肝炎などのウイルス性肝炎がほとんどだと考えられていた。しかし近年、アルコールをそれほど飲まず、肝炎ウイルスにも感染していない人の中にも、脂肪肝や肝炎が少なくないことが分かってきた。その多くは、2型糖尿病や脂質異常症、肥満・メタボリックシンドロームにともなうものだ。

 こうした、アルコールの飲み過ぎによるものではない脂肪肝や、それによって起こる肝臓の病気は、「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」と呼ばれている。健康診断を受ける成人の2〜3割がNAFLDだとみられている。

 NAFLDは初期の段階では自覚症状はほとんどない。しかし、肝炎の状態が長く続くほど肝硬変になりやすく、肝硬変に進行すると肝不全や肝臓がんの危険性が高まり、命に関わってくる。

 日本人を含むアジア人は、欧米人、ラテン人、アフリカ人などに比べて、NAFLDの有病率が高いと報告されている。日本人は痩せていても脂肪肝になりやすい傾向がある。

 これまでの研究で、体格指数(BMI)が低く、肥満でない人でも、NAFLDは多くみられることが分かっている。そうした非肥満NAFLDで、肝臓に脂肪が蓄積しやすくなるメカニズムは解明されていなかった。また、肥満でない人がNAFLDを発症する要因は、肥満の人のそれとは異なると考えられている。
肥満でないNAFLDの人は、内臓脂肪が増え、筋力が低下
 筑波大学の研究で、非肥満NAFLDでは、内臓脂肪の増加に加えて、骨格筋量と筋力の減少および筋組成の劣化、すなわち「プレサルコペニア(サルコペニア前段階)」と、これに関連する糖代謝の異常が大きく関わっていることが明らかになった。

 「サルコペニア」は、筋肉量の低下に加え、筋力の低下や身体機能の低下のいずれかが認められる状態。プレサルコペニアはその予備群の段階だ。

 筑波大学医学医療系の正田純一教授らの研究グループは、同大附属病院内つくばスポーツ医学健康センターの肝臓生活習慣病外来に通院するNAFLD患者を対象に、性別・体格指数(BMI)別に層別化して、非肥満NAFLD患者の症状について解析した。

 研究グループは、19〜82歳のNAFLD患者404人を対象に、体格指数(BMI)により、(1)非肥満NAFLD(BMI 25未満)、(2)肥満NAFLD(BMI 25以上30未満)、(3)高度肥満NAFLD(BMI 30以上)に分け、NAFLDのない人などと比較した。

 その結果、非肥満NAFLDの人は、男性の25.7%、女性の27.6%に上り、とくに高年齢の人で高い割合でいることが分かった。詳しく調べたところ、非肥満NAFLD患者では、肥満NAFLDと高度肥満NAFLDに比べて、男女ともに骨格筋量が少ないことが分かった。

出典:筑波大学医学医療系、2020年
内臓脂肪型肥満のある人は要注意
 非肥満NAFLD患者は、体重は基準範囲であっても、内臓脂肪型肥満が多く、男性の59%、女性の44%で、内臓脂肪型肥満が認められた。また、四肢筋量と下肢筋力の低下と、筋肉の脂肪化がみられた。

 非肥満NAFLD患者では、血糖を下げるインスリンが効きにくくなるインスリン抵抗性の度合いは軽かった。しかし、脂肪性肝炎(NASH)患者の特定に用いるスコアで計算すると、男性の9%、女性の33%で線維化が進んでおり、NASHに移行するおそれがあることが分かった。

 さらに、非肥満NAFLD患者は、肥満もNAFLDもない人に比べて、骨格筋の量は同じくらいだったが、とくに女性で筋肉の脂肪化が進んでおり、握力や膝伸展筋力などの筋力が低下していた。体脂肪量、内臓脂肪面積、ウエストヒップ比の値も高かった。

出典:筑波大学医学医療系、2020年
食事で体脂肪を減らし、運動で筋肉を増やすことが大切
 研究グループは、非肥満NAFLDの肝脂肪の蓄積に影響する因子として、▼内臓脂肪面積、▼HbA1c(1〜2ヵ月の血糖値の平均を表す値)、▼ミオスタチン、▼レプチンであることを突き止めた。

 ミオスタチンは、主に骨格筋で合成され、その再生を抑制するタンパク質。ミオスタチンが増えると、筋肉量は減少する。また、レプチンは、内臓脂肪組織で作られる、食欲の抑制とエネルギー代謝の調節に関わるタンパク質。

出典:筑波大学医学医療系、2020年

 研究グループは、非肥満NAFLDを予防・治療するために、▼適切なダイエットにより体脂肪を減らすこと、▼タンパク質の摂取量を増やし、運動をすることで、脂肪のない良質な筋肉を作り出すこと、▼内臓脂肪と筋肉のバランスを良好に保つことが大切だとしている。

 「今後、医療チームによる積極的な食事および運動指導を行い、体組成異常の改善を介した肝臓リハビリテーションを展開していくことが必要となります」としている。

筑波大学 医学医療系
Clinical and Anthropometric Characteristics of Non-obese NAFLD Subjects in Japan (Hepatology Research 2020年6月29日)
[Terahata]

関連トピック

疾患 ▶ 肥満症/メタボリックシンドローム

2021年12月15日
「早食い」は肥満や体重増加につながる ゆっくり味わって食べるとエネルギー消費量を増やせる
2021年12月10日
肥満は糖尿病の人にとって大敵 体重をコントロールして糖尿病を改善 成功するためのコツは?
2021年11月10日
新型コロナウイルス感染拡大の陰で起きている体調変化や生活習慣に関する最新調査
2021年10月19日
【新型コロナ】糖尿病と肥満の人はなぜ重症化しやすい? 感染と重症化を防ぐためにこれが必要
2021年10月01日
肥満の人は日常生活動作(ADL)が低下しやすい 健康寿命も短縮 若い頃から健康な生活で対策を

一無・二少・三多 ▶ 二少(少食・少酒)

2021年04月16日
自分の身体能力を過信している高齢者は体力が低下しやすい コロナ禍でも体を動かし活発な生活を フレイル予防アプリも公開
2021年04月16日
高齢者の「フレイル」は家電の利用状況を調べれば分かる 電気使用を見える化する「スマートメーター」で高齢者の健康をチェック
2021年04月16日
腎臓病を予防・改善するための「8つの法則」 世界の成人の10人に1人が腎臓病 世界腎臓デー
2021年04月16日
中学生でも肥満だと代謝異常リスクが3倍に上昇 女子中学生では軽度の過体重でも高血圧のリスクが
2021年04月16日
世界肥満デー 世界の20億人が肥満か過体重 2025年までに世界の成人の5人に1人が肥満に

一無・二少・三多 ▶ 三多(多動・多休・多接)

2021年04月16日
自分の身体能力を過信している高齢者は体力が低下しやすい コロナ禍でも体を動かし活発な生活を フレイル予防アプリも公開
2021年04月16日
運動をすると睡眠を改善できるのはなぜ? 日中に活発なウォーキングを1時間行うと効果的 睡眠時の脳波を調査
2021年04月16日
高齢者の「フレイル」は家電の利用状況を調べれば分かる 電気使用を見える化する「スマートメーター」で高齢者の健康をチェック
2021年04月16日
オフィスを活動的にすると「座り過ぎ」が減る 肥満やメタボの検査値も改善 オフィス環境づくりは大切
2021年04月16日
腎臓病を予防・改善するための「8つの法則」 世界の成人の10人に1人が腎臓病 世界腎臓デー

生活習慣 ▶ 身体活動・運動不足

2022年01月26日
【新型コロナ】テレビばかり見ていると血栓症リスクが上昇 糖尿病の人は立ち上がって運動を
2022年01月20日
インターバルトレーニングが糖尿病の人の糖代謝を改善 速歩とゆっくり歩きを交互に 脂肪肝も解消
2021年12月22日
ウォーキングなどの運動は糖尿病を改善する「魔法の薬」 運動を増やして、座ったままの時間は少なく
2021年11月10日
新型コロナウイルス感染拡大の陰で起きている体調変化や生活習慣に関する最新調査
2021年10月25日
世界骨粗鬆症デー 糖尿病の人は骨折に注意 40歳過ぎたら骨を強くする対策を

生活習慣 ▶ 食生活

2022年01月28日
夕食はいつ食べると良い? 夜に食べるタイミングが糖尿病リスクに影響 メラトニンと遺伝子が影響
2022年01月19日
肉やソーセージを食べ過ぎると糖尿病リスクは上昇 植物性食品に置き換えるとリスクは減少
2022年01月19日
食後血糖の急激な変動(血糖値スパイク)を抑える健康食事法 「スローカロリー食ライフ」キャンペーン実施中!
―豪華賞品とスローカロリー商品詰合わせをプレゼント。2022年2月16日まで!
2022年01月12日
【世界健康フォーラム2021・静岡 公開中!】
健康寿命はみんなで延ばせる 食生活で日本を元気に!
2021年12月21日
やせていても「少食で運動不足」だと糖尿病リスクが高い 若い女性も気をつけたい糖尿病 順天堂大

一無・二少・三多 ▶ 「少酒」お酒はほどほどに

2021年10月08日
11月10日〜16日はアルコ―ル関連問題啓発週間です。飲酒と健康に関する講演会は誰でも視聴可能!
2021年04月16日
高齢者の「フレイル」は家電の利用状況を調べれば分かる 電気使用を見える化する「スマートメーター」で高齢者の健康をチェック
2021年04月16日
腎臓病を予防・改善するための「8つの法則」 世界の成人の10人に1人が腎臓病 世界腎臓デー
2021年04月16日
女性が多量飲酒をすると乳がんリスクが1.7倍に上昇 女性ホルモンが影響か 日本人女性16万人対象の大規模調査
2021年03月11日
女性が多量飲酒をすると乳がんリスクが1.7倍に上昇 女性ホルモンが影響か 日本人女性16万人対象の大規模調査

一無・二少・三多 ▶ 「少食」食事は腹7~8分目

2021年04月16日
自分の身体能力を過信している高齢者は体力が低下しやすい コロナ禍でも体を動かし活発な生活を フレイル予防アプリも公開
2021年04月16日
高齢者の「フレイル」は家電の利用状況を調べれば分かる 電気使用を見える化する「スマートメーター」で高齢者の健康をチェック
2021年04月16日
腎臓病を予防・改善するための「8つの法則」 世界の成人の10人に1人が腎臓病 世界腎臓デー
2021年04月16日
中学生でも肥満だと代謝異常リスクが3倍に上昇 女子中学生では軽度の過体重でも高血圧のリスクが
2021年04月16日
世界肥満デー 世界の20億人が肥満か過体重 2025年までに世界の成人の5人に1人が肥満に

一無・二少・三多 ▶ 「多動」身体を活発に動かす

2021年04月16日
自分の身体能力を過信している高齢者は体力が低下しやすい コロナ禍でも体を動かし活発な生活を フレイル予防アプリも公開
2021年04月16日
運動をすると睡眠を改善できるのはなぜ? 日中に活発なウォーキングを1時間行うと効果的 睡眠時の脳波を調査
2021年04月16日
高齢者の「フレイル」は家電の利用状況を調べれば分かる 電気使用を見える化する「スマートメーター」で高齢者の健康をチェック
2021年04月16日
オフィスを活動的にすると「座り過ぎ」が減る 肥満やメタボの検査値も改善 オフィス環境づくりは大切
2021年04月16日
腎臓病を予防・改善するための「8つの法則」 世界の成人の10人に1人が腎臓病 世界腎臓デー

 ▶ 一無・二少・三多

2022年02月01日
こころの密を育てる―ネガティブになりがちな今だから「多くの人・こと・ものとつながる」
毎年2月は『全国生活習慣病予防月間』―Web講演会公開中!
2022年01月23日
1月23日は『一無、二少、三多の日』!
「一無、二少、三多」ピクトグラム公募結果と全国生活習慣病予防月間2022のご案内
2021年11月17日
全国生活習慣病予防月間2022実施概要決定! 
テーマは多接:多くの人・こと・ものとつながる!
2021年10月13日
昨年より生活満足度は低下、コロナ前後での比較検討も「満足度・生活の質に関する調査報告書2021」より
2021年10月04日
最優秀賞 25万円! 健康スローガン「一無、二少、三多」のピクトグラム公募

疾患 ▶ 脂肪肝/NAFLD/NASH

2021年11月10日
新型コロナウイルス感染拡大の陰で起きている体調変化や生活習慣に関する最新調査
2021年04月16日
人工知能(AI)により生活習慣病の将来リスクを予測 保健指導での意識・行動の改善に貢献 国際医療研究センターなどが共同研究
2021年04月16日
なぜ体重は正常なのに「代謝異常」に? 体脂肪の「質」が肥満・メタボや糖尿病に影響 順天堂大学
2021年03月11日
健康寿命を伸ばすための10の方法 こうすれば健康に長生きできる 国立医療研究センター6機関が提言
2021年02月18日
「和食」が健康にもたらすメリットは多い 5割が「健康に良い」、8割以上は「和食が好き」
予防月間2022
明治PA3
新着ニュース

トピックス&オピニオン
新型コロナウイルス関連

Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
国際糖尿病支援基金
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート