一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
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「生きがい」が65歳以上の働く人の健康効果を高める 「金銭目的」のみだと健康感と生活機能が悪化

キーワード: 高血圧 脂質異常症(高脂血症) 一無・二少・三多 糖尿病 CKD(慢性腎臓病) 動脈硬化 心筋梗塞/狭心症 脳梗塞/脳出血 骨粗鬆症/ロコモティブシンドローム/サルコペニア 三多(多動・多休・多接) 「多接」多様なつながり 孤立・孤独 疲労(休養不足)

 65歳以上の高齢者では、「金銭のみ」を目的に働いている人は、「生きがい」を目的に働いている人に比べて、主観的健康感や生活機能が悪化しやすいことを、東京都健康長寿医療センター研究所が明らかにした。
 「高齢者の健康効果を高めるには、周囲に感謝されるなど、人や社会の役に立っていることを実感しやすいような業務に携わることが重要」と、研究者は述べている。
高齢期における就労は健康維持に大きく関わる
 65歳以上の高齢者では、「金銭のみ」を目的に働いている人は、「生きがい」を目的に働いている人に比べて、2年後の主観的健康感の悪化リスクが1.42倍、生活機能の悪化リスクが1.55倍、それぞれ高いことが判明したと、東京都健康長寿医療センター研究所が発表した。

 これまでの研究で、高齢期における就労が健康維持に大きく関わることが分かっている。しかし、高齢期の就労と健康との関連で、「就労の動機」がどのように影響するかについては不明だった。

 そこで研究グループは、2013〜2015年に東京都大田区で実施された郵送調査のデータを用いて解析した。対象となったのは、同区居住の65歳以上の高齢者7,608人。2013年と2015年の両調査に回答し、2013年時点で就労していた1,069人を解析対象とした。

 就労の動機は、生きがい目的として「健康のため」「生きがいを得たい」「社会貢献・社会とのつながり」を、金銭目的として「生活のための収入が欲しい」「借金の返済のため」「小遣い程度の収入が欲しい」をそれぞれ定義。

 対象者を3群(生きがい目的群、生きがい+金銭目的群、金銭目的群)に分類し、各群における2年後の「主観的健康感」「精神的健康度」「生活機能悪化リスク」を比較した。
金銭目的のみの就労は高齢期の健康効果を悪化させる
 その結果、金銭のみを就労の目的としている人は、生きがいを目的としている人に比べ、2年後の主観的な健康感の悪化リスクが1.42倍、生活機能の悪化リスクが1.55倍、ぞれぞれ高いことが明らかになった。一方で、生きがい目的で就労している人と、生きがいと金銭の両方を目的としている人との間には、健康悪化リスクに差はなかった。

 研究結果から、就労の動機が金銭のみである人では、就労による健康効果が得られていない可能性が示された。金銭のみを就労目的としている人は、より多くの収入を得るために、長時間・危険・重労働などによる身体的および精神的負担が大きいため、健康悪化リスクが高いと考えられる。

 一方、生きがいと金銭の両方を目的としている人は、必ずしも金銭が上位の就労動機ではないため、就労によるストレスは小さく、健康悪化リスクが生きがい目的の高齢就労者と同等であることが示された。

就労の動機が金銭のみだと、主観的な健康感と生活機能が悪化しやすくなる
出典:東京都健康長寿医療センター研究所 社会参加と地域保健研究チーム、2020年
人や社会の役に立っていることを実感しやすい仕事を
 「高齢期に就労による健康効果を高めるには、周囲に直接に感謝されるなど、人や社会の役に立っていることを実感しやすいような業務に携わることが重要です。また、金銭目的のみで働く高齢者に対しては、就労支援だけではなく、生活全般や健康についての相談や貧困対策などのセーフティネットが必要です」と、研究グループは述べている。

 研究は、東京都健康長寿医療センター研究所 社会参加と地域保健研究チームの藤原佳典研究部長、根本裕太氏らの研究グループによるもの。研究成果は、「Geriatrics & Gerontology International」オンライン版に掲載された。

東京都健康長寿医療センター研究所 社会参加と地域保健研究チーム
Nemoto Y et al. Working for only financial reasons attenuates the health effects of working beyond retirement age: A 2‐year longitudinal study(Geriatrics & Gerontology International 2020年7月3日)
[Terahata]

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